13 息抜きピッツァ祭り!
「うっひょぉぉぉ! ピザだぁ!」
あれから数十分後メグル逹はすっかり気を取り戻していた。なんせピザ! それも1人一枚! ドリンクとデザート付き! ああなんて贅沢か、まさにこの世の天国生きてて良かった! メグルはいきる喜びを噛み締めていた。
なんでこんなことをしているか? それは昨日の巨人出現の動画が2000万再生を突破したからだ。いままでのKKCの動画のなかでもぶっちぎり、朝起きてそれを見たタイガは一時間笑い転げていた。さらにそのタイミングでピザ屋のクーポンが届いていたのは言うまでもないだろう。
「じゃあKKC再生数記録更新を祝ってぇー?」
「「「かんぱ――――」」」
「たのもーー!!!」
メグルが乾杯の音頭をとり、紙コップを打ち鳴らそうとした時、KKCのオフィスに通じる外の階段をドタドタと登る音が聞こえたと思ったら、凄まじい大音声とともに入り口の引き戸が勢いよく開かれた。
「カケル君いるー!? ちょっと話したいことがあるんだよねー!」
カツコだ。扉の外には顔を真っ赤にしたカツコが大量の酎ハイ缶が入ったビニール袋を片手に立っていた。近所迷惑なほどの音量で返事も待たずに上がり込んでくる。
「もう、なんですかカツコさん? 今から晩ごは――って酒くさっ!?」
カケルが思わず叫んだ。カツコからこれでもかというほどのアルコール臭が漂ってくる。嫌な予感がする……。メグルは反射的に距離を取った。
「酒くさって何よ、レディにそんなこと言っちゃダ・メ・だ・ぞ? っていうかピザじゃん!? 一片ちょうだ~い?」
「いーやーでーす! 食べるんだったら父さんのを食べてください!」
それを聞いたタイガがため息をつきピザを一片差し出した。
「しょうがねえなぁ。ほれ、カツコ」
父さんそれ扱いが犬……。一部始終をなるべく関わらないように見ていたメグルは心の中でそう突っ込んだ。
「やったー! いっただきまーす!」
そんなこと気にも止めずカツコがピザにかぶりつく。がその瞬間真っ赤な顔がさらに真っ赤に染まっていく。まるで唐辛子みたいな色に……
「かっらぁぁぁぁ!!」
「タバスコ作戦成功ぅ!」
「イエーイ!」
文字通り火を吹くカツコを尻目にタイガとカケルがハイタッチを交わす。さすがにかわいそうと思ったメグルが持っていたジュースを手渡した。
「っでカツコ、何のようだ? まさか人ん家の食卓荒らすためだけにここにきたわけじゃぁないよな?」
カツコがジュースを一気に飲み干し、紙コップを握り潰した。その紙コップを背後のゴミ箱へ振り向きもせず放り投げる。
「何のようって言われればいろんなようとしか言いようがありませんね」
宙を舞った紙コップはものの見事にゴミ箱へ吸い込まれた。カコーンといった子気味のいい音が響き渡る。
「KKCの力を借りたいんです。特にカケル君。用件はもちろん、あの巨人のことで」
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