第15話 いきなり実践?①

カフェを出た典明と歌織は集合場所である凪野駅まで歩いていた。


「そういえば、これから向かう場所はどこなんですか?」


典明が仕入れた、どんな病気でも治せる医者がいたという町がどこなのか気になったため、歌織は聞いた。




漫画を見ていたならどこへ行くかも覚えているだろうと思うが、歌織は地理が苦手だった。


まして、実際にある場所なら分かったかもしれないが、これは漫画の世界、日本が舞台とはいえ、地名は架空のものなのだ。


作品への愛が足りないのではないか、と思う人もいるかもしれない。


だが、決して歌織にそれを言ってはいけない。


ユウナギに対する愛の深さを延々と語られるぞ、気を付けろ。




話は戻るが、歌織の質問に典明は答えをはぐらかした。


「秘密。万が一のこともあるからね。せめて列車に乗るまで行き先は伏せておきたいかな」


典明の答えに歌織は納得した。


行き先がバレて列車の中で襲われたら大変だ。


自分たちだけならまだしも、ほかの乗客を巻き込んでしまう可能性も考えられる。


典明はそこまで考慮して、敢えて行き先は伏せているのだった。


「それもそうですね。誰が聞いているかもわからないですし」


「そうそう。ちょうどほら…ね?」


典明はそう言いながら歩みを止めた。


歌織は典明の言葉に疑問を抱きながらも、同じように歩みを止めた。


後ろを振り返る典明につられるようにして、歌織も後ろを見る。


だが、後ろには誰もいなかった。


「え…?どうしたんですか…?」


典明の言い方からして後ろに誰かがいると思った歌織は戸惑った。




次の瞬間、前方で足音がしたかと思うと、2人のすぐそばでヒュンと空を切るような音がした。


典明は咄嗟に歌織の肩を抱き、エネルギーを凝縮させて盾にした。


だが盾に何かが当たった様子はなかった。


「一体どこから…?」


突然の攻撃に歌織が正体を探そうと辺りを見渡しながらつぶやく。




「歌織、危ないから僕の近くにいるように」


典明の言葉を聞いた歌織は離れないように典明に近づいた。


そう言った典明もまだ攻撃してきた主を見つけられないようだ。


再び攻撃が来ても対応できるように典明は手にエネルギーを纏わせておく。




ふいに2人の頭上が突如暗くなった。


歌織と典明が同時に上を見上げると人が降ってくる。


しかもナイフを構えて。


「――っシャノ!!」


歌織は反射的に黒猫―シャノワールを呼んだ。


出てきたシャノワールは歌織たちの頭上の影に溶け込み、硬い盾となった。


ガンッ!


影でできた盾が相手の攻撃を防ぐ。


盾は消え、シャノワールも姿を消した。


次の攻撃が来るかと2人が身構えれば、相手は歌織と典明の正面に着地した。


「へぇ…やるじゃないの」


2人に攻撃してきたのは男だった。


「誰だお前は」


典明はそう言い歌織より一歩前に出た。


「わざわざ名乗ると思うのかぁ?これだからお坊ちゃんは…」


呆れたように言う男。


(――いや、普通聞くでしょ。)


呆れている男に対して心の中だけでツッコミを入れる歌織。




「しっかし、お前を狙ってきたらまさかの女も能力持ちとはなぁ…。人質くらいしか使い道がないと思っていたが、予定変更だ。お前を殺して女は奪うとするか」


「そう簡単にこの子を渡すと思っているのかい?」


男の言葉を聞いて声を低くする典明。


「まさか。力づくで奪うに決まってんだろォ!」




男が再び歌織と典明に向かってきた。


典明が歌織を背にやり構えた瞬間、男の姿が消えた。


「きっ、消えた!?どこに!?」


男が突然消えたことで焦る典明。


歌織も男の姿を必死に探す。


(――確か、この男の能力は‥‥。)


男を探しながら歌織は漫画の内容を思い出そうとしていた。


だがそれよりも早く男が歌織の後ろに現れた。


振り向いた歌織に迫るナイフ。


(――ダメだ、やられる!)


