第6話 カヌウ
のどの
(自分は丘の上にいたはずだけど……?)
とたんに頭がうずいて
彼は何かの台から
(ここはどこだろう?)
やっと立ち上がり窓からのぞいてみると、まわりに日よけの
(ペタリンかな……? 彼らの家かも知れない。いや、あの連中に小屋なんか建てられるだろうか?)
出入り口の扉を押したが開かない。
ガタガタやっていると、だれかがやって来て鍵を開けた。ペタリンではない。薄暗くて顔ははっきりしなかったが、人間だった。
「ようこそ、クフィーニス君」
扉が開く時、レノーは二、三歩後ずさっていたが、男はあいさつをしたあとちょっと中をのぞいた。
「トロムトロの味は気に入ったかい? どうやら食べ過ぎたようだね」
そう言って笑った。
「あなたはだれなんですか?」
レノーが
「自分から
と男は冷たかった。男が横を向くと、背中まである
「クフィーニス! あなたも!」
しかしレノーには、男がだれなのかわからなかった。
「レノーか。俺はカヌウだ。よろしくな」
そう返した。クフィーニスなら、とレノーは考えた、俺は知っているはずだけど……。カヌウの顔にも名前にも
「気分はどうだ?」
「頭がひどくうずく。気持ち悪い」
レノーが訴えた。
「トロムトロは
子供
「もう十六だよ。カヌウは?」
「さあな。忘れた」
カヌウはいくらか沈んだ表情で緑色の
「飲みな」
トロムトロを食べ過ぎた時にはそれが一番
「横になって休むんだ。夜には楽になるだろう」
そう言うと、カヌウは小屋から出て行った。
トロムトロでぐらんぐらんの体を
(いまは、酔いをさまし疲れをいやして体力を回復することだ)
自分の息も、熱く強く
☆★☆
いつの間にか夢の国をおとずれたレノーは、そこでペタリンやらレジーやらカヌウやらと
月が
「あ、ペタリンだ」
ペタリンは歯ぎしりしてみせた。
「きれいにしてくれてるんだ。……そんな顔をするなよ」
二匹のペタリンはどちらがどちらか見分けがつかなかった。どちらもいびきみたいなうなり声をあげた。
「ありがとう。でもなんでこんな夜に小屋の
「そりゃお前さんがきれいにしないでいつまでもくたばっているからだ」
カヌウだった。レノーは急に自分が
「カヌウはこのペタリン二匹とも
突然ペタリンが
「二人と言え。
「それは失礼。かわいいね」
レノーはお
それからカヌウとレノーは、多くのことについて語り合った。
カヌウはここはイカルカの国ではないと言い、ほんの小さな村に過ぎない、三人で作った村だと説明した。
アルルやクルルとは、この先の森で出会った。さらにその先に
アルルとクルルには俺たちの言葉がわかる、しゃべることは出来ない。でも文字を書くことくらいは出来る。
「実際、沼地を通ってこの
十五年間、と聞いてレノーは青ざめた。カヌウがそんなに
(「あかし」を見つけたのだろうか?)
すると、「あかし」が何なのかは知らないけれども、わざわざ殺されるために谷間に戻る必要はない、とカヌウは意見を
(しかし十五年も何をしていたのだろう?)
「俺だって街へ出て、人に会い、『あかし』を探したさ。ひどい
どこへ行っても
考え直せ、とカヌウは
「カヌウ、どこにどんな町や村があるのか、教えて欲しいんだ」
そう
「森を
カヌウは
「
(カヌウは
アルルとクルルは
いいだろう、ため
「ペタリンたちと?」
アルルとクルルはきゅうきゅう鳴いた。
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