第37話 妖、第6話を編集する。

「ダメだ! やはり第6話、一つ目小僧の部分を唐傘に変えただけでは、簡単だけど、面白いかといえば、面白くない!」

 天は、どこにでも現れる。

「忍者たちは天井裏で、妖怪は学校裏の墓地にでもいると仮にしておこう。それかライト文芸部の部室の横の部屋ね。若しくはトイレでいいかな。」

 麗は、天の現れる所には現れることが出来る。

「天先輩と麗先輩のライト文芸に対する強い思いに、奏は感激しました! 先輩に私はどこまでもついていきます!」

 奏は、ロイヤルファミリーなので世間知らずのお嬢様なので悪い男に引っかかりやすい。例えば、海の王子様とか。

「ということで、妖怪ども、第6話を持ってくるから、編集作業しろ!」

 天は、どこにいっても、こんな感じです。

「マジか!? 俺たち泣く子も泣き止む、怖い妖怪なのに!? ブルブル!?」

 妖怪たちは、天の悪の所業に恐怖した。


「鬼妖神様! どうかお力を与えたまえ!」

 玉藻前が妖怪の頂点、鬼妖神の眠りし肉体に祈りを捧げる。妖怪の暗いアジトに新たな妖怪が生まれる。

「ピカーン! ビビビビビー!」

 壁に埋め込まれた上半身のだけのような姿の鬼妖神。その目が光りビームを発射し、一人の妖怪が姿を現す。

「玉藻前様のお呼びにより駆けつけてきました。唐傘です。」

 現れた妖怪は、唐傘だった。

「よく来た。唐傘よ。忌々しい忍者を倒して、奏姫をさらい鬼妖神様に捧げて、鬼妖神様を復活させるのだ!」」

「ははあ!」

 こうして玉藻前の命令で、唐傘は人間界に出発した。


「今日は転校生を紹介します。」

 奏の通う渋谷スクランブル高校の教室に新しい転校生がやってきた。

「唐傘です。よろしくお願いします。」

 なんと転校生は、妖怪だった。

「ギャアアアアー!? 傘がしゃべった!?」

 教室の生徒たちは転校生が唐傘なので驚いた。

「見つけたぞ! 奏姫! お前の命はもらった!」

 唐傘は、奏を見つけると襲い掛かる。

「助けて! 睦月ちゃん!」

 奏は、妖怪が現れてピンチになり、友達の睦月の名前を咄嗟に叫ぶ。

「これは姫の悲鳴!? 何か一大事があったに違いない! 直ぐに駆けつけるでござる!」

 教室の天井裏部屋でゴロゴロ漫画を読み、おやつを食べていた忍者の睦月が奏の悲鳴を聞いて、慌てて戦闘態勢に入る。

「姫! 大丈夫でござるか!?」

 睦月は、天井裏から教室へ飛び下りる。

「睦月ちゃん!」

 奏は、睦月が現れたことで安心の笑みを浮かべる。

「あれを見て!」

「ムムム!? あれは妖怪!? 唐傘!?」

 睦月は、自分が逃がした妖怪の1匹、唐傘と遭遇する。

「由緒正しき忍者の家柄! 旧暦家の名にかけて! 唐傘! お前は私が退治する!」

 睦月の決めゼリフと決めポーズが決まった。


「唐傘妖術! 雨しぶき飛ばし!」

 唐傘は妖術で傘についた雨の水滴を放ち睦月を襲う。

「キャア!?」

「うわあ!?」

 奏と睦月は、予想外の唐傘のビーム攻撃を慌ててかわす。

「ギャア!? 濡れちゃう!?」

 唐傘の妖術、雨しぶき飛ばしが、睦月ちゃんのお尻を少し濡らした。

「大丈夫!? 睦月ちゃん!?」

 奏は飛び跳ねている睦月を心配する。

「大丈夫でござる。奏姫様、忍者に同じ技は通用しないことを見せてやるでござる!」

 これでも睦月は、由緒正しい忍者の家柄、旧暦家の一人娘であった。睦月の闘争心に火が付いた。

「くらえ! 唐傘妖術! 雨しぶき飛ばし!」」

 唐傘が雨しぶきを飛ばして攻撃してくる。

「その手は私には通用しないでござる! 忍法! 旧暦分身の術! いでよ! 如月!」

 睦月は、2月の旧暦の分身の如月を分身の術で登場させる。

「今、ドラマを見ていて忙しいんだから、呼び出さないでよ。」

 如月は、ドラマを見ていて忙しかった。普段、睦月の分身たちは、皇居の奏の家で現在を満喫しながら生活を送っている。

「ごめんでござる。ていうか、唐傘を何とかしてほしいでござる!?」

「私の邪魔をしたのは、おまえか! いい所だったんだぞ! 忍法! 氷の結晶!」

 如月は、ドラマを見る邪魔をされてムカついている。忍術で氷の結晶(ダイヤモンドダスト)を出し、唐傘の雨のしぶきを凍らせていく。

「雨しぶきが凍らされた!? ギャアアアア!? やられた!?」

 氷の結晶が唐傘を凍結していく。

「やったー! 唐傘を倒したでござる。」

「睦月ちゃん、カッコイイ!」

