第15話 忍・独立!?
「ということで、メンバー数が多すぎるので、ライト文芸部と忍者・妖怪は試しに分けてみました。こっちのメンバーも頑張りましょう!」
(どうか文句を言う人がいませんように。)
奏は、天皇の娘として庶民を見下すのではなく、下民に寄り添う心の優しい姫に仕立てた方が、大衆の共感を得ることが出来そうだ。
「はい! 奏姫様の望むままに。睦月は奏姫様の影。何も気にしないでください。」
(ライト文芸部から排除された!? 忍者・妖怪の独立が吉となりますように。)
睦月は、奏の言うことに従う忠義の厚い忍者であった。
「スッキリして良かったんじゃありませんか? これでこそ作品の幅が広がるというものです。」
(他の伊賀や甲賀の忍者と、私たちが戦うのもいいわね。)
如月は、冷たい言葉の裏で、既に先を見越した思考回路をしていた。
「我々だけでも大丈夫ですよ。いつの間に私も光の忍法を使えるようになりましたし、なんとかなりますよ。」
(いざという時は、忍法でなんとでもなりますよ。ニンニン。)
弥生は、希望の光が強い忍者に育ってくれた。
「私が酔っぱらっているのは、敵を油断させるため! これも忍術だ!」
(未成年の飲酒は法律で禁じられています。)
卯月は、アルコールの飲酒は行っていない。
「爽やかだ。ライト文芸部と分離したことによって、軽やかになれた。」
(これで少しは忍者の話が進みます。やったね。)
皐月は、作品の最適化に成功したことを素直に喜んだ。
「チッ。ライト文芸部がいなくなったら、カビ臭くなくなってしまった。」
(どうして私はカビ忍者になってしまったんだろう? 普通に水の忍法を扱う忍者で良かったんじゃないだろうか)
水無月は、へっぽこな睦月ちゃんのイメージで、カビ忍者にされた。恨むんなら睦月ちゃんを恨んでくれ。
「正常版とへっぽこ版と忍者の表と裏を見ているようだ。それはそれで面白いとしておこう。」
(やっぱり12人でないと睦月ちゃんも分身も完成しないよね。)
文月は、愛と友情と正義の作品内容に入る前にキャラクターの個性の育成が大切だと言っている。
「はっはっはの葉月だ。日差しが1番強い季節だよね。でも光は弥生に取られたし、火って感じでもない。8月ってなんだ? スイカか?」
(こうなったら、最後の手段は、忍法! スイカ爆弾だ! ウッシッシ。)
葉月は、へっぽこテイストで、夏バテキャラでも「いいや」と思っていた。
「初めまして! 初登場! 長月です。読書の秋! 食欲の秋! 熟睡の秋でござるでござ~る。」
(ウケたのか、滑ったのか、知るのが怖いでござるでござ~る。)
長月も、初期設定は、へっぽこ睦月ちゃんテイストから創作されるのであった。だって自然に思いつくんだもの。
「10人待ち。待ちくたびれた。もう忍者と妖怪も分けた方がいいんじゃないか?」
(ああ~、腹減った。お願いだから、料理の上手な忍者を出してくれ。まあ、人間を殺して調理する忍者なんていないだろうがな。)
酒呑童子は、好きな食べ物は、人間である。
「そうだね。いつになったら私とコンコンの、感動の母と子の親子の対面が行われるのか、まったく検討がつかないね。」
(え!? 私って子供がいたんだ!? 旦那は誰? それともシングルマザー?)
玉藻前は、生き別れの子供がいることを初めて知った。
「私たちは直接戦うことは、当分の間はないだろう。だが、雑魚妖怪を睦月の分身のように増やしていかないと、話が先に進まない。」
(いつも酒呑童子と玉藻前は自分のことばかりだ。まとめ役の私の苦労も知らないで。)
大嶽丸は、いつか酒呑童子と玉藻前を亡き者にしようと考えていた。
「ゴオ・・・ゴオ・・・。」
(私は、いつになったら言葉を話せるようになるんだろう?)
