第20話 恋の病かぁ...
~釣畑美羽 side~
私は何も考えられないまま、ぼーっと歩く。
すると、もう家に着いていた。
誰もいない家を開けて入る。
私は自室に向かって、ベッドに倒れ込む。
涙が布団に染み込んでいく。
それでも私の涙は止まってくれなかった。
こんなにも私は、泣き虫だったのだろうか。
こんなにも私は、大塚くんの事を思っていたのか。
だめだ、好きだからこそ祝福しなきゃ。
そう考えると、涙は出てこなくなった。
そうだ…、私、文化祭のクラスTシャツの
デザイン考えなきゃいけなかった。
みんなに迷惑がかかっちゃうな…。
私は、まだ目が赤く腫れていたが
机に向かった。
どのようなのがいいだろうか。
男子でも女子でも着れるようなものが
いいよね。
デザインを考えていると、
さっきのことを考えずに済んだ。
私は時計なんて見向きもしなかった。
そのまま、母が帰ってきて、夕食になるまで
ただただ、描くのに没頭していた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
夕食を食べ、お風呂にも入り、
自室に向かった。
1人になると、また大塚くんのことが
頭に浮かんでくる。
「しょうがない」
そう自分に言い聞かせた。
私は学校の課題をする。
その課題は、今日取りに行った課題。
涙が出そうになっても、深呼吸をして、
止める。
今日が金曜日で良かった。
土曜日、日曜日は休み。
それまでに元通りになっておかないとね。
私は課題を終わらせ、寝る準備を整えた。
今日は泣きすぎたからか、疲れていた。
いつもより早い時間にベッドに横になる。
私の意識はすぐに落ちていった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
~大塚蒼太 side~
今日は土曜日。
俺はバレーボール部所属なので
休みなのにも関わらず学校にいた。
部活中は釣畑のことを
頭の隅に置いておかなければ。
昼ごはん休憩になる。
俺は家から持ってきたサンドウィッチを
カバンから取り出す。
同じ部活で1番仲のいい、
谷本 秀次(たにもとしゅうじ)の隣に座る。
「おぉ、大塚。
なんだ今日はいつもより元気なくね?
なんだなんだ、恋の病か!?」
ケラケラと笑う秀次。
図星なので俺は何も言えなくなる。
空気の違いを感じ取ったのか、
秀次から笑顔が消える。
「え?まさか図星だった?あの大塚が…恋?」
「あぁ…、まぁな。いろいろあったんだ。」
「へぇ…。お前がねぇ…。
今まで彼女なんていらねぇ、とか言ってた。」
「うるせぇよ…。」
「あははっ…まぁまぁ…。
そういう年頃だよなぁ、お前も。
なんかあったら言えよな。
相談くらいは乗ってやっから。」
「…ありがと。」
意外といいやつなんだな…。
どうしようか。
言った方が楽になるのか。
言おうか迷っていると、
休憩が終わってしまった。
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