第3話 8/1 献茶

「市長。どうしたんですか。そんなにお怒りになって。」華音は心配そうに虎之助に声をかける。

「いや,社長にはちょっとした恨みというか嫌な思い出があってな。つい声を荒げてしまった。」


鷹島との関係もこの1ヶ月でケリをつけなければならない。もうすぐ死んでしまうからだ。


「さて,献茶でも行くか?王道のタピオカミルクティーの店にね。」

「献茶ですか。良いですね。行きましょう。」



献茶についた。

相変わらずタピオカミルクティーは女子高生から成人女性まで女子受けする飲み物だな。虎之助は心の中でそう思いながら並んでいた。


並ぶこと15分あまり,ついに注文することになった。

「抹茶ミルクティー極でお願いします。」

「私はウーロンミルクティー極でお願いします。」

極というものはミルクフォームの乗ったミルクティーである。


それから5分くらい待ってミルクティーが手元についた。


「さぁ,無事にタピオカミルクティーが来たな。早速飲もうか。」

「その前に。市長横に来て下さい。」

「うん?どうしたんだ?」疑問に思いながら横に並んだ。

「ミルクティーを右手に持って下さい。」華音は左手でウーロンミルクティーを持つと右手でスマホを手にして手元を撮影した。


「はい。ありがとうございます。」

「そうか。フォトジェニックとか言うやつだったか。タピオカは。」


どこからが映えるのかのぉ。とかく若者の流行は分からぬ。しかし,美意識というものは感覚的であり,その人によって異なるものだろうからむやみに否定も出来ない。


「どうしました?市長。」

「いや何でもない。ところでワシはもう市長じゃない。だから虎之助と呼んでくれ。お前のおじいさん的な存在になろう。」

「じゃあ,虎たんって呼ぶね。」

「たん?それは恥ずかしい。」

「だって,名前で呼ぶのは失礼なきがするから。」

「そうか。ならとらたんでいいや。」


ミルクティーを飲む。

タピオカは適度に弾力があって美味しい。タピオカには結構カロリーがあるみたいなのだが,タピオカの弾力を考えれば十分に腹が膨れる。


「華音さん。わしは嬉しい。一緒にタピオカ屋に行くことが出来てな。」

「とらたん。優しいから物凄く年上って感じがしないよ。」

「そうかい。嬉しいなぁ。ナメられるのと関わりやすいっていうのは別だからな。さぁ,華音さんの自宅に一度戻ろう。これから1ヶ月の旅になる。」

2人はタピオカミルクティーを十分に満喫した。

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