第12話 ボーっとする!?

「ふわ~あ、起きたら頭の中が真っ白だった。」

 天は、授業中に昼寝をしていたので、部活動が始まる頃には、寝起きで何も考えていなかった。

「可哀そうに。天は創作のストレスから現実逃避ね。」

 麗は、天の不幸を涙を流して同情する。

「私たちライト文芸部は青春日常モノなので、書籍化、コンテスト応募の10万字に到達するのが難しいです。目的がないんですよね。日常モノって。」

 大蛇は、日常モノのストーリーの目的、目標の作り方の難しさに戸惑う。

「ライト文芸甲子園、かるた大会、国立競技場、学園祭でライブ・・・そうか、青春モノとか、スポーツモノって、あと、それに恋愛モノを絡ませるしかできない。ニコッ。」

 笑は、日常モノのオチを笑顔で言う。

「それが人間です。人間の生活には限界があります。何らかの特別な要素を入れない限り、人間の日常なんて、何の変化もありません。だから、アニメやマンガ、ドラマに映画で非現実世界に現実のストレスを和らげにいくのです。」

 カロヤカさんは、青春日常モノから人間の本質にたどり着く。

「そうね。もし人間が現実世界で特別なことをすると、ほぼ犯罪になるのは確実。例えば、誰かが成績で1位を取れば、最下位の人間の未来を奪うのだから。」

 苺は、珍しく教師らしいことを言う。セリフ2行書きに挑んだことにより、短い分から、要らない文書が省かれるように成長してきた。

「みなさん! 今日の和菓子は、甘くて美味しい牡丹餅です! もちろんお茶もありますよ! エヘッ。」

 本物の幽霊おみっちゃんは、死んでいるからか、いつも変わらない。

「コン。」

 ペットのコンコンも、妖怪だからか、いつも鳴き声だけ。

「別にいいじゃないか、こんな日常モノでも。それとも(どうする!? どうする!? どうすれば、あいつに勝てる!?)みたいな心理描写ばかりの作品にしようか? (言わなくったちゃ、好きって。)みたいな。あ、私は食べたら帰るからね。」

