【閑話】 “彼”は変わらない
僕の……いや、俺の名前は相澤熊吾郎。日本の山奥にあるとある街で暮らしていた。
親が街の住人は基本的に入れ替わる事が無く、母方の爺さんが街のお偉いさんだった事もあってリーダー格にまで上り詰める事が出来たのだろう。
自慢じゃないが、俺はそれなりに裕福な家庭に生まれていたと思う。そんな俺は人間関係にも恵まれていたと思う。その一人である彼女の名前は
周りで幾人かの者が心を奪われていたが、俺もそいつらと同じ様にいつしか心を奪われて行った。俺は“いつか告白しよう……”と思っていたが、ここで
彼を見た最初の印象は“暗い奴”だった。何があったのかは興味ないが……そいつはいつも作り笑顔を貼り付けながら、暗い空気を漂わせていた。
その様子を見かねたのか、瑠美はそいつに付きっきりで街の案内をしていた。最初は“この地域に慣れて貰う為だ”と自分を納得させていたのだが……
俺は瑠美を奪う剣人が次第に憎く思えてきた。そんな時ある日、俺は警官をしている親父から拳銃を盗む事に成功した。本当に偶然の、
憎む対象と、武器を手に入れた俺のする事は唯一つ。
だから俺は剣人を殺すことにした。
そしてそれは無事に成功したのだが、どこからか走ってきた熊によって俺と剣人は崖から突き落とされてしまった……
そしてJとか言うよく分からない奴に目を付けられ、異世界に転生させられた。その結果、俺はスティージ王国と言う国の第二王子に生まれ落ちた。名前はアンドレイと言うらしい。
そんな俺の精神が目覚めたのは6歳、翼成の儀の後だ。メイドの話では儀式を受けてから数日間ほど昏睡状態だったらしい。
儀式を行った神父は『神に授けられた強力なスキルが、身体の負担になったのかもしれません』と言っていたが、それは違う。
昏睡して本当の理由は、今まであった“アンドレイ”の精神を俺が“乗っ取った”からだ。お陰でこの世界に関して色々と知ることが出来た。
そんな俺がこの世界で目覚めて最初にやった事、それは勉強と鍛錬だ。元の“アンドレイ”は勉強や鍛錬が嫌いな性格だったらしく、この世界の教養に関する記憶や訓練の記憶が少なかった。
そうした事をすると、俺に仕えているらしいメイドの一人……リーンにはバレたようだが。『まるで人が変わったみたい』と言われてしまった。
そうしてしばらく暮らしていた王城も、今日で最後だ。とは言っても少しの間“スティージ学園”と言う場所に行き、帰ってこられないだけなのだが。
このスティージ学園と言う場所は、誰でも通えて学べる場所らしい。そう……どんな人でも、どんな事でも。この余りにこの世界に似つかわしくない施設、思わず設立当時の資料を調べた。
その結果、どうやら異世界からやって来た人間……恐らく名前からして恐らく日本人だと思うが、こいつらが関わっているらしい。
もはや都市と呼んで良い規模の学園全体を僅か数ヶ月で作ったり、多くの魔道具開発する等してかなりやりたい放題していたようだ。
だがこれで分かった、この世界に来ている者は自分だけではない。それはJの奴か、他の奴が送り込んだ奴だろうが……俺には関係ない。
気に食わない奴は潰し、この世界を楽しむだけだ……
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