02 怪獣を追うものたち

 この世界には怪獣とカテゴリーされる生物がいる。具体的には全長20メートル以上の陸上活動可能な生物。もしシロナガスクジラが陸上に進出したら怪獣になるし、もっと言うなら太古の恐竜ブラキオサウルスが何かの拍子に蘇っても、書類上は怪獣に分類されるだろう。クジラと恐竜は全く別の生物、同じカテゴリーに入れるなんてもってのほか! そんな意見を持つ学者も少なくない。だが仕方ないのだ、怪獣はあまりにも常軌を逸脱しすぎていて何も分からない。とりあえずどこかに放り込んでおくしかないのだから。


 そしてやはり、人間というものは、未知の生物、というものが大好きだ。それが実在していて、ビルよりも大きいとなるとなおさらだ。今、世界中で出現する怪獣に負けないくらい怪獣愛好家が大量発生している。


 さて、経済学の本を開くとそこには必ず、需要と供給、という言葉が載っている。欲しい者たちと売りたい者たちは緊密に関係しており、需要が増えるほど供給も上がっていくのだ。今怪獣ビジネスによる、一種のバブルが起こっていた。


 怪獣のフィギュアやイラストならまだいいほう、中には怪獣の角や骨、鱗などの胡散臭いものまである。仕方のない、そんなものまで生まれるのも需要と供給だ。そんなコアなものより、もっと敷居が低くて安く済むものがある。怪獣動画だ。


 怪獣動画とは文字通り怪獣に関する動画のことだ。多くが怪獣の考察動画だが、中には怪獣の足元まで近づいて取った映像もある。怪獣の正面や足元に陣取り、決してカメラを止めない勇敢な……または愚か者。そういう者たちを人々は、怪獣ハンター、と呼んだ。

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