第2話 儀式
中央広場には、大きな
山と谷間の
レノーはコルーコという
(何がコトホギだ、体のいい死の宣告だ)、と彼は
街道に出るには二つの道があり、彼が追いやられるのは、ほとんど一部の大人たちにしか知られていない、行き止まりと言ってもいい、沼地を通る道だった。沼には底がない、と言われていた。危険を無視した大人や子供たちが、いったい何人そこに
戻る時は安全な道を通ることが許されているけれども、「あかし」を持たぬかぎり、待っているのは死、だった。そして、これから始まる
席はもう半分
彼の両親はうなだれていた。逃亡はもちろん
「俺はここにいます」
辺りは一瞬静まり返り、やわらかなそよ風が人々の
「
レノーは、家族にないしょで昨夜から一人姿を消したのはいけなかったが、逃亡するつもりはまったくなかったこと、集合の合図を聞いてこの広場に
「ならばよい」
「儀式を始める」
明るい
聴こえるか? 緑の
悪しき力に
その指は木々を
山を
汝の名はクフィーニス
出て行け、山と谷間から
その呪いを
「あかし」を見つけよ
再び祭りが来るまでに
歌が終わった。
見ていた者たちはそわそわして、何か足元を見まわしていた。
「あかし」を見つければ、次の祝祭の日までに戻ってもいいこと、次の祝祭は夏の終わりに行われること、「あかし」を持たずに帰れば、命を絶たれること。
レノーは
続けて、赤い液体の入った
彼の母が手で顔を
「行け」
一つの石が足元に投げつけられて、こつり、と鳴った。また一つ、今度は彼の背中に当たった。彼は足を速めた。するとそれを合図にしたかのように、ぱらぱらと石の雨が彼の体に叩きつけてくる。レノーは真っ赤な両腕で頭をかばいながら、走り出した。
大きい石から小さい石から飛んで来て、時には当たり所が悪くて痛みで立ち止まりかけた。だれもが石を投げてきた。父も、泣きながら母も、兄も石つぶてを投げてきた。
「レノー、二度と帰って来るな!」
くやしかったけれども、レノーは逃げるほかなかった。
(どうしてそこまで、なぜこんな目にあわなければならない?)
走って逃げるレノーを、石を投げながら、
しかしその道の行く先々には、石を持って待ちかまえる者たちがいて、レノーが通りすぎるや否や、彼の背中に硬くてひどく痛いものを投げて来るのだった。
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