《自粛と弟子》


「第一回! 時事ネタは趣味垢の方で適当に書き殴っとけば文庫版で使いづらくなるから抑制可能の会~!」


 いつものようにパーティー会場にてシコルスキが快哉……ではなく開催を叫んだ。

 やる気も根性もねえカクヨ村の短編なんざテンプレ流用でいいんだよ上等だろ とでも言わんばかりである。

 そして今回も招かれているのはサヨナとユージンといういつメンだった。


「サブタイからしてもう何やるのかが分かるのがアレなんですけど……」

「テンプレでいくならのっけからまたアレを叩く流れか?」


「電撃文庫編集部も昨今の事情により色々とありまして、その煽りで公式村の方で公開してくれって言った短編が一生公開されない可能性が出ているので、今回はこのような形で別の短編を勝手に公開する運びとなりました」


「あっ……叩きづらい」

「ハッキリ言うけどコロナは電撃文庫とKADOKAWAより悪辣だぞ」

「電通よりもですかね?」

「100日後までに死なされる案件を出すな!!」

「みんなワニ『は』好きですからね……」

「サブカル『は』好きだけどKADOKAWAは……と同じ理屈ですねえ」

「そろそろ目を付けられそうで怖いから趣味の方はせめて大人しくしろ!!」


 みんな他に嫌いなものがあっただけである。何がとは言えませんけどね……。

 ツカミはOKなので、ここでシコルスキがさっさと本題に移った。


「皆様には自粛するにあたって必要なことを、今回の短編で学んで頂ければと思います」

「え? 学ぶ系ラノベに路線変更ですか??」

「既に地獄行きの線路上をひたすら一両編成で走ってるのにか?」


「我々は今求められているものをただお出しするだけですよ」

「じゃあ黙るのが最適解だと思うんですけど……」

「それだと売名出来ないではありませんか!」

「コロナに乗じて作家が名前売っても売れんのは悪名だけだ!!」


 そもそも趣味垢のクソ短編をわざわざ読むのは敬虔な読者以外存在しないので、彼らに名前を売ったところで無意味だからセーフ理論である。

 というわけで早速自粛に対する心構えとかをみんなで一緒に学んでいこうぜ!



①家から出ない


「やはり不要不急の用件以外で出歩くなと言われていますからね。家から出ないというのが大前提でしょう」

「風邪引いたら寝ましょう並に当たり前過ぎる理論唱えて恥ずかしくないのか?」

「でも生活必需品は外に出てお買い物しないと手に入らないと思うんですけど……」


「――水だけで人間は七日間生存可能だと言われています」


「その情報を国がこのタイミングで出してきたら国家転覆するわ!!」

「国民総ダイエット作戦か何かですか!?」


 生活必需品については不要不急とかそういうレベルではないので、ちゃんと適正量を買うようにしよう!

 間違っても買い占めはダメだぞ! ラノベ以外は!!!


「本作がチョコ味とかなら、まかり間違って買い占めが起こるかもしれませんでしたねえ……これだから電撃文庫の商才は」

「今の世情だと好きなラノベでキミのケツを拭こうキャンペーンした方が売れるぞ」

「ユージンさんが現状一番やばいこと言ってますよ!!」

「俺行商人だし……」

「だから!?」


「因みにラノベの紙質だとケツにダイレクトダメージが行くので拭かない方が賢明ですねえ」

「トイレも詰まるからな。トイペ切り詰めて使ってこうぜ」

「ていうかトイペの品薄に対する皮肉でラノベを引き合いに出さないでください!!」


 ケツは手で拭こう(最終手段)


「でも……まだまだマスクも手に入りませんし、単純に外出への抵抗があるから、心配しなくても自宅待機は自然と行われるのでは?」

「お前それパチ屋の前でも同じこと言えんのか?」

「公然のタブーに触れるな!!」


「本作は重版とメディアミックス以外に怖いものがありません」

「まんじゅう感覚!?」

「このラノ上位ランクインも怖いものリストに入れとこうぜ」

「良いですねえ」

「全部欲しいものリストですよそれは!!」


 話が大脱線しつつある。因みに本当に怖いのはボツだぞ!


