第18話 別れ
もう閉まってしまった
「戻って来た! もう、フェミったら、心配しちゃうじゃない!」
どこへ行っていたの、と言おうとしたクララより先に、ドブシャリを
「大丈夫? 危なくなかった?」
「危ないことなんか何もなかったよ。心配してくれてありがとう」
クララの母親は、ドブシャリなんて冗談じゃない、そんな者と関わり合いにならないでちょうだい、と
「そんなことよりも! あたしたち、やっぱり一番だったんだよ! あたしたち、町長に
「本当に? すごい!」
クララと二人で一番になったことがうれしかった。
「フェミ! 遊びほうけるぞう!」
はしゃぐクララにフェミは声を落として言った。
「そのことなんだけれども」
さらにクララの母親に向きを変えて言った。
「おばさん、話があるんです」
三人の話し合いは長くなった。フェミが言い出したことを聞いて、クララは驚きを
「何かあったら、かならずあたしに手紙を書いてね。フェミのお母さん、早く病気が治るといいね。また来てね。フェミのことは忘れないよ。
クララの言葉にフェミはものすごくつらくなった。
「クララ、きっと手紙を書くよ、ごめんね、おばさん、いままで本当にありがとうございました」
やっとそれだけ伝えると、まとめた荷物を
レノーたち、とくに病気のアルルの所に戻るのが遅くなった。
焼いた魚の匂いがまだする
「薬草もたくさんあるから大丈夫。でもしばらくはあたしたち、
レノーはまだ
「早くアルルによくなってもらわないと……」
それがフェミの気に
「自分のことしか考えられないの? どんな事情があるのか知らないけれど、アルルが必死で病気と
レノーはひどく
「そんなつもりじゃなかった。でも……」
「でも、何なの?」
「アルルだって……。俺たち三人は早くこの町を出なくちゃならないんだ」
命にかかわることなんだ、とレノーは低い声で付け加えた。
「何があったの? 教えて……。どうしてそんなにびくびくしているの」
「それは……俺は、だれを信じたらいいのかわからない。俺たちは、どこへ行っても
もう言ってしまえ、とレノーの頭の中に声が響いた。
「俺は、クフィーニスなんだ」
ところがフェミは、クフィーニスを知らなかった。
「ふぃーす? 何それ?」
「知らないのか? クフィーニスを、知らないのか?」
聞いたことない、あたし
(大丈夫だ。この子は信用していい、フェミは俺たちの仲間になれる。だがなぜこんなに親切なんだ? 初めて会った者に対して?)
「レノー、もしよかったら、教えて欲しいんだ、その……くふぃー……のことを」
レノーはむつかしい顔になった。
「もし話したら、君はすぐにここから出て、二度と帰ってこないかも知れない」
だがフェミは、ちょっと素敵な笑顔を浮かべてこう言った。
「そんなことないよ。だってあたし、レノーのこと、知ってるんだもの」
「何だって? 知っている? どうして」
彼は質問せずにはいられなかった。
フェミは夢を見たこと、レノーを何度もそこで見たこと、どんな夢だったかを語った。
「そんなことって……」
「あたし、 信じて欲しいの、あたしのことを。レノー、あたしもあなたを信じるから」
レノーは
「君もクフィーニスなのか?」
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