 奏と睦月は、唐傘を倒して喜んだ。

「ありがとう、如月。」

「奏姫様のためなら、どこにでも駆けつけます。それでは失礼いたします。」

 如月は、主君の奏に挨拶して帰って行った。

「これで逃げた妖怪は後104匹。先は長いけど頑張るでござる。」

「私も何か手伝うわ。」

「奏姫様、ありがとうでござる。」

 奏と睦月は、残りの妖怪退治を全力ですることを誓うのだった。


「己! 忍者め! 今度こそ倒して、奏姫を鬼妖神様に捧げてやる!」

 妖怪の部屋の玉藻前は唐傘が倒されて悔しがった。


「こら! 転校生をいじめちゃダメでしょうが!」

 先生は、転校生をいじめると怒る。

「怒られちゃったね。私たちは妖怪退治をしただけなのにね。」

「いじめは良くないでござる。ニンニン。」

 奏と睦月の青春は、まだまだつづく。

 つづく。


「まずは冒頭シーンを考えよう。妖怪の目的が「人間を驚かせる。」のでは、たいして意味がないので、「忌々しい忍者を倒してくるのだ!」の方がストーリー的にいいような。」

 酒呑童子の意見を参考に、第2話で早くも書き換えられた。「奏姫をさらって、鬼妖神様に捧げて、鬼妖神様を復活させるのだ!」もいい。採用。ダブル採用になった。かなり良い起承転結の起になった。

「変えちゃうと第5話も変えないといけないんじゃない? まあ、試作ということで気にしないで進めましょう。文句のある奴は、狐火で殺す!」

 玉藻前は、青白い狐火を複数だし誰もいない周囲を脅す。

「流れが変だ。襲われてないのに奏姫が睦月に助けを求めることはおかしい。唐傘に奏姫を襲わせよう。」

 大嶽丸は、唐傘に奏姫を襲わせるシーンを書き足す。

「ゴオ・・・ゴオ・・・。」

 鬼妖神は、まだ眠っている。

「睦月の天井裏の行動は変えなくていいのだろうか? また逆に変えた場合、毎回、変えないといけないのが面倒臭いって、なんで妖怪の私が忍者のことまで考えないといけないんだ!?」

 案山子教頭は、良い所に気が付いた。睦月の天井裏として、ここでつなぎの12人の忍者の個別ストーリーを加えればいいのだろう。

「天井裏で睦月と分身の1人がショートコントする。でもいいですし、それか教室に現れてから、分身を出すとか。」

 百目は、百個の目玉で多様性な創作を実現する。

「妖怪の攻撃が毎回ビームでいいのだろうか? すると睦月は忍法! 鏡返し! を使うだけになってしまうぞ?」

 付喪神は、妖怪の攻撃が毎回ビームでは面白くないと進言する。睦月は、取り柄はないが凡庸性の高い忍者である。

「妖怪=妖術にしよう。忍者が忍術だから。ていうか、また私の出番か。妖怪チームは、まだまだ主力の人数が少ないんだな。」

 天は、再び登場した。

「毎回ビームの件も書き直したし、大手術で疲れたけど、スッキリしたわね。おかげで忍術や分身の使えるようになったしね。」

 麗は、前向きに物事を考える。

「さすがです! 天先輩! 麗先輩!」

 奏は、皇室の娘の世間知らずなので、完全に天と麗という海の王子に騙されている。

「おまえたち! おまえたちライト文芸部が出てこなければ、私たち三大妖怪で話を回せば、我々のキャラクター作りも進むというものだ! 出しゃばって出てくるな!」

 酒呑童子は、ライト文芸部にくぎを刺す。

「いいのか? そんなことを言って! 日本の三大妖怪が、ライト文芸の創作や編集が趣味になってもいいのか!?」

 天は、最強の鬼、酒呑童子を相手にしてもビビらない。

「「最強の鬼! 酒呑童子! 趣味が、ライト文芸で何が悪い!」そこら辺にある売れないラノベ本にありそうなタイトルだ。」

 麗は、酒呑童子が肩身を狭くライト文芸の文庫本を読んでいる姿を想像する。

「ありえないわ。鬼の酒呑童子がラノベの文庫本。それだけで10万字書けるぐらいありえないわ。マジで。私が女教師するのと同じくらいありえないわ。」

 玉藻前は、妖怪の世界でラノベが流行っていると想像して、絶句した。

「どうでもいいが、最後の起承転結の結を書いてしまわないと終われないぞ。もう3200字を超えてるぞ。」

 大嶽丸は、鬼神だが全体に気配りができる。さすが鬼神のボス。

「とりあえず手直しも出来たので、終わり! ふう~。改めて第6話を投稿してこよう。」

 天は、書き直し作業を終えて疲れた。

 つづく。

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