第40話

一ヶ月が経ち、ホワイトデーの3月14日。 

午前の授業が終わる。

購買に昼食を買いに行く。

兄がまた作れなかったらしく、購買のパンになった。

教室で素早く食べ終え、図書室に向かう。


図書室には生徒が数人しかいなかった。本棚から本を取り、椅子に腰をおろして読む。


教室に戻ると澤野(さわの)さんに声をかけられた。

「汀銘君が呼んでたよ。伝えたよ」

「うん。ありがとう」


午後の授業が終わり、放課後。

鞄を肩に提げ、汀銘君の教室に向かう。

ちょうど教室から出てくる汀銘君。

「雨下さん、バレンタインデーのお返し」

袋を渡してくれた。

「ありがとう。汀銘君」


一緒に並んで帰っていると彼から思いがけない言葉が発せられた。

「あのっ...僕と付き合ってください」

「はいっ、これからよろしくね汀銘君」


二人の影が重なった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る