雨上がりの空に

闇野ゆかい

第1話

雨が降っている。午後の授業が終わり、放課後になる。帰り支度をして教室を出る。

廊下を歩いてると友達の沙紀ちゃんが駆けてきて、

「一緒に帰ろう。しずちゃん」

と声をかけてきた。

「うん、帰ろう」

他愛ない話をしながら階段を降り、下駄箱についた。

下駄箱の前で立ち尽くしていた彼を見つけた。

私は立ち止まり、沙紀ちゃんが後ろで立ち止まっているのに気付き声をかけてくれた。

「どうしたの、しずちゃん」

「......」

立ち尽くしている彼、汀銘聡史君に一目惚れしている私だけど、沙紀ちゃんにはまだ話したことがない。

「みぎわめ君」

汀銘君は走って学校を後にした。

彼に私の声は届いていない。

傘を渡す勇気がでない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る