第22話

文化祭が終わった一週間後。

午前の授業が終わり、屋上に行こうと廊下を歩いていると何十冊ものファイルを抱える女子生徒が前で蹴躓いてファイルをバサバサと落として彼女もバランスを崩して尻餅をついた。

彼女に駆け寄り、ファイルを拾い集め彼女に返す。

「ありがとうございます。すみません」

彼女は恥ずかしそうに会釈をして去って行った。


屋上につきベンチに腰かけて昼御飯を食べる。

昼休みが終わる10分前になって教室に戻った。


放課後になり、鞄を肩に提げて教室を出る。

階段を降りていると昼休みに会った彼女と鉢合わせして、会釈して通りすぎようとしたら彼女の方から声をかけてくれた。

「先程は助けてくれてありがとうございます。名前を教えてください」

声が震えていた。

「いいよ、当たり前のことをしたまでだよ。私は雨下雫だよ。よろしくね」

「私は羽水岐瑶花です。生徒会書記です。よろしく......お願いします」

会ったときは俯いていてわからなかったけど、内巻きミディアムヘアで可愛い。

「生徒会なんだ。頑張ってね。うすいぎさんだね、これからよろしくね」

「これからもよろしくです。雨下さん。まだやることがあるので...」

申し訳なさそうにいう羽水岐さん。

「ああ、そうなんだ。またね」

手を振ると振り返して、階段を上がっていく。

手伝ったほうがよかったかなと思いながら階段を降りて昇降口に行くと汀銘君が立ち尽くしていた。

雨が降っている。

傘を持っていないんだと分かり、声をかける。

「汀銘君、狭いけど入っていく」

振り返る汀銘君。

「ありがとう」

相合い傘で帰った。

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