朝を求めて
シイカ
朝を求めて
朝を求めて長い長い道を歩いてく。
ジットリとした夜の空気が肌にまとわりついてくる。
――朝を求めてはいけない――と言うかのように。
それでも私は歩き続ける。
朝を手に入れるために。
――私の前から朝が来なくなってどれくらい経っただろう――
私は歩きながらそんなことを思い返していたがすぐに考えるのをやめた。
朝が手に入れば関係のないことだ。
途中、巨大な坂道に出くわした。
私は昇った。夜が追いかけてきても昇った。
夜は諦めない。
朝を手に入れるまでは私も決して諦めない。
私は昇った。
待っているだけでは決して手に入らない朝を求めて。
巨大な坂道は私を笑っていた。
坂道は笑う。夜は追いかけてくる。
それでも私は昇り続ける。
朝を手に入れるために。
坂道を昇り切ると真っ赤な太陽が見えた。
朝だ。人工じゃない天然な朝を私は手に入れた。
もう二度と戻らない。あの暗闇の中には。
私は、これから朝だけの世界を生きよう。
朝を求めて シイカ @shiita
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます