異世界からの来訪者達①


 玉ノ森茜はその日、教室に置き忘れたヘアピンを取りに戻っていた。


 弓道部の活動が終わった後、髪を留める備品が無いことに気付き友達に先に帰ってるよう言ってから一人夕染めの学校を歩いた。

 校内では未だ吹奏楽やブラスバンド等が活動しており、楽器を叩く音やマウスピースを吹く音、たまに駄弁っている声なんかも聞こえてくる。


 普段とは異なる様相を見せる自由な空間に、茜からはフフッと微笑が零れた。

 人付き合いが苦手な彼女にとって、昼間の喧騒を思わせる雰囲気よりも今の方が良い。変に視線を気にすることも、声を掛けるのに勇気を振り絞る必要もないからだ。


「~~♪」


 そうやって気分に乗ると、つい音が鳴るのに合わせて身体が動き始める。

 動くと言っても誰かに見られたら恥ずかしいので音と一緒に床を踏むのが精々だ。傍からすると歩調が少し変だと思う程度なのだが、普段の彼女ならこれも難しい。

 その内合わせる事にも慣れてくると、今度は音の方から彼女に歩み寄るみたいに息が揃ってきた。

 更にこの際だからもう少し行っちゃえの精神が働き、茜のステップも徐々に大胆になってくる。

 この状態を普段を知る友達が見れば面食らうこと間違いなしだ。それくらい今の彼女は興が乗っていた。


 先生に用事が入らなければ、それで自主練になんてならなければ。もっと言えば先輩が緩く各自解散なんてならなければこの状況にも出会さなかっただろう。

 偶然できた空き時間を謳歌し、それで何と無しに神様という曖昧な存在に形だけの礼心をした。


 ありがとう神様。私は楽しんでますよっ、て。


 しかしそんな時間も有限でしかない。教室の前まで来ると、中に人影が見え有頂天だった気分は現実へと引き戻された。


(誰だろう。こんな時間に)


 この教室周辺は部活の使用範囲から外れているらしく、先程までの音も遠い。つい自分も同じだということを忘れ、こんな時間に教室にいる変わり者を扉越しに見やる。


「あれは…」


 よく見ると人影は一つではなく三人分ある。細いヒョロ長と、小柄なぽっちゃり。あとは大柄なデ……ぽっちゃりが行き過ぎた系の人がいた。

 そんな特徴的過ぎるシルエットから茜は三人が誰かを特定する。


(大山さんと海原さん、あとは谷繁さんだよね)


 細いのが海原で、小柄なのが谷繁。そして一番目立つ縦にも横にもデカイのが大山だ。

 体格的には正反対の彼等だが、揃って気弱そうな性格が滲み出ている。


 何と言うか…。言ってはアレだが友達が多くいるタイプではないだろう。勿論人の事を兎や角言える立場でないのは重々承知してるが、そんな彼女から見ても近寄りがたい独特のオーラを発している。

 それが意図的なのか無意識なのか。後者だとすれば本人達にとって悲しい事実を知る事になる。

 まぁでも、ああやって楽しそうに話せる友達がいるなら深刻に考える必要もないだろう。


(何を話しているのかな…)


 ふとここでそんな事を思う。

 三人ともクラス内では大人しい方なので、ついどんな事で盛り上がっているかが気になった。休み時間になるとクラスの端で額を寄せて周りとの空気をってしまうので、何時も何を熱心に語っているか興味があるのだ。

 だからつい、いけないとは思ってても息を殺して耳を傾けた。


「いやー、やはり『螺旋俯瞰』は最高ですぞ。特に主人公が本領を発揮した時の無双ぶりは何度見ても堪りませんなー!」

「その作者である唐瓜しめじ先生の新作、『福音忘却』が明日発売ですか。ずっと待っていた身としては感慨深いものがあります」

「自分は『絶空の狭間』シリーズよりも『太陽姫』をやって欲しいです。一体リメイクは何時になるのか…」


 三人がしているのはお気に入りのライトノベルについて話し込む、所謂いわゆるオタク談義である。熱を持った愛好家達が自慢の知識を披露し合い、情報の共有を行っていた。


(あぁ、どうしようコレ。聞いちゃいけないやつだよね)


 誰もいない放課後の教室で、趣味全開の会話に勤しんでいる。それを偶然とはいえ故意に聞いてしまい、何だか申し訳なく思った。


 茜自身オタクに偏見など無いが、世の中にはそういう人が少なからずいる。だから彼等は人目を避け、共通の趣味を持った仲間との時間を大事にするのだ。

 そこに部外者が割り入ったらどうなるか。相手も気まずいだろうし、自分も居たたまれなくなる。


 ここは聞かなかったことにして、不干渉を決め込むのが正しい選択だ。ヘアピンは明日回収するとして、今日は帰ろうと踵を返す。


 しかしその判断を下すのが少し遅かったと、動作の途中で気付く。何故なら――


「あれ? そこにいるのって」

「んん~? Oh、アカネではありませんか! こんな時間にWhat's up」

「ぁ…、神埼さん。それに…秋羽さんも」


 茜を呼んだのは同じクラスの神埼みくると、独特な喋り方をする秋羽ルルカだった。

 身長百五十センチ程度で童顔と、先程の三人組に勝るとも劣らない特徴を持つみくる。

 それに対しルルカは美人で金髪碧眼と、容姿から何から日本人離れしていて最早普通な部分を見つけるのが難しいくらいだ。


 二人は丁度東階段から降りてきたところで、教室の前で立ち止まる茜に声を掛けた。


「珍しいね。二人が一緒なんて」


 神埼みくると秋羽ルルカ。性格も育ちも違う二人が隣で歩く姿は、ルルカが転校してきてから今日まで見たことがない。


 特にみくるは自分と同じくコミュニケーションに疎い方だと思っており、ルルカを連れて歩いている事に茜は多少なりとも驚いた。休み時間もぼーっとしていることが多く、声を掛けても反応が遅れるなんてよくある。

 だが茜のように内気かと問われれば違う気もするし、そういう意味では変わり者同士気が合うのかもしれない。


 茜の中で既に変わり者と認定されたルルカだが、彼女がクラスメイトになったのは今年の春になってからだ。それまでは海外のスクールに通っていたらしく、両親の都合で日本に戻って来ていた。

 文化の違いもある中で、その天真爛漫な性格と容姿からクラスに馴染むのは早かった。今ではすっかり学校中の注目を集め、この学舎まなびやで一年長く過ごしてきた茜としては複雑な心境を抱えていた。

 そういう意味で玉ノ森茜はこの秋羽ルルカが少し苦手である。


「そうかな……あぁそうかも。秋羽さんと二人は珍しいね」

「しいね~」

「私普段人を見てないから、秋羽さんがどんな人かも今知ったよ」

「いやいや。さっきまでワタシのNameも忘れてたやないかーい、つって」


 何だろう。会話が浮わついてると言うか、妙に張りがない。

 まるで穴の空いた風船みたく膨らんでは萎み、吐いては抜けるを繰り返すだけで中身が広がらない。

 このまま続けても仕方無いので、思いきって話を振ってみる。


「どうして二人は一緒だったの?」

「今日は私が日直で、秋羽さんには集めたノートを運ぶのを手伝ってもらったんだよ」

「イエース! 極東には思いやりのカルチャーが或ると聞きました。そのスピリチュアルに乗っ取り我輩も次善活動? を始めたのでーす」

「うん、お陰で助かったよ。はいお駄賃」

謝謝シェイシェイ

「全然慈善的じゃない!」


 ノートを運んでもらった程度でお金を渡すな。そしてルルカも受け取るな。


 流れるような一連のやり取りを見て、やはりこの二人気が合うのかもしれないと考えを強めた。すると…


「あの~、」

「……あ」

「ん? 教室に誰か居わすデスか?」


 後ろから掛けられた声に茜は自分が何をしていたか思い出す。


 そうだ。自分はこの場を去ろうとしていたのだ。

 教室には共通の趣味で盛り上がるクラスメート3人がいて、彼らの邪魔になるからとそのまま帰ろうとした。

 みくるとルルカの登場で失念していたが、扉の前であれだけ騒げば嫌でも気付くだろう。


 案の定、振り返った先には所在無さげな海山谷オタク3人組がいた。


「Wow! カズトにナオヤ、それにユウト。こんな所でどったまげ~」

「ど、どったま…?」

「こんな時間にどうしたの。部活のない人達はとっくに帰っちゃったよ?」

「あ、その…拙者達は教室で三人で話してて…」

「丁度今帰るところだったんです。…すいません」


 明らかハイテンションのルルカには付いて行けず、続くみくるからの質問にもオドオドした口調で答える。

 こうなると茜が知る何時もの彼らに戻ってしまった。先程までの快活な喋りは鳴りを潜め、尻尾を巻くかの如くその場を後にしようとする。

 しかし彼らの行く手をまたもルルカが遮った。


「HEYHEYヘ~イ、そんなんじゃ私は抜けないぜ?」

「あの、秋羽さん? そこを退いてもらっても…」

「shut up! 甘えを强逼するのは自分に甘いからネ! ルルカの屍を越えて行けないようじゃ駄目アルよ!」

「ちい……何て?」

强逼チィァン ピィ……中国語で強要するとかの意味だね」

「あ、どうも」


 何故みくるがそんな事を知るかはこの際置いといて、茜は腕を広げて反復横跳びをするルルカを呆れ見た。

 黙っていればモデル顔負けの美人さんなのに、今みたいな奇行が全てを台無しにしている。


 パーソナルスペースという言葉が白旗上げて逃げて行きそうな彼女だが、時々反応に困ることがある。

 今だってどう収めれたら良いか分からないし、適当に捌いてくれそうな人もいない。ここにいる人間の過半数は人見知りで構成されているのだから。

 唯一対抗できそうなみくるも、絶賛横跳び中のルルカと普通に話すだけで止めようとしない。変人に変人をぶつけても打ち消しあう訳ではなかった。



 そうしてルルカの暴走を止められずにいること実に1分。漸くこの光景に異議を唱える者が現れた。


「……廊下の真ん中で何をしているんだ、君達は」

「Who?」


 後ろから向けられた言葉にルルカが足を止め、声がした方に振り返る。

 四人が助かったという顔をして一斉にそっちを見るが、そこにいた人物に先程とは違う緊張が流れた。


「ねえ爽弥、やっぱり止めましょうよ。オタクと変人ばっかじゃない」

「そうは言っても無視するのは…」

「用事だけ済ませて早く帰れば良いんです。行きましょう爽弥君」


 いきなり現れては散々な言い様に、流石のメンバーも思う事はある。

 だがここで言い返せるようなら先程の事態も起こらなかった。きらいの人見知りが発揮され、何人かが廊下の先へ視線を逃がした。


「OH! イオリ、ユノ、ソウヤ! ユー達もクラスルームにWhat用ですか?」

「別に。ただ荷物を取りに来ただけよ。それよりそこ退いてくれる? 邪魔なんですけど」

「哎呀? 謝謝」

「ふんっ」


 皆が顔を背ける中、やはりルルカはいつも通りを貫く。名前を言われた三人は各々見せる反応も異なるが、オタク組のようにオドオドとはしていない。むしろ背の高い女子生徒などは反抗気味に突っ掛かるぐらいだ。