「全編不真面目な内容だとそれはそれでアレなので、ここで特にソースはないものの、こんな感じでやっておこうみたいな行動を羅列していきましょうか」

「ソースはないて」

「デマが生まれる瞬間を見せ付けんじゃねえよ!」



②感染予防対策で最も有効なものは何か?


マスクではなく、手洗いうがいの方が重要です。

特に手洗いの重要性は言うまでもありません。

これは単純にウイルスの感染経路がモノにくっついたウイルスを手で触り、その手にくっついたウイルスが身体のいずこから侵入してしまうからです。

それを防ぐために、手を清潔に保とうというわけですね。


普通に洗うのではなく、念入りに洗うことを心掛けましょう。

特に指の間、爪の間、手首などは洗い忘れることが多いです。

また、普段の己の何気ない仕草を観察すれば分かりますが、人間というのは親指と人差し指を多く使って生活しています。

指を一本一本キレイに洗うことも大事ですね。

不潔は良いことがありませんが、清潔は良いことしかありません。呆れるぐらいにしっかりと洗えば良いこと尽くめです。


アルコール消毒については、コロナウイルスがインフルエンザウイルスと同じく、アルコールに弱いことから有効ですが、現在手に入りづらくなっています。

あれば良いですが、無かったら詰むというわけでもないので、意識をしっかりと手洗いに向けるようにしましょう。

アルコールを持っている方は、普段外から帰ってきて、手を洗う前に触れる場所(電気のスイッチやドアノブなど)を軽く拭いておくと良いです。



③マスクが無ければ外出してはならないのか?


そんなことはありませんが、あった方が安心なのは事実です。

ただし、マスクをしていないから感染しやすい、というわけでもありません。

医療用の特殊なマスクならともかく、市販のマスクはあくまで自分の出す飛沫の分散を防ぐという意味合いや、喉や口内の保湿を保つ意味合いが強く、マスクをしているから感染しないというわけではないです。

そのマスクも、取り扱いを間違えると感染の元になります。

一度使ったら使い直さずにちゃんと処分すること、外す時は耳ヒモを持って(不織布に触れない)外すことなどを意識しましょう。


ただし現状はエチケットとしての意味合いの方が強くなっています。

マスクをせずに人混みや公共機関へ赴くのは確かに憚られるので、そういう意味でも急用でない限りは家に居たほうがいいでしょう。

それでもマスクが無くて行かなければならない、という時はエチケットを意識しながら行動しましょうね。


特に咳やくしゃみが出る方は、必ず口元を何かで押さえるようにしましょう。

ハンカチを常に持ち歩くか、持っていない場合は手ではなく二の腕を口元に押し付ける形でした方がいいです。

これは単純に自分の飛沫が掌につくと不潔だからです。

マスクをしていたとしても、全力で咳やくしゃみをするのもアレなので、マスクの有無に関わらず二の腕で手を抑える癖は付けたほうがいいですね。

それと、人が多く触れるような箇所は触れないようにするか、触れた後はすぐ手を洗うようにもしましょう。

電車の吊り革や銀行やコンビニのATMなどがそうです。



④つまりどうすりゃいいんだよ


家で引きこもってラノベ読もうや!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求は生活必需品につき不要不急ではなく要・急品なので本屋さんで買ってきてね!!!!!!!!!!!!!!!!!!



「以上全てデマとなります」

「面倒になったのか恥ずかしくなったのか、最後で台無しですね……」

「ラノベ界のエガちゃんを狙ってんのか? この小説は」

「いえ……宮迫ですッ」

「ポジション的にはそっちの方が近いですけど!!」

「時事ネタだけで一本書くとそれはそれで節操ねえな」


 そもそもこんなクソラノベから感染対策の情報を得る時点でどうかと思うので、気になった方はちゃんとグーグル先生に聞くようにしてね!



