第35話 宿探し
が、レノーはまた不可解な感覚に
たとえば
フェミがレノーの二の腕を優しく
「レノー……どんな気持ち?」
「フェミ、興奮して、わけがわからなくなっているよ。みんなもだろ?」
「そうだね、あたしもだよ」
そう言ったけれども、フェミはフェミで不安だった。
(初めての都だ、それはうれしい。でも、すぐに働く場所を見つけなければならない。住む場所もだ。あたしはうまくやっていけるだろうか? ムネの町とは何もかもが
きれいな茶色の
あたしたちを、この町は快く迎えてくれるのだろうか?)
どんなだって、と彼女は気を引き締めた。
(やれるだけのことはやってみるんだ、レノーの命がかかっているんだから。あたしは、彼がクフィーニスであっても、レノーが好き。レノーのそばにいたい。レノーやリサクはこれからどうするんだろう? イカルカから来たというあたしのお母さん。ほんとうに、あたしは何者なんだろう?)
フェミが質問すると、レノーはまず宿を決める、と指示を出した。リサクがそれに答える。
「じゃったら、宿屋ばっかりの通りがあるから、そこまで行ってみるかの」
ブギーのコパカパいうゆっくりした
「リサク」
フェミの考えを読んだかのようにレノーが声をかけた。
「俺たちはペタリンたちといっしょでなければ泊まらない。五人で泊まれる安い宿を探そう」
了解じゃ、とリサクが答えた。
「じゃがそうなると、あんまり選べんようになるぞい」
かまわない、とレノーは言った。ペタリンたちも話をやめてレノーの言うことを聞いている。
「リサク、フェミ、所持金はいくらだ?」
二人合わせて一万四千コマだった。レノーたち三人は五百コマがいいところだった。それだって、ほとんどはフェミにもらったお金だ。
「一泊六十五コマまでだ、それ以上は払えない。リサク、そんな部屋があるかな?」
どうじゃろうのう、むつかしいのう、とリサクはつぶやくように返事した。
「そうなると、道を変えなきゃならんな」
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