 彼女を過ぎた後も態度は変わらない。茜の前まで来ると、人に物を頼む態度とは思えない高圧的な姿勢で見下ろした。


「アンタ達もよ。ちゃんと聞いてた? そこ退いてくれる」

「あ、ごめんなさい…」


 その要求を半ば反射的に呑むと、空いた道を三人が通る。茜はすれ違い様に二人の女子生徒に挟まれた少年を盗み見た。


 郁真爽弥。両親が医者と弁護士の所謂いわゆるお金持ちであり、彼自身も優秀な成績を残してきた生粋のエリートである。


 サラサラとした黒髪に、光沢のある瞳。邪氣無あどけなさが抜けた顔は凛々しくもあり、スラリと伸びた長躯の内側は見た目よりも引き締まっている。

 容姿端麗でスポーツ万能、おまけに将来も安泰と来ればモテない筈もなく。

 ルルカが良い意味でも悪い意味でも有名だとすれば、此方は良い噂しかない。入学して1ヶ月経つ頃にはファンクラブが設立され、聞いたところによると校内だけでなく外部にまで会員を拡げているのだとか。


 茜も三年に上がって初めて一緒のクラスになれたが、未だにマトモな会話すら出来ていない。

 自分に自信がない事もそうだが、何より周りの守備が厚いのだ。前述に述べたファンクラブ然り。その会員達でさえ阻まれる鉄壁の壁が彼の横に存在する。


 その壁と云うのが、奈々瀬伊織と瑞季柚乃の幼馴染み二人である。


 彼女達は何時も爽弥の傍を陣取り、彼と接触を図る輩を出来るだけ排除していた。

 長身で切れ長の伊織が先頭に立ち、近付く者を威圧する。快活な伊織とは反対に大人しそうなイメージの柚乃だが、その見た目に油断していると毒を喰らわされる。

 彼女の役目は後方からの援護であり、相手の弱点コンプレックスを引き出しては傷口を広げてくる。そうして今まで犠牲になってきた者は数知れない。


 しかしここまでされながら、当の本人はそれに気付いてすらいないのだ。


 入学当初は下駄箱にラブレターなんて在り来たりなイベントをこなしていたにも関わらず、それが突然止んでも疑いもしなかった。

 柚乃の口撃に遭った女子生徒が一人居たが、その子が爽弥に泣きついた時も二人を庇うばかりでマトモに話を聞いてくれなかったそうだ。三人は小学校からの付き合いであり、そこに他人の入る余地なんてない。

 それを思い知った時、淡い恋の蕾は咲かずに夢へと還元された。



「ほら、さっさと退きなさいよ鬱陶しいわね。ちょっとは痩せるとかしたらどうなの」


 伊織が吐く悪態でハッと思考の渦から抜け出し、未だ扉の前にいる三人を見た。

 悠斗と和人のぽっちゃりコンビに行く手を阻まれ、爽弥は苦笑し、柚乃はよく分からない無表情を浮かべていた。


(あ、そうだ。私もヘアピン)


 教室を占拠していた方の3人組も出てくるようだし、せっかくだから当初の目的を果たしに行こう。ただ伊織と柚乃が怖いので、あの三人が出た後で入ろうと決めた……


「ほら早く……って、え!?」

「わっ! 何だこれは!?」

「な、なに!」


 だがそれを為す前になって、教室に入ろうとした爽弥達の足下に円環と幾何学的な紋様が現れたかと思うと、突如として純白の光りを放ち始めた。

 否、彼らだけではない。茜の下にも、ルルカやみくる、そして爽弥達と近い距離にいた悠斗達の足元にもソレは現れた。


「うわっ!!」

「なにこれっ、眩しい…」

「What´s!?」

「こ、これはもしや…!?」


 学校中を照らすような強い光量に目が眩み、咄嗟の自己防衛で眼を覆った。視界を遮ってからも光は収まらず、どころか一度輝きを増して最後にはキイインと耳鳴りがした。



 それから数秒か、或いは数分か。光で塗り潰された廊下が本来の色を取り戻した頃、そこには誰もいなかった。

 最後に触れた教室の扉は開きっ放しのままであり、悠斗達が使った椅子も引いた状態で残っていた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「うっ……く、此処は…?」


