第11話 ダグラ
トロムトロは二人で一つ食べるのがちょうどいいとか、この国のどこかに
「それで結局、ダグラまであとどのくらいなんだい? アルルにクルル」
二人のペタリンは赤い目をして首を横に振った。
(そうか、やはり知らないんだな。まあいいか、この二人はもう役に立ってくれているんだし。
「アルル、クルル、森ではありがとう」
もう一度礼を言ったが、ペタリンは山側へあわただしく走って行って腰を下ろした。レノーを手ぶりで呼ぶ。こんな場所で休憩かと
「あれじゃ実際、
「そりゃあ思ったさ。よそ者にとっちゃ天国さ。特に、悪だくみしてるような奴にとっちゃあな。ヨル、なんか、
「そうだな、
ヨル、と呼ばれていた
「旅の方々かな? あっ」
二人の男たちはペタリンを見て何かをささやき
「あれ、ドブシャリじゃねえか?」
「俺はドブシャリ見るの初めて」
「ドブシャリ飼う奴の話なんて聞いたことねえぞ」
馬車はレノーたちを追い越して止まった。おずおずとレノーに
「こんにちは。その、飼ってるの? その……生き物を」
「そうですよ、これは
「あんた、まだ子供だろ? どっから来た?」
「親の使いで……
「だれが」
「親が」
「ドブシャリはだめだぞ。走って来させるんだ。いいだろ?」
アルルとクルルは
町へ入る道、と言うと、少しはきれいにならされているものかとレノーは考えていたが、ダグラはそうではなかった。門もなく、
ペタリンたちはまだ着いていなかった。「いびき」をかきながら馬車を追いかけるアルルとクルルに
「ドブシャリだろ」
そう
「ほっといてもついて来るさ。あんた、ドブシャリに服なんか着せて、どういうつもりだ」
レノーはアルルとクルルをどう
この町までおおむね一本道だった。しかし
「ドブシャリって呼ぶんですか?」
「ドブシャリでなきゃ何だって言うんだ? お前、知ってて飼っているんだろう?」
「俺はペタリンと呼んでいるので」
レノーは言いわけをした。その後ワルと別れ、ヨルの家へ連れて行かれた。二人はアヌサの先の小さな村まで、あるものを届けに行った帰りだと聞かされた。ヨルは一人暮らしだった。
「ちょっとした
彼の部屋はひどく散らかっていたので、レノーは何か
「お客が来たのにこんなに散らかっていちゃなあ」
ヨルはレノーをちらちら見た。レノーは馬車にのせてもらったお礼に、部屋の片づけを手伝うことを申し出るしかなかった。
それはそこ、あれはあそことヨルの命ずるがままに、レノーは重いものを持ち上げて
ヨルの家は
(俺はいったい、ここで何をしているのだろう)
レノーはアルルとクルルを
「大丈夫だって。それより風呂を
(まずい。赤い手と腕を見せるわけにはいかない)
うつむき
「何だ? その手、どうした?」
「
レノーはつとめて
「
すみませんが、とレノーは言った。
「やはりアルルとクルルが心配です。探しに行きます」
「そうか、ちっ。
すみません、とレノーはもう一度
「わかった。ところでお前、赤い手をした男を知らないか?」
レノーの神経は一度に
(カヌウだ)
「知りません」
レノーはとぼけるしかなかった。
(クフィーニスという言葉を出した
ヨルはレノーのことをどう思ったのか、彼が荷物を持って出て行くのをじっと見つめていたが、最後にもう一つ質問を、した。
「レノー、薬を探しているんだって? 『あかし』じゃないだろうな」
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