第5話 そして気づいたこと。

「好きです。付き合ってください。」


私にはそう聞こえた。

実際、そう言ったらしい。

隣にいる祐誠がニヤニヤしてる。


私はその場では答えなかった。

恥ずかしすぎて、その場から逃げてしまったのだ。



次の日、私は洋介に返事をした。


私達は付き合うことになった。


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それから3ヶ月後、2人での初デート。

電車に乗って、行ったのは水族館。結構、有名な水族館なので人がたくさんいた。付き合う前のようには喋れなかったけど楽しかった。


私がクラゲを見ていた時、洋介は私の右手を握った。私はびっくりして洋介の顔を見たけど、照れているのか赤くなっていた。

そんな楽しい時間はすぐに過ぎていった。


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付き合って、1年と4ヶ月が経った。

私達は2年生になり、すでに1月になっていた。

初デート以来、私達はなにも進展していない。

クラスは違う。LINEも全くといいほどしていない。初デートからなにも進展していない。

誕生日の日だけはLINEなどで祝うくらいだった。


周りからも思われていただろうし、自分でも思っていたけど……


私たちが付き合ってるのは肩書きだけ。


洋介はもう私のことなんて好きじゃないんじゃないか、とよく思っていた。そして、自分が洋介のことを好きなのかも分からなくなっていた。



1月12日、私達は別れた。


別れを告げる前にLINEで、私は洋介に1度、確認した。

「別れた方がいいと思う?」って。

普通に考えたら確認することじゃないかもしれない。


それに洋介はこう答えた。

「わからない。」

2年以上たった今でもその意味は分からない。


当時の私はこの答えにいらっとして、

「じゃあもう別れよう。」

そう言った。


洋介は素っ気なく

「うん」と言った。


これで終わってしまった私の1年4ヶ月。

楽しかったのは最初のほんの数ヶ月だけ。


私にはまだ早いのかもしれない。


そして私は付き合うのは大学生になってから、と決めた。

これが私が高校生のうちは付き合わない、という理由。ばかだな、と自分でも思っているけど1度決めたことだから守りたい。


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そして、現在に至る。

今思えば、いい経験だったのかもしれない。

洋介のお陰で他の変な男に引っかかっていないのかもしれない。そう考えると、前向きになれた。


まず好きな人が出来ない時点で付き合えないか…。

まぁ、私には推しのようくんがいるし、大好きなグループの動画を観ているだけで心がいっぱい。早く、そういうのに出会えとけばよかったなぁ。


私が無駄なことを考えている間、授業は結構、進んでいた。急に先生に「釣畑!」と呼ばれた。びっくりして、「はい!」と答えると「次の問題はどう解く?」そう聞かれた。

まずい、なにも聞いていなかった。焦って教科書を見るけど、どう答えるのかがさっぱり分からなかった。

すると、前から紙が渡された。そこには私が答えなければいけないはずの答えが書かれていた。私はそれをそのまま先生に答えた。先生はニッコリして「正解!」と言ってくれた。

何とか、危機を乗り越えた私は救世主の大塚くんにコソッとお礼を言った。


優しいな……。

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