第2話 1日遅れの始業式
白丸商業高校の始業式から一夜明けた朝は、昨日と同じかそれ以上の晴天であった。
「ふぁ・・・。」
流石に授業が始まる今日は新太もしっかり起きたようだ。
自分の部屋を出て顔を洗い、自分の部屋にあるハンガーにかかった制服に着替える。
今時珍しい学ランの制服だが、新太自身は結構気に入っている。そうして、朝食を食べてから家を出る頃には丁度いい時間になる。
「いってきます。」
両親が滅多に帰ってこないこの家では誰からの返事もないのだが、いつかの癖で無意識に言ってしまうのだ。
「よっ!初日からサボるとはいい気なもんだなぁ首席様は~。」
そう呑気な声で俺の隣を歩くのは、高1のときに同じクラスになってから気が合って仲の良い友達の 新貝 努(しんかい つとむ)。良い奴なのだが、少しウザい面もある。なによりウザいのはイケメンで女子にモテルと言うこと、まぁもう1つあるけど、そっちはいずれ。
「よせよ、別にサボりたかった訳じゃない。起きれなかったのだから仕方ないだろ?」
「起きれなかったで、初日から休む奴はこの学校にはお前くらいだぞ?」
そんなことはないだろう。きっと眠くて休む人間は少なくないはずだ。睡眠は大事。
「でも、去年は別々になっちまったが、今年は同じクラスだな!」
「そうなのか?」
「・・・あぁ、そっか、そこも知らなかったか。お前は俺と同じ1組だよ。」
「そうか、これで職員室に行く手間が省けたな。ナイスだ努。」
「それに、昨日着任式で超絶美人の教師が来たんだよ!」
「?」
努が女子に興味を示すとは珍しい。これは相当な美人なのでは?それも絶世の美女レベルだろう。勝手に壮大な期待をしてしまうな。
「その先生は何の科目担当なんだよ?」
「確か、英語だったと思う。」
「へ~。じゃあ俺らの英語の担当になってくれると良いな。」
そう言えば、あいつも英語の先生を目指してたってけか?
頭の中に可愛い女の子の姿が浮かぶが、
(まさかな。)
すぐに振り払った。
「ふふっきっと驚くだろうなぁ。」
2人の男子生徒を校舎から眺めていた金髪美女には、誰も気が付かなかった。
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