第9話 クラスメイトの追及
「ねえねえ、それで会長との関係は? えっと……比……良坂君!」
翌日登校し席に着くと僕の前に同じ中学出身、元同級生、会長曰く僕の元浮気相手らしい
「えっと……どなた?」
僕はやっぱり来たかと思い、思わずしらばっくれてみた。
「あーー酷くない? こんな美女にそんな事言うなんて」
「うわ……自分で言う? って言うか昨日とキャラ違くない?」
なんだ? キャラ変か?
「皆の前じゃ猫被ってるに決まってるでしょ! まあ、私、容姿には自信あるし……って言うかあったし」
「あった?」
彼女が自分で言うだけあって、確かに可愛い。少しつり目がちだけどくっきりいとした目、人形の様な綺麗な顔立ち。栗色の髪を少しアップに、いわゆる盛るって奴かな? 一見ギャルっぽいんだけど、そこまでギャルギャルしくなく、オタクの僕でもギリ緊張しないで話せるくらいのギャル……完全ギャルとは世界が違う気がして僕には無理……。
制服に着こなしも緩く、リボンの上から胸元が少し露に、かなり大きな胸、腰にはカーディガンを巻いているがそれでもわかるくびれ、そして丁度目線の高さにスカートから伸びる太ももが……顔もスタイルも自分で言うだけあって抜群の良さ。
僕は席に座ったまま彼女を見上げると、彼女はまだ来ていない僕の前の席の椅子を動かし、取り調べ宜しく机を挟んで前に座った。
うわーーーい、なんか滅茶めんどくさそう……
「わたしは平入 未都よ、みと! 仲の良い友達にはミントって呼ばれていたけど、あんた私の事覚えてないの?」
「いや、あの……少しくらいは……で、でも君だって僕の事を覚えて無かったでしょう?」
「当たり前でしょう? あんたと私を一緒にしないでよ、失礼ね」
「し、失礼って……」
どっちの方が失礼だよ全く……これだから顔のいい奴は……。
「それよりあんたよ、一体生徒会長と、どんな関係なのよ!」
「どんな関係って……幼なじみのお姉さんと弟みたいな関係……です」
主人と僕(しもべ)の主従関係なんて言えるわけない……とりあえず二人で相談した世を忍ぶ仮の関係を言ってみた。
「――嘘ね……私聞いたんだから」
「聞いた?」
そう言うと彼女は周りを見回し、僕に顔を近づけ小声で言った。
「生徒会長、あんたの事、ご主人様って呼んでた」
うわーーーい、やっぱりしっかりと聞かれてた。
「ごしゅって、そんな事言ってたかなぁ?」
「……ごまかす気?」
「ごまかすも何もそれ以上なんの関係も…てん」
そう言うと彼女の顔が怒りの表情に変わった。
「私、初めて負けたの……勉強だって容姿だって今まで誰にも負けた事ないのに……」
……まあ、この学校に入るくらいだから勉強は出来るよねえ、でも容姿は……可愛いけどさ、随分と自信満々な事で……
「何よ!」
「いいえ、ソウデスネって思っただけで」
「ふん! わかってるわよ、私なんて大したこと無いって思ってるんっでしょ!」
「いや、ソンナコトワ」
「あーーー、頭来る、そうよね、あの生徒会長と特別な関係なんだから」
「特別ねえ……」
特別って言えば特別なんだけど……ねえ。
「何難しい顔してんの? とにかくねえ!」
「あのおお」
朝からテンションの高い平入さんのせいで話しかけられずに、さっきからウロウロと教室を歩き回り、その後暫く後ろに立っていた僕の前の席の女子……当然名前は知らないモブ子さんが、とうとう痺れを切らして話しかけて来た。
「何よ!」
突然話しかけられ、猫を被るのを忘れている状態で、僕に対する態度のままモブ子さんを睨みつける。
「ひいい!」
まるで虎に睨まれた様に怯えるモブ子さん。
「あ……ご、ごめんなさい」
「いいえ……」
「あんた、後で話があるからね! そうね……今日の放課後私に付き合いなさい!」
平入さんは席を立つと僕に向かってそう言う……つつつつ、付き合う!?
「えええええ……」
平入さんと……なんて、また陽向ちゃんに怒られる……ここは断らなきゃ……僕はなにか予定を考えた。
断る理由、断る理由……。
「さもないと……」
彼女は再度僕に顔を近づける。周りから関係を疑われる位の距離迄顔を近付け耳元で囁く様に言った。
「会長に、ご主人様って言われてた事……皆にバラすわよ……」
「…………」
「わかった?」
そう言われ僕は黙ってコクコクと頷いた。
「…………ふん……じゃあ放課後ね」
そう言って彼女は僕から離れ踵を返すと自分の席に戻って言った。
付き合いなさいって、勿論そういう意味じゃないよね……でも彼女は僕の……浮気相手…………まさかねえ……。
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