第10話大塚くん宛に。
~釣畑美羽 side~
帰り道、私は舞花ちゃんと帰っていた。
いつもお互い色々なことを話すのだが、私は7限目の大塚くんと話したということを話した。
内容までは喋らないが、たぶん私はいつもよりにこにこしているんじゃないかな…。
今日だけじゃない。他の日も大塚くんのことを喋ることがよくある。高校生になって男子と喋らなくなった、ということもあり舞花ちゃんによく話している。
それらを踏まえると舞花ちゃんは私が大塚くんのことを気になっているのではないか、と気づいてるんじゃないかと思っている。
でも言わないってことは私がまだ言いたくないって分かるんだろうな…。まぁ、遅かれ早かれ気になっていることは気づかれるだろう…。
私って、大塚くんのどこが気になっているんだろう。
バスに揺られ私はぼーっとしている。
雨上がりの空は雲ひとつなく綺麗だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その次の日。
いつもと同じような朝。
私は起きてすぐに学校の用意を始めた。
学校に着くと何やら、教室ががやがやしていた。
何かな?とおもって、ドアを開けて教室に入る。
すると大塚くんの机の周辺にたくさんの人が集まっていた。
普通では無い…ということはわかった。
でもなぜみんな大塚くんの机の周辺に集まっているのか。
私は何があったのか確かめることも兼ねて、自分の席に向かった。
いつもなら、みんな各々のことをしていてあまり集まらない。かなりのことがあったんだ…。
私は大塚くんの後ろなので、何があったのかすぐに見れる。
やはり、輪の中心には大塚くん。
大塚くんの手元を見ると、1枚の紙切れがあった。
ノートの端っこをちぎったようなものだった。
そこには4文字、こう書かれていた。
"好きです"
私はびっくりして声も出なかった。
だれが?大塚くんのことを好き?ほんとに?
そんな考えが頭の中を飛び交う。
その4文字以外には何も書かれていないらしく、
誰が誰に向けて書いたのかは分からないらしい。
でも、今日の朝、大塚くんの机の中に入っていたと言う。
ということは大塚くん宛?
みんなもそう考えているらしく、誰が書いたのかを予想している。
大塚くん宛だということはほとんど確実。
そしてもう1つ、確実なことがある。
それはこれを書いたのは"この4組の中の誰か"という事だ。
その理由は昨日、4組以外入れない状況だったからだ。
昨日はテスト最終日。テストが終わったあとの放課後は、誰も入れない、ということになっていた。
だから、4組以外入っていないはず。
もし、昨日より前に入れていたとしても、大塚くんは今日のように気づくだろうし、テストをする時に1回机の中身を確認する。
だから昨日より前に入れたということはない。
今日入れた、という可能性もない。
今日は大塚くんが1番最初に教室に来て、大塚くんが教室の鍵を開けたらしい。
ということはテストが終わった昨日から今日の朝までは誰も入っていない。
昨日は4組しか入っていない。
今日も大塚くんが教室を開けた。
つまり、4組の誰かが大塚くんの机の中にそれを入れた、ということ。
男子のイタズラか?ということも考えられたが、書かれている文字は丸文字で、こんな字を書く男子は4組にいない。
私が1人でそう考えていると、大塚くんを取り囲む人の誰かが
「やっぱり、4組の女子の誰かだよ…」
と、私と同じ考えを言っていた。
他のみんなも同じ考えだが、問題は
"誰が大塚くん宛にこれを書いた"のか。
今日はこの話題でもちきりになるだろうなぁ…。
私も誰だろう…と考えつつ、準備をした。
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