第38話 旧暦忍者6 唐傘!? (編集版)
「鬼妖神様! どうかお力を与えたまえ!」
玉藻前が妖怪の頂点、鬼妖神の眠りし肉体に祈りを捧げる。妖怪の暗いアジトに新たな妖怪が生まれる。
「ピカーン! ビビビビビー!」
壁に埋め込まれた上半身のだけのような姿の鬼妖神。その目が光りビームを発射し、一人の妖怪が姿を現す。
「玉藻前様のお呼びにより駆けつけてきました。唐傘です。」
現れた妖怪は、唐傘だった。
「よく来た。唐傘よ。忌々しい忍者を倒して、奏姫をさらい鬼妖神様に捧げて、鬼妖神様を復活させるのだ!」」
「ははあ!」
こうして玉藻前の命令で、唐傘は人間界に出発した。
「今日は転校生を紹介します。」
奏の通う渋谷スクランブル高校の教室に新しい転校生がやってきた。
「唐傘です。よろしくお願いします。」
なんと転校生は、妖怪だった。
「ギャアアアアー!? 傘がしゃべった!?」
教室の生徒たちは転校生が唐傘なので驚いた。
「見つけたぞ! 奏姫! お前の命はもらった!」
唐傘は、奏を見つけると襲い掛かる。
「助けて! 睦月ちゃん!」
奏は、妖怪が現れてピンチになり、友達の睦月の名前を咄嗟に叫ぶ。
「これは姫の悲鳴!? 何か一大事があったに違いない! 直ぐに駆けつけるでござる!」
教室の天井裏部屋でゴロゴロ漫画を読み、おやつを食べていた忍者の睦月が奏の悲鳴を聞いて、慌てて戦闘態勢に入る。
「姫! 大丈夫でござるか!?」
睦月は、天井裏から教室へ飛び下りる。
「睦月ちゃん!」
奏は、睦月が現れたことで安心の笑みを浮かべる。
「あれを見て!」
「ムムム!? あれは妖怪!? 唐傘!?」
睦月は、自分が逃がした妖怪の1匹、唐傘と遭遇する。
「由緒正しき忍者の家柄! 旧暦家の名にかけて! 唐傘! お前は私が退治する!」
睦月の決めゼリフと決めポーズが決まった。
「唐傘妖術! 雨しぶき飛ばし!」
唐傘は妖術で傘についた雨の水滴を放ち睦月を襲う。
「キャア!?」
「うわあ!?」
奏と睦月は、予想外の唐傘のビーム攻撃を慌ててかわす。
「ギャア!? 濡れちゃう!?」
唐傘の妖術、雨しぶき飛ばしが、睦月ちゃんのお尻を少し濡らした。
「大丈夫!? 睦月ちゃん!?」
奏は飛び跳ねている睦月を心配する。
「大丈夫でござる。奏姫様、忍者に同じ技は通用しないことを見せてやるでござる!」
これでも睦月は、由緒正しい忍者の家柄、旧暦家の一人娘であった。睦月の闘争心に火が付いた。
「くらえ! 唐傘妖術! 雨しぶき飛ばし!」」
唐傘が雨しぶきを飛ばして攻撃してくる。
「その手は私には通用しないでござる! 忍法! 旧暦分身の術! いでよ! 如月!」
睦月は、2月の旧暦の分身の如月を分身の術で登場させる。
「今、ドラマを見ていて忙しいんだから、呼び出さないでよ。」
如月は、ドラマを見ていて忙しかった。普段、睦月の分身たちは、皇居の奏の家で現在を満喫しながら生活を送っている。
「ごめんでござる。ていうか、唐傘を何とかしてほしいでござる!?」
「私の邪魔をしたのは、おまえか! いい所だったんだぞ! 忍法! 氷の結晶!」
如月は、ドラマを見る邪魔をされてムカついている。忍術で氷の結晶(ダイヤモンドダスト)を出し、唐傘の雨のしぶきを凍らせていく。
「雨しぶきが凍らされた!? ギャアアアア!? やられた!?」
氷の結晶が唐傘を凍結していく。
「やったー! 唐傘を倒したでござる。」
「睦月ちゃん、カッコイイ!」
奏と睦月は、唐傘を倒して喜んだ。
「ありがとう、如月。」
「奏姫様のためなら、どこにでも駆けつけます。それでは失礼いたします。」
如月は、主君の奏に挨拶して帰って行った。
「これで逃げた妖怪は後104匹。先は長いけど頑張るでござる。」
「私も何か手伝うわ。」
「奏姫様、ありがとうでござる。」
奏と睦月は、残りの妖怪退治を全力ですることを誓うのだった。
「己! 忍者め! 今度こそ倒して、奏姫を鬼妖神様に捧げてやる!」
妖怪の部屋の玉藻前は唐傘が倒されて悔しがった。
「こら! 転校生をいじめちゃダメでしょうが!」
先生は、転校生をいじめると怒る。
「怒られちゃったね。私たちは妖怪退治をしただけなのにね。」
「いじめは良くないでござる。ニンニン。」
奏と睦月の青春は、まだまだつづく。
つづく。
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