《おまけページ案と弟子 ~作中用語解説~》③


「需要がないところに供給を与えることによって虚しさだけが加速するシリーズ第二弾! というわけでね、次のおまけページ案をご紹介しましょう」

「アダム=スミスも腰を抜かしつつ神の見えざる手でぶん殴ってきそうなシリーズですね……」

「次の案は『作中用語解説』! そのまんま、本編中に登場する用語をピックアップし、解説しつつ我々が一言メッセージを添える構成となっています!」

「よくあるやつですよね」

「『ネギま!』の単行本にあるやつです」

「具体例は出さなくていいので」


「とはいえ、ピックアップする単語は徐々に外し気味……言うなれば『どうでもいい用語』を解説するようにしました。それは何故か? 分かりますかね、サヨナくん?」

「こんなくだらないギャグ小説にまともな設定も解説も必要ないからです」

「正解☆ では見ていきましょう!」





すくみず

異界において水難に喘ぐ人々を救う為に開発されたという、特殊な衣類の一つ。

普段はややザラついた感触だが、水に漬けると得も言えぬ質感を醸し出す。

伸縮性に富み、着用するとボディラインが浮き出るので、着る者によっては目に毒。

その締め付けに加えて『引っ張ってバチィィンってする魔法』を付与した結果、一人の騎士を満足させる逸品に仕上がった。

男性用、女性用とあるらしいが、本編に登場したのは女性用。男性用がどのようなものであるのかは、作成者のシコルスキが一切の興味を示さないので依然として不明である。


シコ「ズラして使うようです」

サヨ「何を!?」



「本作の方向性を定めた、記念すべき僕の発明品その1ですねえ」

「一話の時点で十人が読んだら七人ぐらい脱落しそうな中身ですよね」

「大丈夫です。二話で残る三人も落ちるので」

「最終的に誰も読了出来てないじゃないですか!! 読書メーターの感想欄とかじゃあ一体何なんですかあれは!? 全部業者!?」※違います(多分)

「新刊で買ってくれれば後はもう別に……」

「薄汚い底辺作家の本音が滲出液のようにじわりと……!!」





《キノコの里》

野球、政治、宗教……これらは俗に言う「社会人になったらこの3つの話題は出すな」と呼ばれるものである。

キノコの里は「宗教」に分類され、タケノコ派とキノコ派で日夜争いが続いているらしい。

未来永劫解決することのない問題であり、決して上司にどちら派か訊いてはならない。

一説によると、タケノコ派の作家が書いたタケノコ上げ小説をキノコ派の編集が見た際、内容に関係なくボツにして書き直しを要求したという。

そのくらいに根深い問題なのである……。


シコ「僕はアルフォートが好きです」

サヨ「第四勢力を出さないでください」



「これを解説したんですか……。この話題は無駄に荒れるだけですよ……」

「因みに作中はキノコ狩りをしていたので、必然的にキノコ派のような描写になってしまいましたが、別にそういう意図はありません」

「じゃあタケノコが捕虜になってる描写とか必要なかったですよね!?」

「それはまあ……ところでサヨナくんはどっち派ですか?」


「え~? わたしはキノコ派の読者からもタケノコ派の読者からも愛されたいので、そんなどちらか選ぶことなんて出来ないですよ~☆」


「キャベツ太郎派……と」

「第五勢力どころか異星人レベルで無関係なお菓子出さないでください!!」

「これは僕とユージンくんだけかもしれませんが――カワイコぶっている君を見ると、ストレスと苛立ちが半端ないのですよ」

「わたしに悪感情抱きすぎじゃないですか!? 何か悪いことしましたか!?」


「そろそろ新たなる宗派が生まれても良いのではないかと、ふと思うことがありますねえ」

「宗教戦争がこれ以上増えるのはちょっと……。因みにどんなお菓子達ですか?」

「エブリバーガーとチョコあ~んぱんです」

「ピンとこない!!!」


※どっちも田舎のコンビニでの販売率が高い(気がする)





