第9話 最近、気づいたこと。
~釣畑美羽 side~
7限目、進路に関しての授業中。
授業中、あまり大塚くんと喋ることはないのだけど大塚くんが喋りかけてくれた。
そのまま大塚くんは横を向いたまま。
他の人は静かに聞いてるため少し目立つ。
「私立大学行く人多いんだね」や「指定校って凄いね」とか進路に関するたわいもない話をしていた。すると、ずっと喋っていた先生が喋っている大塚くんに気づき、大塚くんだけを注意した。
注意された大塚くんは前を向く。私はそれに少し笑ってしまった。
しかし、少し経ってからまた大塚くんは横を向いて私に喋りかけてくれた。
たったそれだけの事だけど嬉しかったし、楽しかった。
本当なら憂鬱な7限目も大塚くんのおかげでいい時間になった。
私は少し気分よく帰りの準備をした。
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~大宮舞花 side~
1年6組の大宮舞花、クッキング部所属。
釣畑美羽ちゃんとは中学生の時から仲良くしてて、本当は高校は別々になってしまう予定だったのだけど、色々あって美羽ちゃんのいるこの桜丘南高校にした。
美羽ちゃんとは結構長い付き合いなので、大体お互いが考えていることが分かってしまう。
最近、美羽ちゃんは同じクラスにだという
"大塚蒼太"という人の話をよくする。
美羽ちゃんは高校生になり、あまり男子と喋れないらしく、男子と喋るだけでも珍しい。
だから最初の頃は心配だった。
私と違って結構な人見知りで、知らない人がいると黙ってしまう。
「美羽ちゃん、クラスとか友達と仲良くできるのかな…」とよく思っていたが最近ではクラスの子とも仲良くできているらしく、男子とも2人ほどなら喋ることが出来たとか。
それなら良かったと安心している。
しかし、男子のことをなんて呼んだらいいか悩むらしくよくその話をする。
私は「今更だけどなんて呼べばいい?って感じで
聞いたら?」と言ったけどそれも難しいらしい。
それじゃあ、彼氏、高校だけじゃなくて、いつまでも出来ないよ…。
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7限目が終わり、帰りになる。
私は最近、塾に入り浸っていてあまり美羽ちゃんと帰れていない。
行きはほとんど毎日一緒だが、帰るのは久しぶり。帰りのHRが終わり、教室を出ると美羽ちゃんがいた。
いつもよりにこにこしているので、何かいいことがあったんだろうな、と思った。
階段を降り、靴を履く。
そこで美羽ちゃんに何があったのかを聞いた。
すると美羽ちゃんは「7限目に大塚くんとたくさん喋った」という内容の話をしていた。
薄々気づいていたのだが、美羽ちゃんはその大塚くんの事が好きではないのか?
今までの話を聞いているとそう思える。
でも確信はなく、本人も好きな人なんていないと公言していた。
好きな人が出来たら自分から言って欲しい、
というのもあり本人の口から言うまで何も言わないことにした。
でも、仲のいい異性が1人でもいるのなら良かった。
私はそう思いながら美羽ちゃんと楽しく会話しながら駅に向かっていた。
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