18 銀河の落し子
「姉さん、さすがに危険です! 帰りましょう! ねえ!?」
あれからすぐあとメグル達は走っていた、怪獣に向かって。
「ばか言わないで、イージスを撮らなきゃ! あの怪獣情報少ないんでしょ!?」
「まあ俺は再生数目当てだがな!」
あのあとすぐイージスとKフォースの戦闘が始まった。いや、それは正しくない。厳密に言えばイージスによる一方的な虐殺が始まったのだ。Kフォースの攻撃はすべて障壁に阻まれ届かない。逆にイージスは口から放つ電子を伴ったレーザーで、次々とKフォースの航空機を撃ち落としていく。その戦闘でイージスは海に向かって移動していた。いや、移動させられていたというべきか、航空機はイージスを誘導するために決死の作戦を行っていたのだ。
「父さん、これからどうなるの!?」
「恐らくイージスを袋叩きにするために全火力を投入するつもりだ」
「無茶です! あの地中貫通なんちゃらでも突破できなかった障壁をですよ!? 普通の兵器で倒せるはずがないじゃないですか!」
「やるっきゃないんだよ。それがあいつらの仕事だからな」
そしてメグル達も自分の仕事を果たすために動いていた。くだけ散ったアスファルトを踏み越えて、ようやく先程まで戦闘が起きていた場所までたどり着いた。
「あっつ! 何でこんなに熱いの!?」
「さっきまで空爆してたからな、熱が残ってるんだ」
灼熱の空気を目一杯吸い込み、汗が全身から吹き出ていく。疲れと熱で意識が若干朦朧としてきたとき、道のど真ん中に彼は倒れていた。
「!? 君、大丈夫!?」
それは幼い少年だった。年齢は10歳ぐらいだろうか? 全身焼け焦げていて、なぜか銀色の美しい髪は、血で赤く染まっている。
「どいてろ! おい、大丈夫か!?」
呆然とするメグルを押し退けタイガが少年を起こし、素早く意識確認をしていく。昔訓練をしていたのでこういうのには慣れていた。
「呼吸心拍有り、出血が激しいなくそっ!」
メグルはなにも言えなかった。少年の肩はひどくえぐれていて目も当てられない。さらに胸と腹は切り裂かれており大量に出血している。メグルは不謹慎ながら、この少年が生きてることが不思議でならなかった。
「とにかくすぐ病院に――」
「待ってください」
少年を担ごうとすタイガをカケルがなぜか制止した。
「なんだカケル! 急がな――」
そこまで言ってタイガがはっとなった。慌てて少年の傷を再び確認する。
「この少年の傷の位置、ギンギラが攻撃を受けた場所と一致してます……」
カケルがポツリとそう呟いた。まるで頭の思考が行き場を失い口から抜け出たように……
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