第18話
すっかり日が傾いてしまい、授業免除で面接をしていた事が幸いした。
結局面接で、私の脅しが効いたのか生徒会に関われないならと辞退する人間は数人程出たが、女子生徒が四十名から二十名に絞られ、残ったうちの数名は親衛隊だった。
とは言え活動には純粋に興味があるのか、はたまたあわよくば関われたらと思っているのかそのあたりは働きぶり次第ではそんな事どうでもよくなるだろう。
男子生徒は、奇跡が起きたのか誰ひとり抜ける事はなかった。
――男手は本当に必要だから良かった……!
平民生徒も貴族生徒も均等に割れる人数になり、かなり調度いいバランスになったと満足げに私なりに選定した人物の一覧を見た。
結構な数の面接をしたおかげで、疲労で机に突っ伏して深く溜息をすると、今日はクルエラが紅茶を淹れてくれた。
「お疲れ様です」
「ありがとうございます……」
「あの、私の事はクルエラと呼んでください。敬語も必要ないので」
紅茶のカップをのせていたトレイで、顔を隠しながらチラチラとこちらを赤らめながら見ていた。
この世界の女の子はなんでこんなに可愛いんだろう、しみじみと考えながら黙っていると、駄目だったかと不安そうにこちらを見ていた目をトレイで完全に隠してしまった。
「うぅ……すみません」
「あぁ、ごめんなさ――ごめんね、ダメではないから。じゃあクルエラもそうしてくれると嬉しいな。私も、シャルって呼んでくれて構わないから」
「っ! うん、ありがとうシャル!」
――あぁー、かわいいなぁー。
本日二度目の天を仰いだ。
可愛い女の子に癒されて、本当に天に召されるかと思った。
その光景が微笑ましかったのか、クリス様が笑いながらこちらに来て一覧表を二枚置いた。
クルエラに淹れてもらった紅茶をすすりながら覗き込むと、グランツと二人なりに話し合って信用出来そうなメンバーだけに私の蛍光ペンを使って印をつけてくれたようだ。
「選定とは言っても、だいぶ参加者が減ってしまったから、こちらは〝大丈夫そう〟と判断した人間しか選んでいないよ」
「でも、女子ほとんど切らなかったのですね……」
「ん? シャル妬いてくれてるの?」
私の正面から、ずいっと顔を近づけて嬉しそうに口元を緩めるクリス様を押し返して「違います!」と言うが、きっと顔が赤くなっている。
こんな人前で、羞恥プレイもいい所だ。
口元を隠しながらクスクス笑って「冗談だよ」とだけ言って、グランツの所へと戻っていった。
冗談には見えなかった……。
「クリストファー様とシャルって、お付き合いしているの?」
「その純粋な問いに私は応えてやれたらいいんだけども、そうではないかな……」
「えぇ! そうなんだ……意外……」
なんたって、私が告白をほぼ阻止してますからね。
最低な女でしょ? なんて言えずクルエラが入れてくれた紅茶をまた飲んだ。とても美味しい。
生徒会側の判断を再度確認する為に一覧表に目を通すと、案の定マーニーは生徒会側の選定蛍光ペンの恩恵に預かれなかったようだ。
まぁ、こちらも切り落としたのだが。
満場一致ということだ。
――全員がマーニー・フランチェスカを信用していない……ってことだよね。
面接の際は、一応やる気は見せてくれたのだが、あの質問が質問だっただけに、主格という事もあるからなのかどれだけ誠意見せてくれても信用はされていないようだ。
初手が悪すぎた。
マーニーの名前を見つめて、うーんと悩んでいる。
「正直、マーニー様は困りましたね……」
「そうだね、私としては入れて手元で行動を把握しておきたいんだけど」
「大義名分を利用して生徒会に入ってこられると迷惑になりかねないから、私は賛成は出来ないかな……」
先程のやりとりを思い出しながら、私以外みんな反対なのだから強行しない方がいいと判断してマーニーだけ排除すると後が怖い為、三角の中からあまり印象よくなかった人物二人抜き取って決定した。
「これ、反感かわない?」
「まぁ、なにか言われたら何か言っておきます」
親衛隊の中で微妙な子の方がボロを出すから、こちらに何か危害加えようものならすぐ反応出来るし、当然危ない事をしでかす可能性があるから警戒はすると説明した。
あまり切り落とすと人手が足りなくなるからだ。
正式に決定した実行委員会のメンバーには翌週の月曜日、学園長が用意してくれた実行委員会の腕章を配った。
――こんなのまで、本当にいつ作ったんだろう……。
2019/08/14 校正+加筆
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