《アド・レイス》

異界にあるという謎のボランティア団体こと《KADOKAWA》の居場所を具体的に表示する秘術。表示したモノは一個の生命体として現れる。

《KADOKAWA》については謎が多いが、何分巨大であり適当に石を投げれば当たるものだから、取り敢えず炎上したりするのが得意らしい。

ブラックorホワイトで言うならばダークであり、こんなふざけた小説など指先一つで絶版に追い込むことが可能だろうが、やはり詳しいことは分かっていない。

なお、召喚物については毎日きちんとサヨナが餌やりを頑張っており、結構懐いてきているようだ。


シコ「どうせハガキなんて来ないと高を括っている編集部に一泡吹かせる為に、奮ってご応募下さい」

サヨ「そんな敵愾心を剥き出しにしなくても……」



「どっちかって言うと例のアレは用語じゃなくて登場人物のような……」

「本作が発売されてから一番驚いたのは、例のアレが妙に読者人気があったことですねえ」

「『可愛い』っていう感想が意外に多くて驚きましたよね……。可愛いかなぁ……」

「飯田橋駅で降りて少し歩けば、竹書房のビルを睨み付けるようにして建っているというのに――現実は小説よりえなり」

「かずき……!? ってしょうもないこと言わないでください!!」

「余談ですが初めて有象が例のアレの中にる前、メモ的なものを忘れたことに気付き、慌てて近くのコンビニで買いました」

「ルビがきもいのと、内容が死ぬほどどうでもいいという意味では、完全なる余談と言えますね……」


「ところでハガキの方ですが、応募がないわけではないそうですよ」

「へー、そうなんですか。はがき代と切手代をドブに捨ててくれる方って思ったより居るんですね。何通ぐらい来たんです?」

「14万-13万9千995通ぐらいだそうです」

「見栄からはみ出たその不要な計算式はいらないですよ!! つまり五通じゃないですか!!」

「これを多いと見るか少ないと見るかはあなた次第――しかし本作は随時魔王軍の応募を受けて付けております。まだまだお金をドブに捨てるチャンスはそこに!」

「正直制作陣は完全に0通だと思っていたので多い方ですよね……」





《ナロ村・カクヨ村》

最近のライトノベルムーブメントを作り上げている、ラノベ文化の発信地。

……とは関係なく、どちらの村もとにかく異世界転生者が数多く現れることで有名。

しかしナロ村とカクヨ村の間には隔絶したものがあり、一触即発の雰囲気が作り上げられている。が、互いの村を行き来する住人も数多く居るらしい。

どちらの村も独特の文化や風習があり、「村内ランキング上位」を狙う為のコツや、その先にある「ショセキカ」と呼ばれるものを夢見て、日夜村民はシノギを削っている。

現在はナロ村が優勢であり、このまま争えばカクヨ村が滅ぼされてしまうだろう。

ではカクヨ村の逆転の一手は……電撃文庫の新文芸レーベル!?なにそれ!?しらべよう!!


シコ「時代……ですよね」

サヨ「何もかもを悟ったようなことを言わないで下さいよ……」



「これを書いた当時、電撃の新文芸というものが発表されたので、先んじてネタにしましたが――現在既に電撃の新文芸は発売済なので、時事ネタがラノベに採用しづらい理由がお分かり頂けたでしょう」

「執筆→発売まで数ヶ月以上のラグがありますもんね……」

「ギャグにおいて時事ネタが使いづらいというのは、じゃんけんで言うならグー・チョキ・パーを潰されたようなものですから」

「やれることなくなってますよ!? じゃんけんのレフェリーでもするんですか!?」


「作中に出てきたのはナロ村ですが、我々が今こうして恥を晒している現場はカクヨ村――因果なものです」

「因果っていうか……どっちにも中指を立てておいて、でも片方をしれっと利用している辺りに、書いているヤツの底意地の悪さが透けて見えますが」


「あー!! 我々もランキング上位に入って書籍化打診されて何はなくともコミカライズされた後にスマホ広告で一部の妙なコマだけ切り取られて結果としてアンチを増やしたいですねえー!!!」


「最終目標がアンチを増やすことになってますよ……。人生設計の行き着く先が崖とか設計しない方がマシじゃないですか」

「本作の未来予想図は果てなき闇なのでね――きっと我々はこれからもわがままばかりで困らせるけどこうしてずっと電撃文庫あなたとよりそってゆきたい」

「ヘルメットを5回ぶつけられたらそれはいい加減にしろの言葉のかわり……!」





《ぼくたちの青春は覇権を取れない。》

主人公の「ぼく」こと坂井、アニメオタクで変人だが推理力に優れる部長の阿仁田、阿仁田の幼馴染の馬越、坂井の同級生でコミュ障美少女の岩根、坂井と同い年だが留年した後輩の不登校児田中ら五人で構成される昇陽高校アニメーション研究部が、部の存続のために色々頑張ったりする、アニメーションを題材とした青春ライトミステリだぞ!