鬼妖神は、心の中では自我に目覚めていた。
「本日の雑魚妖怪は、唐傘おばけです。一つ目小僧が進化を繰り返し、百目になれたように、唐傘お化けも、将来は日傘、遮光傘など進化すると物大切神になります。」
(解説でも説明でも言われたことをやるだけです。だから殺さないで!?)
案山子教頭は、三大妖怪が怖いので命がけで何でもやる。
「一つ目小僧から進化した百目です。一つ目小僧をやっていると扱いが冷たいと困るので、百目で登場です。メメメメメッ!」
(案山子教頭みたいに、パシリにされてたまるものか!)
百目は、たくさん目があるだけあって先見の目があるのだった。
「唐傘おばけです。ていうか、私の最終形態は、既に傘ではなくなっているんですが?」
(物を大切にしないと現れる神様って誰だろう? ググってみよう。)
唐傘は、出世できるのが楽しみであった。
今思えば、初代ラスボスのぬらりひょんと腰巾着の朱の盆の姿は既になかった。
「ショートコント・スタート!」
「まず! 睦月ちゃんたちで、へっぽこ忍者部を作ります。そして握手会とサイン会とコンサートを開きます。これで、ガッチリ!」
「奏姫様!? どこでお金儲けを覚えたんでござるか!?」
「ライト文芸部。」
「あいつらは、ろくなことを姫様に教えないな。」
「さらに! 妖怪たちで、108匹の妖怪部を作ります。そして握手会とサイン会とコンサートを開きます。これで、ガッチリ! 2度おいしい!」
「姫が、奏姫様が純粋ではなくなっていく!? これもライト文芸部の連中の仕業か!? なんて恐ろしい忍法を使うんだ!?」
「まだ姫が登場して2話しか経っていないのに!? 姫がこんなに毒されるなんて!?」
「ライト文芸部は、なんていう細菌集団だ!?」
「そんなに悪くいはないで。ライト文芸部のみなさんが睦月ちゃんの必殺技を考えてくれたわよ。」
「ひ、必殺技ですと!?」
「睦月ちゃんの必殺忍法、春夏秋冬!」
「おお! 旧暦家らしい必殺技でござるな。」
「なかなか良いでしょ。」
「そうでござるな。で、武器は刀ですか? それとも手裏剣かなにか?」
「知らない。」
「ズコー!?」
「また聞いておくわ。アッハハハ。」
「やっと我々の出番だ。」
「妖怪さんたち、何か言いたいことがあるんですか?」
「このお嬢さんは、尺がないって言いたいのね。」
「お前たちがしゃべり過ぎだ。」
「ごめんなさい。」
「ググったら、付喪神、もしくは九十九神というのが、物を粗末にされたら現れる神らしい。」
「一つ目小僧は、百目止まり。唐傘お化けは、神になるのか。すごいな。」
「クスン。」
「全身の百個のから涙が!?」
「負けるものか! 目の神様も調べてやる!」
「そうか!? 舞台は現代だから妖怪もインターネットを使っていいんだ!?」
「デター!!!!!!! 手の目? 百目鬼? 百目鬼? 百々目鬼? 神がいない!?」
「それに西洋妖怪のボス、ビックベアードは水木しげ〇大先生の創作キャラなので使えない。」
「唐傘に負けた・・・ガクン。」
「自分で目の妖怪神を創作すればいいだけじゃないか?」
「おお! その手があった!」
「ちょっと失礼しますよ。誰か忘れちゃいませんか? これでも私は睦月の師匠なんですが? え、忍者を9人も書いていると疲れて、私の出番を忘れた。ちょっと私の扱いが酷くはありませんか? 別にいいんですよ。旧暦家の奥義、春夏秋冬は睦月の師匠である私に教える権限があると思うのですが。へっへっへ。」
カロヤカにお任せあれ。
つづく。
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