第41話 彷徨(ほうこう)
また朝までさまよっていればいい、いつでもボワボワに戻ることが出来る、そんな軽いつもりだった。彼は街を
レノーは知っている場所ならどこでもいい、こんなだれもいない場所からは逃げ出そうと思って走り出した。
(そうだった、自分は足が速いんだった。走ってさえいれば、きっと……)
だがいくら足が速くても、道が
「アルル、クルル!」
「リサク、フェミ!」
彼は皆の顔を一人ずつ思い出した。皆の声や
(どうしてみんなの言う通りにしなかったんだろう?)
彼はご
(だれの姿もない。ここにはだれもいない)
騒ぎを起こすことも出来なかった。こんな立派な
(そして俺はクフィーニスでもあるんだ。このままではまずい。ここはいったい、どこなんだ、俺はいったい、どこから来た? どこへ帰ればいいんだ?)
彼は深刻な
とんでもない
だれもいない、でっかい見たこともない屋敷があるだけで、ここにもだれもいない。ここにも、さっきの
(青い明かり……。これが、遠い東の島の連中が言う、
とある
フェミとリサクに異変を知らせたのはアルルとクルルだった。しかし二人とも、レノーはもうボワボワに帰っているものだと思い込んでいた。フェミがアルルたちの部屋の前でリサクとぶつかりそうになった。
「どういうことじゃ? フェミがここにおるんじゃ。レノーは、前の晩みたいには行かんぞい!」
レノーが屋台の前を立ち去ってからもう五時間は
「リサクは一人で彼を探して! クルルはこのままボワボワに! アルルはあたしといっしょ! レノーを見つけるのよ!」
フェミとアルルはリサクを待たずにすぐ宿を出て行った。
朝はまた
他のみんながレノーを見つけることはできなかった。フェミとアルルはレノーの
「わかった。わしが仕事しながらレノーを探す。アルルはクルルといっしょにいるんじゃぞ。だいじょうぶ。レノーはきっと、見つかるぞい」
しかしその日レノーは、見つからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます