3章:治療
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2010年7月になって医者に行く決意をしました。
その前に人間ドックで基本的なスペックを再確認。
結果、特に問題はなし。体脂肪率は16.2%。γ-GTP値が悪いのはいつものとおりだが、これはアルコールのせいではなく、運動不足による脂肪肝。これを改善するためにウォーキングや筋トレをした結果、体重を落とし、学生時代並みになりました。脱フォアグラのためにはもう少し動かないといけないんですが、なにもしない状態ですでに疲れているうえに、雨が続いていたのでウォーキングにも出られないという罠。
この頃、精神的なところがもろくなっているのが自分でもわかるようになっていました。以前ならスルーできたことができなくなり、小突かれただけでも斬られたくらいのダメージを食らったようになっていました。相手の反応が怖くてこちらから動けず、メールも見るのが怖い状態。
例えば料理。卵をかき混ぜている時、手が滑ってぶちまけたことがありました。自分がこんな簡単なことも出来ないダメ人間なんだと感じ、涙が止まらなくなりました。
仕事ではタッチタイピングがあまり上手くないのでキーボードが上手く打てなくて誤字だらけになった時、キーボードに拳を叩き付けて大声で罵声を上げる。感情のコントロールができなくなっているのを感じ、それでまた自己嫌悪に陥ってしまう。
メールの仕事用フォルダが怖くてなかなか見られない。見るためには想定される内容をシミュレーションしてからでないと見られない。
生活すべて、なにもかもがもの凄いストレスでした。
8月になって本丸に攻め込むべく、ネットで調べた専門医で検査を受けました。
問診で症状は更年期障害でしょうと言われ、血液検査をすることに(こちらの注射はなんの問題もありませんでした)。
結果が出るまで10日ほどかかり、果たして結果は男性更年期障害との診断。テストステロン(男性ホルモンの一種)がこの年齢の平均値の半分しかないという。かなり重度ということでした。薬だけでどうなるレベルではないし、少しでも上げないといけないということで、定期的にテストステロンを注射しつつ、体の機能を改善するために漢方とサプリメント的な薬を併用することになりました。
年代別のテストステロンの平均値
20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代
16.8(pg/ml) 14.3(pg/ml) 13.7(pg/ml) 12.0(pg/ml) 10.3(pg/ml) 8.5(pg/ml)
上記の表が血中遊離テストステロンの平均的な値です。単位がピコグラムという極小(1兆分の1g)なのは、通常筋肉に含まれているテストステロンが血液中に溶け出した分だけを計測しているからです。通常の血液検査の項目には含まれないため、検査にも結構な金が掛かります。
テストステロンは性機能(私の場合はこっちはそれほど影響がなかったけど)の他、筋肉などを作る仕事もあるため、最近手足に力がなくなったような気がしていたのは気のせいではなかったようです。後、関節にも影響があります。
まあ、一番大きいのは精神的な影響――集中力、根気、やる気の欠如と、全身のだるさ、頭のほてりなど。おかげで当時取り組んでいた『斬光のバーンエルラ』2巻の原稿はなかなか進んでいませんでした。気力をアップさせて乗り切ろうと別名義にしたのに、やはり気力だけでは乗り切れなかったということでしょう。
で、上腕部に筋肉注射を打ちました。テストステロンは脂溶性で、同じ筋肉注射でも水溶性の薬(胃部レントゲンの際に打つ胃の動きを止める薬とか)よりも痛くないと言われたが、痛いと言うより、ズーンと重い。いや、充分痛いです。
ちなみに体内でテストステロンの原料となるのはコレステロールですが、脂肪肝対策として肉類を控えめにしていたこともマイナス要因だったようです。それに日光を浴びてビタミンDを生成しないといけないのですが、もちろん引き籠もり生活の作家にはこれも足りていませんでした。
もっとも、自力でなんとか治しちゃると決意した2009年秋から植物性タンパクを多めに取って、ウォーキングを始めたので、対策としては正しかったことになります。それよりも昨年かかった心療内科の医者が処方した薬にコレステロールを下げる薬があったのは明らかなマイナスでした。やっぱり、あそこの医者には見切りをつけたのは正しかったようです。今回の医者はきちんと話を聞いて、こちらが納得するまで説明してくれる。それだけでも随分気持ちが違うものですね。医者選びの基本です。
とにかく、ようやく原因が判明しました。
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