第2話 虎之助の過去
鷹島遼一は,46歳になる男である。最初に会ったのは32年前であった。教師と生徒の関係である。保健体育科の教師であった虎之助は,ヤンチャしていた鷹島に手を焼いていた。
「おい鷹島!何やってんだ!他の生徒に迷惑かけよって!」
「ウゼェんだよ。俺のことはほっとけよ。」
平気で人を殴ったり,暴言を浴びせるような男であった。
卒業式も欠席した不良生徒であった。
その後,隠岐は教員という職をリタイアして,市役所の公務員となった。新規採用で広報広聴課のYouTu部のメンバーに当てられたのである。
そこからYouTuber生活となったわけであるが,そこで働いているうちにいいようで悪い話を耳にしたのだった。
長女である愛海が望まない妊娠をしてしまったのである。犯人は,鷹島遼一であった。
「隠岐愛海さんですね?」
「あなたは誰ですか?」
「俺は,鷹島。おっとこれ以上は言わねぇよ。」刃物をチラつかせながら,車に誘導して性交渉をしたのだった。
その結果息子が生まれることになった。愛海はその事実を恐れていたが,事実を知った虎之助は怒鳴ることもなくただ静かな怒りを感じていた。
「愛海。お前は悪くない。誰か何と言おうとこの子は隠岐家の息子だ。俺が立派に育ててやる。だから,大学にも行け。」
鷹島が狙っているところは隠岐家の転覆である。それだけは避けなければならぬ。
「頑張るしかねぇな。遼一。貴様を後悔させてやる。」それからずっと孫である龍治の為に頑張っていたのだった。
愛海は無事大学進学して卒業することが出来たがこの一件でだいぶ傷ついてしまっていた。
世に言う男性恐怖症というものである。そして暫くは家に引きこもっていたが,家庭で執筆活動を始めて小説家としてお金を得るようになった。
愛海は今でもカウンセリングに通いながら,執筆活動をしている。
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