第14話 ラ・キュータイプ!?
「どうも、渋谷スクランブル高校ライト文芸部の1年生部員、天皇の娘、春篠宮家の娘、プリンセス奏です。彼氏はいないので、400万円の借金問題はありません!」
(跪け! 庶民ども!)
奏は、心の中が腐っている設定では、人の共感は得られない。天皇の娘だが、庶民感覚がある普通の女の子にしよう。
「どうして私が1番じゃないんだ!? 私は部長だぞ!? 部長は、部活では1番偉いんだぞ!?」
(殺す! 殺す! 部長を敬わない奴らは皆殺しだ!)
天は、普段からこういう性格なので、悪い言葉を心の中で唱えても違和感はない。
「諦めなさい、天。奏は皇族なんだから、あなたよりも偉いのよ。我がライト文芸部の部費に税金が投入される日も近いわ!」
(世の中、長いものに巻かれろってね。)
麗は、強い者につく、日和見主義者であった。
「心の声って、他人に聞かれないから、好き放題に言ってますね。まるでメールとかSNSとか、現代人が使えないゴミばかりのキュータイプなのが分かります。」
(真面目キャラも疲れるのよ。誰か変わって!)
大蛇は、真面目キャラに押しつぶされそうなストレスを感じていた。
「ニュータイプは人類を革新させ、キュータイプは人類を滅亡させる。新しい世界観が広がりましたね。」
(なら私はニコータイプだ。ニコッニコッ。)
笑は、何でも語尾にタイプをつければ良いということに気づいてしまった。
「人の心は、声に出して誰かに聞かれる言葉よりも、残酷です。スマホばっかりで他人と会話してコミュニケーションを取らない現代人は、人間の皮をかぶった悪魔ばかりになってしまった。」
(デビルマ〇的な、正義のヒーロー、カロヤカさんでテンプレート型なら10万字書けるのに!? いつになったらライト文芸部の無限ループは終わるんだ!?)
カロヤカさんは、絶対無敵、天下無双、才色兼備、安全運転だが、ライト文芸部の1人1言1巡の無限ループからは抜け出せなかった。
「何てことかしら!? こんなくだらないライト文芸部で、現代日本の闇にたどり着いてしまうなんて!? 私は教師として言う! みんな! もっと他人と会話しましょう!」
(だから職員室には仕事をしない、生徒に愛情がない、給料だけもらえればいいというサラリーマン教師がたくさんいるのね。)
苺は、心の声なら聞こえないので同僚の教師のことを、とても悪く言う。心の声が外に漏れたものが匿名性の高いSNSだろう。
「みなさん! 今日の和菓子は、甘くて美味しいメロン飴です。もちろんお茶もありますよ! エヘッ。」
(こいつらを利用して、私は生き返るんだ! このヘラヘラした連中を使ってドラゴンボー〇を7個揃えさせれば、私は生き返るのだ! エヘッ。)
本物の幽霊おみっちゃんは、実は自分が生き返るために、ライト文芸部の部員たちに和菓子を与えて飼いならしていたのだった。
「コンコンコン。」
(妖狐がペットで何が悪い! 売れないラノベのタイトルみたいだ。)
ペットの妖狐コンコンは、今のところ不満はない。
「ダメ。セリフと心の声を書いてみたけれど、文字数が倍かかってどうにもならない。まあ、新境地は開拓できたかな。私の心の声はなんて言うんだろう? あ、私は食べたら帰るからね。」
(みんな! がんばって! 私、応援してるから!)
幽子は、明らかに心の声が他人に聞かれると知っているので、心の声もキレイごとにした。
「さあ! ショートコント・スタート!」
「ほぼほぼライト文芸部だけで1話投稿してもよい文字数だ。」
「試しに各勢力ごとに分けて投稿してみるか。」
「何か傾向が出るかもしれない。」
「でも、いきなり排除された方は怒らないかしら?」
「大丈夫! 私に任せなさい!」
「奏!?」
「プリンセスの私がいる限り、忍者勢の睦月ちゃんたちが文句を言うわけないわ。きっと今もライト文芸部の屋根裏部屋で私の警護をしているはずよ。」
「え!? 屋根裏部屋!?」
「やめてくれよ。屋根裏部屋でキャンプファイヤーとか。」
「やりそうで怖いわ。」
「次に妖怪たちも私をさらうのが目的だから、丁度良い距離ができたということでいいんじゃない。」
「そうだな。でも妖怪たちはどこにいったんだ?」
「家庭科室で人間の肉の美味しい食べ方の料理の研究。」
「科学室で新しい妖怪の創作方法の実験。」
「どちらも嫌だわ。」
カロヤカにお任せあれ。
「ちょっと間が外出して帰ってきたんだが、心の声を入れるだけで、キャラクターの表面と裏の顔のギャップができて、同じキャラなのに深みが出るな。」
「ダメだ!? 新議題が増えすぎて収拾がつかなくなっている!?」
「皇室の奏さんのライト文芸部に入部。」
「学校名がありきたりの渋谷高校から渋谷スクランブル高校に改名。」
「ライト文芸部から、忍者と妖怪を切り離す。」
「奏の性格は、純粋。心の声も同じく純粋で共感度アップ。」
「キュータイプ。新語の意味は、疑似コミュニケーションのスマホやSNSばかりして、本当の人間とコミュニケーションが取れない現代人のこと。」
「カロヤカさんの主演作の題材は、デビルマ〇のような感じの正義のヒーロー。アベンジャー〇に入れてもらおう。」
「就職している大人が仕事しないのは、腐っているから。楽して居残ることしか考えていない。仕事する気はない。ゴミタイプ。だから日本の景気は悪くなって、若い人が働く場所もなくなってきた。」
「本物の幽霊おみっちゃんは、漫画オタクだった。」
「幽子は、意外に心の声は良い人だった。」
「1人1言1巡、ショートコント、まとめ。これだけで2000字を超えている。」
「ライト文芸部も立派に育ったものだ! うるうる。」
「でも、今書きたいことは、その先なのよね。」
「そうそう。たくさん部活を創作して、イベントとして歌合戦で戦うの。握手会とコンサートもすれば、現代の声優ビジネスとばっちりの整合性。」
「でも、ライト文芸部の次の部活って、いったい!?」
「忍者・妖怪部。」
「異世界ファンタジー部。」
「そ、それって、ただのジャンル分けよね?」
「なら普通に陸上部や野球部を作りますか?」
「さらに普通の女子高生に剣やレーザービームを持たせて戦いますか?」
「あかん。つなげることが出来過ぎて、1作で10万字書いている暇がない。」
「要するに全作品のタイトルを「ライブ!? 軽い文学部の話」で投稿すればよいのだ。ワッハッハー!」
「まあ、そういうオチだよな。」
「だって私たちはライト文芸部だもの。」
カロヤカにお任せあれ。
つづく。
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