 幽子は、恋愛要素を入れちゃうとタイトルが「ライブ!? 軽い文学部の話」から「マジ!? 小百合」になってしまうと言っている。

「おみっちゃんよコンコンも妖怪でござるな。ということは、108匹の妖怪に数えていいのでは?」

 睦月は、少し妖怪創作で楽することを思いついた。

「甘えるな! おみっちゃんとコンコンは、睦月! おまえが逃がした108匹の凶悪妖怪ではない!」

 如月は、2月らしく冷たい言葉を浴びせる。それとも、睦月ちゃんにだけ冷たいのだろうか。

「まだ108匹の妖怪のうち、校長を放り出して失踪したぬらりひょんと、学校の銅像になった朱の盆の2匹だけ。あと106匹は、ピンピンしています。」

 弥生は、いつも明るく元気で前向きな良い子に育ってくれた。

「酒呑童子! 玉藻前! 大嶽丸! なんぼのもんじゃい! 全部! 睦月が倒してくれるぞ! ウイッ!?」

 卯月は、未成年なので想像妊娠ならぬ、想像酔っ払いである。

「自分で倒さないのかよ!? まったく、なんて奴だ!?」

 皐月は、爽やかなので卯月とは相性が合わない。

「ジメジメ、カビカビ、湿気がある限り戦いましょう! 命を懸けて! 睦月がね。」

 水無月は、水の忍法を扱う。

「どうも文月です。日本の三大妖怪が、新しいラスボス、鬼妖神を作り出してしまった!? おまけに案山子もね。」

 文月は、勉強が好きで頭がいいのだろう。きっとインテリ学者か、がり勉だね。

「安心しろ。おまえたちには師匠の、この旧暦百がついている。どんな妖怪も倒しさせてやる。アメリカンヒーローを目指すんだろ。へっへっへ。」

 旧暦百は、睦月の師匠になった謎の人物。なぜか妖怪に強い敵意を持っている。

「私は学校の教師らしいが、どんな授業をすればいいんだ? 人間を食べる授業だから、家庭科かな? 運動神経抜群だから、体育?」

 酒呑童子は、睦月で10万字を書けない場合、このままライト文芸部に送られるので真剣に教職を考え始めた。

「私は像とかキリンとかのペットの飼育を教えましょう。え? そんな授業はない? それなら作ればいいだけでしょう。オッホッホ。」

 玉藻前は、道がなければ自分で切り開いて作る開拓精神の持ち主である。彼女は九尾なので、コンコンも妖狐なので、どこかで接点が生まれるだろう。

「私は国語でも社会でも何でもできる。英語に数学、何でも大丈夫だ。これでも鬼の神、鬼神だからな。神は偉いのだ。」

 大嶽丸は、化け物の頂点に立つ。神なので頭は賢い。酒呑童子が鬼の頂点。玉藻前は、妖狐・動物系の頂点である。

「コオ・・・コオ・・・。」

 鬼妖神は、生まれたばかりで、まだ言葉が喋れない。例えると、スターウォー〇のダースベイダ〇のような存在だ。寡黙な校長先生である。

「偉いメンバーの上の権力の座に着いてしまった!? 私は、ただの田んぼにある案山子なのに!? 怖いよ!? 誰か助けて!?」

 案山子教頭は、案山子先生だとナル〇に抵触するので、敢えて教頭先生にしてみた。

「さあ! ショートコント・スタート!」

「長い!? 長過ぎて書き手が疲れて死んじゃう!?」

「忍者を分けたいが、分けるとライト文芸部がすることがなくなってしまう!?」

「新人が入部し、楽器を買い、合宿に行き、文化祭でライブ、面白いけど、けいお〇って、これの繰り返しの青春日常モノで、話はこれ以上進まない。」

「アニメ化されるのが、これでいいんだから、ライト文芸部も、これでもいいでしょう。ワッハッハー!」

「本当にドラえも〇や忍たま乱太〇、名探偵コナ〇とか、テンプレート型の毎回展開は同じだもんな。」

「楽な商売だ。」

「よし! ライト文芸部も、このまま気楽にいこう。」

「日本企画だ。日本ではキャラクターが可愛いければ、青春日常モノは許されている。」

「ちょっと失礼しますよ。」

「あんたは?」

「私は、旧暦百という睦月の師匠です。いつも睦月たちがお世話になっております。」

「ご丁寧にありがとうございます。」

「いきなりですが、私は睦月たちをライト文芸部から独立したいと思っているのです。」

「独立ですか、残念ですね。」

「部室が広くなりますね。」

「・・・ど、独立!?」

「はい。もうご存知でしょうが、既にライト文芸部と忍者の睦月では、立場が逆転しています。明らかに青春日常モノと正義貫徹のアメリカンヒーローを目指したモノとの作品の方向性でしょう。」

「ム、ム、ムッ!?」

「もう創作作業も終わり、あと少しで忍者の睦月を先に進めることができそうです。へっへっへ。」

「ライト文芸部のピンチだ!?」

「出てきて倒される雑魚妖怪を創作すれば、忍者の睦月の世界は、ほぼ完成しますからね。へっへっへ。」

「おっさん、饒舌だな。」

「分かった。私たちも次の憑依する作品を考えよう。」

「他の作品に寄生して創作して生きていく。それがライト文芸部だ。ワッハッハー!」

「私たちだって一生懸命に部活動してるんだ!」

「絶対にライト文芸甲子園で優勝するぞ!」

「おお!」

「青春日常モノに多い一致団結。しかしテーマ以外は中身の9割は、4コマ並みのオヤジギャグの連発。」

「オリジナルの新しい物語なんて要らないと思ってしまう。」

「そだね。軽音楽部、クラシック部、オーケストラ部、合唱部、百人一首部、野球部、サッカー部など、部活は違えど、内容は同じ。」

「そう考えると、悲しくなっちゃう。」

 カロヤカにお任せあれ。

 つづく。

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