うまくち醤油先生の描く美麗なキャラクターに要注目だ!

本屋さんで見掛けたら手に取ってレジに走ろう!

本屋さんになかったら……電子書籍版を買うか注文しようね!


シコ「よく分かりませんが是非お買い求め下さい」

サヨ「ここは読者に対して恥も外聞もなくひたすらお願いするコーナーなんですか?」



「本作をきっかけに前作を読んだ、という声がちらほらとありました。嬉しいですねえ」

「狙い通り……って言ったらアレですけど、ネタにしたからには読んで欲しいですもんね」

「いつでも切り捨てられる作家相手にはここまで強引な路線変更を強いてくる恐ろしい業界、ということが皆様に伝われば幸いと言えるでしょう」

「告発的な意味を込めてたんですか!?」

「帰宅部のエースに家へ帰らせないような仕打ち! 許せるものではないですよ!」

「陰キャは部活動での比喩が出来ない……!!」


「それはともかくとして、趣味で今後も前作の短編は作っていく予定です」

「え……じゃあ我々はどうなるんです?」

「いつだってモチベーションが 我々<<<あいつら なので……」

「わたし達愛されてないにも程がありますね 忌み子じゃないですか」

「ジャンルがジャンルなのでね……。まあ本作を読んでから前作を読むと『怖い業界だ』となりますが、前作から今作を読むと『やばい業界だ』となるので、いずれにせよどちらもお買い求め下さい★」

「もう電撃文庫に対して砂しか投げかけてない!!」





《ゆっくり言うと何かいやらしい単語シリーズ》

中学生~高校生男子の中でも、特に陰キャラに属するグループが唐突に思いつくシリーズ。

別にいやらしいわけではないのだが、スローテンポで言うことによりいやらしさを増す単語をひたすらに探し求める。

「もりそば」「チンアナゴ」「マンボウ」辺りが人気。

が、最終的に気付くのである。「ゆっくり言ったら多分何でもいやらしい」と……。

それはそうと、大人になっても不意にこの話題を出すと盛り上がるケースがある。

その集団は十中八九独身中年の集まりなので、こういう大人にはならないようにしようね。


シコ「ピーマンが優勝候補です」

サヨ「最後まで読んで損したと思えるようなおまけコーナーですね……」



「前回優勝単語は『オナモミ』でした」

「圧倒的王者感がある……」





栄武威えいぶい

夢と希望が詰まっていると言われている、異界に存在する文明の一つ。

複数の道具、それも機械と呼ばれるものを使わねば観ることが出来ない。

少年時代、この栄武威を観たアーデルモーデル少年はその性癖を歪ませ、シコルスキ少年は元々歪んでおり、ユージン少年は手遅れであったという……。

「無修正」「裏物」「ディープ系」など、一口に栄武威と言っても様々な趣味趣向、ジャンル、こだわりが枝分かれしている。

たまに観て後悔するジャンルもあるが、それもまた勉強である。こうやって一歩一歩、少年は大人の階段を登っていく……それが異界の習わしのようだ。

なお、本編とは全く関係が無いが、作中に名前の出た担当編集の(sushiya)という男は作品の資料として栄武威を集め、あまつさえ経費計上し、そしてそれを「正しい使い方ですよ。節税」と打ち合わせで言い放ったらしい。(要出典)


シコ「僕もそういう仕事がしたいものです」

サヨ「親が見たら泣きますよ」



「ファンタジー小説なのにエロビデオの撮影をする、というインパクトだけで一話分を丸々書いたのと、どうしてもそこでアーデルモーデルくんという登場人物を出したかったのですが、流石にこれは終盤に持ってくるのもどうか……と思い間違いなく没になるだろうな、と考えていたら意外にも受け入れられた稀有な回でした」

「もう全員感覚が麻痺しているとしか思えない」

「ただそれだけに話自体は通ったものの、没になった表現も多数あったので、それは今後の企画である没ネタ供養で可能な限り公開しようかと思います!」

「やっぱりそれやるんですね……。怒られたから変えた部分を再利用するなんて……」

「約束は守らないといけませんから」

「一人で掲げた約束は単なる独り言ですよ!!」


「因みにこの回の打ち合わせでは他にも『オラが見た特殊AVの思い出』みたいな感じで、担当と作者がAVについて熱く語り合う場面があったとかなかったとか」

「やっぱりギャグ小説の打ち合わせって狂ってるんですね」

「傍から見ればそうかもしれませんが、やっている当人達は大真面目です」

「真面目に狂ってるんですね」

「これは手厳しい」





四転聖してんせい

ゼックス王に仕える、四人の若き男達のことを指す。

その誰もがナロ村(orカクヨ村)の出身であり、つまりは異世界転生者である。四人全員顔が似ているらしい。

一人一人がハンパねェ戦闘力を持ち、いわゆるチートや無双が得意分野。

が、本作は戦闘描写を極限までカットする方針で書かれており、結果として全戦闘描写を省かれた結果、いつの間にか敗北していた。

そういうのが見たい人は……そういうのを買おうね!

