紙飛行機

幸葉 紡

紙飛行機

昼間スエットサンダル

片手ビニール袋inビール

それはそれは晴れた二十七の春

通り過ぎる公園だった場所

今でもあの頃の笑い声が聞こえる


いつの間にか始まった紙飛行機大会

誰が一番遠くへ飛ばせるかなって競い合ってたけど

僕が一番最初に堕ちたんだ

折り方を一種類しか知らないから

几帳面に端と端を揃えて

綺麗に折ったはずなのにな


バイブ音が鳴った携帯

飲み会の誘い 返事はOK

通知消して映った待ち受け集合写真

一人無理して笑った俺がいた

アルバムは去年から三枚増えただけ


折り方が悪かったのかな

もっと他の形にすれば良かったかな

そんな理由つけて描いてた夢から一抜けて

拾うこともせずに


建前だけのスーツに袖を通したんだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

紙飛行機 幸葉 紡 @Sachiba_word

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る