第11話 一体、だれが?
~釣畑美羽 side~
4限目が終わり、昼食の時間となる。
やはり休み時間は大塚くんの謎のラブレターについて持ち切りだった。
私も、すごく気になってはいたが誰だかが分からなかった。
本当に4組の人なのか?そう考えていると凄い。こんなにも自分の書いたラブレターが話題に上がっていて恥ずかしくない人なんて居ないはず。
もし、4組の人ではないなら誰だろう?
そんな考えがずっと頭の中でぐるぐるしている。
それより、当の本人はどう思っているんだろう。
周りの人より貰った本人である大塚くんの方が冷静である気がする。
もしかしたら、もう予想がついてるとか?あるいはもう知っていた、とか?付き合ってる…ということも可能性としてはある。
でもそんな素振りを見たことがない。
付き合ってるとしたら、南川くんにいうだろう。
そちらの方も考えていると頭がごちゃごちゃ。
とりあえずお弁当食べよ!
いつも通り、私は真奈美ちゃんとお弁当を食べた。
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~大塚蒼太 side~
朝7時50分、俺はいつもの様に学校に着いた。
いつも通りと言っても、いつもより今日は早く着いた。
この時間は教室には誰もいない。
だから今日ほ俺が教室の鍵を取りに行かなければならない。
職員室に行き、1の4の鍵を取る。
教室に行き、ドアの鍵を開ける。
昨日の夕方から閉じ込められていた空気は熱く、一気に自分に吹いてきているような気がした。
自分の席に向かい、準備をしようとする。
リュックから教科書を出し、引き出しに入れる。
すると、クシャッという紙の音がした。
なにかプリント入れ忘れてたっけ?
そう思って引き出しに手を入れてみると、プリントではなく小さな紙切れが入っている。
最初は裏を向いていたので、ただのノートの端の部分かと思った。
表を向けてみると、
「好きです」と女子らしい丸文字でそう書いてあった。
最初はなんの事かが分からなかったが、頭の処理が追いつくと、びっくりして声も出なくなった。
好き?だれが?それは本当に俺に宛られたものなのか?
たくさんの疑問と混乱。
一旦、冷静になって、もう一度その紙を見てみた。
やっぱり「好きです」と書いてある。宛先も宛名も書いていない。
でもここは俺の席だしなぁ…。
ここが自分の席であることを何度も確認する。
一体誰が?まず1番の疑問はそれだ。
俺のことが好きなやつなんて予想もつかない…
翔太や他のやつのイタズラか、ということも考えたけど、この特有な丸文字は女子のものだ。
書かせたとか?まぁ、それも有り得る…。
色々なことを考えながら準備をする。
一旦、誰かが来たらその人に意見を聞いてみよう。
なるべく男子の方がいい。
準備を終えた、いいタイミングで響一が来た。
彼女持ちのあいつなら何かわかるかもしれない。
「ちょっとさ、これ見てほしいんだけど…」
「ん?なに?」
紙を響一に渡す。
響一は髪に書かれた文字を見ると、目を見開いた。
「え!?これどういうこと!?ラブレターじゃん!!」
思った通りの反応。ここからが本題。
「そうなんだよ…今日、朝来て準備しようとしたら引き出しの中に紙が入ってて…見てみるとそれがあった」
俺はわかりやすく、それを見つけるまでの経緯を話した。
響一は聞き終わると、「んん~~…」と考え出した。
5秒ほど経ち、響一が口を開く。
「これって昨日から入ってた訳じゃないの?」
「あぁ、昨日までなかった。少なくとも俺が帰るまでは。」
「てことは、4組の誰かが入れたって事だな」
「え?なんでわかるの?」
俺はなぜ、響一が"4組の誰か"ということが分かったのかが理解できなかった。
話を聞くと、昨日はテスト終わりで、放課後は全ての教室に鍵が閉められる。
ということは昨日教室に入ったのは4組だけ。
今日入れられていた、という可能性もあるが、俺が教室の鍵を開けて1番に入ったということで、可能性は低い。
だから昨日も入っていたのではないか、というのを響一は聞いたのか…。
でも、昨日はテストで引き出しの中身を確認するだろうし、テストでここに座っていた釣田も何も言っていなかった。
ということはやはり昨日、4組の誰かがテストが終わってから入れたということになる。
全く予想がつかない。
これを入れたのは誰だ?
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