歌織は思わず目をつぶってしまった。


カフェを出た典明と歌織は集合場所である凪野駅まで歩いていた。


「そういえば、これから向かう場所はどこなんですか?」


典明が仕入れた、どんな病気でも治せる医者がいたという町がどこなのか気になったため、歌織は聞いた。




漫画を見ていたならどこへ行くかも覚えているだろうと思うが、歌織は地理が苦手だった。


まして、実際にある場所なら分かったかもしれないが、これは漫画の世界、日本が舞台とはいえ、地名は架空のものなのだ。


作品への愛が足りないのではないか、と思う人もいるかもしれない。


だが、決して歌織にそれを言ってはいけない。


ユウナギに対する愛の深さを延々と語られるぞ、気を付けろ。




話は戻るが、歌織の質問に典明は答えをはぐらかした。


「秘密。万が一のこともあるからね。せめて列車に乗るまで行き先は伏せておきたいかな」


典明の答えに歌織は納得した。


行き先がバレて列車の中で襲われたら大変だ。


自分たちだけならまだしも、ほかの乗客を巻き込んでしまう可能性も考えられる。


典明はそこまで考慮して、敢えて行き先は伏せているのだった。


「それもそうですね。誰が聞いているかもわからないですし」


「そうそう。ちょうどほら…ね?」


典明はそう言いながら歩みを止めた。


歌織は典明の言葉に疑問を抱きながらも、同じように歩みを止めた。


後ろを振り返る典明につられるようにして、歌織も後ろを見る。


だが、後ろには誰もいなかった。


「え…?どうしたんですか…?」


典明の言い方からして後ろに誰かがいると思った歌織は戸惑った。




次の瞬間、前方で足音がしたかと思うと、2人のすぐそばでヒュンと空を切るような音がした。


典明は咄嗟に歌織の肩を抱き、エネルギーを凝縮させて盾にした。


だが盾に何かが当たった様子はなかった。


「一体どこから…?」


突然の攻撃に歌織が正体を探そうと辺りを見渡しながらつぶやく。




「歌織、危ないから僕の近くにいるように」


典明の言葉を聞いた歌織は離れないように典明に近づいた。


そう言った典明もまだ攻撃してきた主を見つけられないようだ。


再び攻撃が来ても対応できるように典明は手にエネルギーを纏わせておく。




ふいに2人の頭上が突如暗くなった。


歌織と典明が同時に上を見上げると人が降ってくる。


しかもナイフを構えて。


「――っシャノ!!」


歌織は反射的に黒猫―シャノワールを呼んだ。


出てきたシャノワールは歌織たちの頭上の影に溶け込み、硬い盾となった。


ガンッ!


影でできた盾が相手の攻撃を防ぐ。


盾は消え、シャノワールも姿を消した。


次の攻撃が来るかと2人が身構えれば、相手は歌織と典明の正面に着地した。


「へぇ…やるじゃないの」


2人に攻撃してきたのは男だった。


「誰だお前は」


典明はそう言い歌織より一歩前に出た。


「わざわざ名乗ると思うのかぁ?これだからお坊ちゃんは…」


呆れたように言う男。


(――いや、普通聞くでしょ。)


呆れている男に対して心の中だけでツッコミを入れる歌織。




「しっかし、お前を狙ってきたらまさかの女も能力持ちとはなぁ…。人質くらいしか使い道がないと思っていたが、予定変更だ。お前を殺して女は奪うとするか」


「そう簡単にこの子を渡すと思っているのかい?」


男の言葉を聞いて声を低くする典明。


「まさか。力づくで奪うに決まってんだろォ!」




男が再び歌織と典明に向かってきた。


典明が歌織を背にやり構えた瞬間、男の姿が消えた。


「きっ、消えた!?どこに!?」


男が突然消えたことで焦る典明。


歌織も男の姿を必死に探す。


(――確か、この男の能力は‥‥。)


男を探しながら歌織は漫画の内容を思い出そうとしていた。


だがそれよりも早く男が歌織の後ろに現れた。


振り向いた歌織に迫るナイフ。


(――ダメだ、やられる!)


歌織は思わず目をつぶってしまった。


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