余談だが四転聖と戦った者達の戦闘力は、会長>ハマジャック>ユージン(素)>カグヤとなっている。

不等号が逆ではないのかと思うかもしれないが、ギャグ小説の定めである。


シコ「次回作は異世界転生モノにします」

サヨ「どのツラ下げて書くんですか……」



「あー!! 我々も偶然死んで偶然異世界転生したと思いきや偶然現地人より見下され偶然パーティーからは追放された挙げ句偶然犯罪者の烙印を押されたけども偶然持っていたスキルが実はチート能力を持っており偶然助けた奴隷少女と共に偶然手に入れた伝説の農具を使って偶然助けた偉い人から土地を与えられて偶然スローライフを送った後に必然的にコミカライズされたいですねえー!!」


「途中まで運任せのギャンブラーみたいな生き方してますねその主人公……。どんだけコミカライズされたいんですか先生は」

「三度の飯よりは」

「飢え死ぬ未来しか見えない……!」


「電撃文庫ー!! 次回作は異世界転生しながらラブコメするという流行を狙いすぎてむしろギャグになってんじゃねえかってぐらいの作品を出しますからねーッ!! 覚悟しておけド畜生ーッ!!」

「この感じだと次は無いですね……。遺作がこんなギャグ小説になるとは……」





《禁呪》

一部レーベルのライトノベルの巻末に記されているという、唱えると何かスゴイことが起こるかもしれない呪文。

KADOKAWAの名を背負う、伝説の男達が書いたという。

とある新人飛沫作家がネタに困窮した挙句、「よっしゃこれ使ったろ!」と意気揚々と禁呪を使用した結果、何だか編集部がえげつねェ空気になったらしいが、定かではない。

いわゆる「不可侵領域」であり、少なくとも迂闊に触れると大火傷する。シコルスキは己の生命を燃やす覚悟で、そして有象とかいうヤツは己の作家生命を燃やす覚悟で使用した。

その結果どうなったのかは、これを書いている段階では不明である。

「我々三人で仕事をするのはこれが最後」「次担当が変わっていたら察して下さい」など、死地へ赴くような言葉が担当二人から飛び出たらしいが、これも定かではない。

果たして載ったのかどうか……。すんまへん、すんまへん……。


シコ「でも改稿で悪ノリしたのは担当両名の仕業なのでそこだけは強く主張していきます」

サヨ「我々は無実です」




「載っていて一安心でしたねえ。やっぱり電撃文庫は神ですよ」

「掌をくるくると……! でもこの禁呪のせいで作品全体が没になったら普通に作家辞めてましたからね」

「もう書き直す気力が尽きていましたからねえ」

「あと改稿で禁呪が二つに増えているのは……」

担当達ヤツらも鬱憤が溜まっているのではないかと思う次第です」

「ストレスの捌け口系ラノベ……!?」


「ところで禁呪を全部唱えたらどうなっちゃうのでしょう?」

「それはもう――――次巻に期待して下さい」

「出ないのに!? 卑怯なんですよその逃げ方!!」

「逃げていません。明日へ向かって進んでいるだけです」

「そのまま崖に落ちろ……!!」





「というわけでこのようなおまけページがあったら良かったなあ畜生が、という案その2でした。皆様お楽しみ頂けたでしょうか? 賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求第一巻は全国書店で大好評発売中! 次巻はないですが万が一売れたら多分書かされるので、次巻が読みたい方は一人で数十冊買いましょう!」

「握手券付けてもそんなに同じラノベ買う人いないですよ……」


「次回はおまけページ案その3、サヨナ日記を予定しています。更新日は未定! ちょっとだけこの短編シリーズがカクヨ村で目立った瞬間があったのでびっくりしたのはここだけの秘密!」

「それですぐ行動に移れない辺りに、カクヨ村で成り上がる気がほとんどないことが伺い知れますね……」



~その3に続く~

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