⑤不要不急生活の一例


「最後はこの映像を観て、外出を控えた生活の参考にして頂ければと思います」

「映像を観てまでして学ぶようなことですかね……?」

「ファンタジー世界なのにナチュラルに映像を観せんな」



ナレーション『彼の生活は、母親の声掛けにより始まります』


母親『あーくん? お昼ごはんここ(扉の前)に置いておくわね~?』


あーくんと呼ばれた男『フゴッ……』



「映像止めろ!!!!!」

「まだ始まったばかりではないですか。何かありましたか?」

「いやこれ知人のプライベート映像を垂れ流す感じですよね!?」

「いえ……僕の友人です」

「なお悪いですよ!!」


「そもそもあーくんと呼ばれた男は外出を自粛してんじゃなくて自ずから人生を自粛してんだよ!!! つまり不要不急なのはこいつの存在そのものだろうが!!!」


 映像の男と顔見知りなのか、ユージンが歯に衣を着せない物言いを連発した。

 あーくんと呼ばれた男が聞けば涙するだろう。しかしながら事実でもある。

 ブーイングが酷かったが、シコルスキは気にせず映像を再生した。



ナレーション『どうやらお目覚めのご様子』


あーくん『…………。飯食う……前に一発ヌいとくか』


ナレーション『そうして彼はおもむろに衣服を脱ぎ始めました』


あーくん『フォオオアアアアアアアアアアアア!!!』


ナレーション『素敵な光景です』


あーくん『あースッキリした……飯食って寝よ』


ナレーション『配給された食事を食べ終えた後、彼は再び眠りにつきました』


あーくん『ZZZZZ……』


「映像は以上です。参考になりましたかね?」

「それ以前にこの短い合間に三大欲求全部出て来るってあり得なくないですか!? コロナよりよっぽど怖いですよ!!」

「神話の生物かアイツは」


「とはいえ、こういう生活もアリと言えばアリです。それに腐れラノベ作家の休日もこれとほぼ変わりないですから」

「主語がちょっと大きい……!!」

「腐れラノベ作家を有象って単語に置換しとけ!」


 外出の自粛の有無など無関係で、そもそも普段から外出を自粛した生き方をしている存在も確かに居るのだ……。


「家の中に居ても娯楽が存在しないわけではありません。スマホがあれば友達と通話も出来ますし、無料で出来るゲームもあります。動画や漫画だって無料公開されているものもあります。余暇を使って何か勉強を始めるのもいいかもしれません。外出を自粛と考えるから後ろ向きになるのであって、ここは一つ考え方を変えて、のんびりスローライフというナロ村でよく見られるフレーズを己の生活に適用してみてはどうでしょうか? あーくんと呼ばれた男性のような生活はアレですが、何も考えずに一日中眠るのもそれはそれで素敵なことですし」

「ここはカクヨ村ですよ」

「カクヨ村でもよく見るフレーズだからセーフです」

「そういやこの手の短編は絶対その村二つも殴りに行くスタイルだったな……」


「ところで、先生の挙げた娯楽の中にラノベが入っていませんが……?」



「誰も休みの日に家でラノベなんて読まないですからね」



「じゃあもう何なんだよこのラノベは!!!!!!!!!!」

「ラノベ業界にゼロ・レクイエムでも仕掛けてるんですか!?!?」


「もっと正直に、僕は『外出の自粛にかこつけてラノベを読みましょう』などと上っ面な言葉を言うのではなく、ハッキリと『別に読まなくていいから俺の本だけは買っといてーな』と言いたいのですよ――」


「何もかもが薄汚い!!!!!!!」

「最後まで読んだら損する短編を作んな!!」



《でもおしまい》












<作者注>

小説を書く合間の息抜きで適当に作った短編なので内容は全部鵜呑みにしないで下さい(予防線)

土曜の昼下がり数時間をドブに捨てるのは気持ちがいいぜ・・


それはともかく、昨今の世情は不安定であり、右を向いても左を向いても暗いニュースばかりですね。

それに対して私には何も出来ないのですが、少しでも読者の方に笑って頂こうと急ぎ作った短編が以上のものです。ろくでもねえな(客観視)


また、本編にある予防法は確実なものではなく、不十分ではありますが、手洗いをちゃんとしておこう、という気持ちだけはガチなので、暇がありましたら正しい手洗い方法をグーグル先生に聞いてみて下さい。

マスクについてはどうしようもないですが、ハンカチを持っておくのは地味に助かるので豆知識として一つ……。

何より、よく食べてよく眠る中で経済活動を可能な限り行うのが、今我々に出来る一番の抵抗だと思うので、皆様におかれましては健康に気を付けながら、今楽しめる様々なサブカルチャーを楽しんで下さい。

そしてその末席に本作を加えて頂けるのであれば、幸甚にございます。




じゃあ三巻のネタ帳考案に戻ります(賢者タイム)

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