 次に眼を開いた時、そこに彼等の知る日常は無かった。有るのは黒と白に色付けされた部屋であり、授業で使う教室の景色ではない。

 9人は二十畳ほどの部屋の中央に立っており、彼等の足元を照らしていた光はいつの間にか消え失せていた。代わりに部屋の半分ほどの面積を占める円形状のステージのような物の上に乗っていて、少し高い所から部屋を一望できる。

 しかし何度も言うように物がない。本当にただモノクロに塗られただけの内装がこの部屋を特徴付けていた。


 とここで、部屋の外から複数の足音が迫って来る。いやに重そうな音と金属の打ち付け合う音とが混ざり合い、かなり遠くからその音を拾うことができた。

 九人は互いに頷くこともしなかったが、誰も立っている位置から動こうとしない。混乱が重なる中、更に問題の種を拾うなんて真似はさしものルルカでさえしなかった。


 しかし此方が拾わなくても向こうからやって来る。複数の足音が部屋の前で止まると、恐らく唯一の出入り口を蹴破って全身フルアーマーの集団が雪崩れ混んできた。


「キャアッ!」

「な、なんだ…、どうなってるんだ」


 それを見て爽弥の腕を掴んでいた伊織と柚乃が更に強く抱き込む。集団は剣を携えており、照明に当たって屈折した銀光が彼女達の眼に入ったのだ。

 爽弥も爽弥でパニックに陥り、譫言のように疑問を呈するだけでマトモな判断が取れていなかった。日本では先ず御目に掛かることのないそれが、紛れもなく本物だと第六感が警鐘を鳴らしている。


 そうして場に緊張が走る中で、落ち着いた、しかしよく通る声が部屋に響く。


「全員剣を収めなさい。彼等は侵入者ではありません」


 入り口の奥より聞こえてきたそれは、兵に絶大な効力を示す。


 部屋に押し寄せた十数人以上の集団が、命令を受けた一拍後に一糸乱れぬ動きをして見せた。爽弥達に向いていた剣の矛先を収め、狭い室内に道を作った。

 統率と連携、その両方がないと成り立たない。体育の授業で集団行動をやった彼等は、朧気ながらもその努力だけは感じ取った。


 そうして出来上がった道を通り、一人の男が表れた。


 灰色の髪を後ろで束ね、執事と聞いて思い付くような片眼鏡を掛けている。全体的に線が細く、しかし決して弱々しいとかそういう印象は受けない。むしろ理想的な体型を維持している程だ。

 彫りが浅く若く見えるが一体何歳なんだろう。下手すると大学生に間違われても可笑しくない。

 見た目からして如何にも仕事が出来そうな美丈夫といった感じだ。


「とんだ御無礼をお許しください。此方に敵対の意思はございませんので」

「え、あ、いや…大丈夫です。驚かしたのは此方も同じですから」


 突然見知らぬ人に謝られて、反射的に首を振った。驚いたのは確かだが、頭を下げてまでもらう必要はない。結局この状況は予想外のものであり、彼方の意図とは関係なく起こったことだ。


「深い御心に感謝致します。わたくしこの国で大臣を任せられていますアンドレーフです。以後お見知りおきを」


 失礼にならない程度に軽く腰を折った。


「どうも。郁真爽弥と言います。高校生です」

「どもども~、ルルカだよっ! よろしくねー」

「ちょっと! 爽弥の後はアタシって決まってんだからね! 奈々瀬伊織よ」

「同じく瑞季柚乃です」


 その後も挨拶を済ませていき、皆の自己紹介が終わった。


「それでアンドレーフさん。ここは一体どこ何でしょうか。ボク達さっきまで学校に居た筈ですが」


 またも爽弥が代表して質問をぶつける。その発言を受けてアンドレーフは思案する顔になった。


「ふむ…そうですか。皆さんはどうして喚ばれたのか御存じないようですね。ではそこも含めてお話ししましょう」


 そこで一拍置き、九人に衝撃の事実を告白した。


「此処は皆さんがいたのとは全く別の世界、名をダリミル。そして貴女方は古き伝承より語られし英雄の素質を持つ九人の勇者様です」


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