第10話 侍忍者マン!?

「マジか!? もう飽和状態なのに、さらに異世界ファンタジーの創作も足すのか!? いったい何を考えているんだ!?」

 天は、本当に病気になりそうなくらい創作活動に追い詰められていた。

「大丈夫。天ならできるわ。だって異世界ファンタジーのプロジェクトが思いついたのも天がいっぱいいっぱいに苦悩してるから生まれたんだもの。」

 麗は、異世界ファンタジーが追加されたのは、天の性だという。

「落ち着いてください!? 二人とも!? もうすぐ忍者と妖怪は独立するでしょうから、それまでの辛抱ですよ。たぶん。」

 大蛇は、天と麗を落ち着かせようとする。

「そういえば、ライト文芸甲子園って、どこにいったんでしょうね? ニコッ。」

 笑は、特にライト文芸部だけだと、ただの日常の青春モノなので、やることはない。

「異世界ファンタジー作品を作って、ライト文芸甲子園に出展しましょう。」

 カロヤカさんは、人々の希望、明日を照らす希望の道標である。

「ライト文芸部は世界を目指しましょう! 日常モノは日本でしかウケない。正義貫徹のアメリカンヒーローの方が、はっきりしたいから世界でウケる。」

 苺は、異世界ファンタジーは日本向けでなく、世界進出を考えて書く方が良いとアドバイスする。

「みなさん! 今日の和菓子は、甘くて美味しい水ようかんです! もちろんお茶もありますよ! エヘッ。」

 本物の幽霊おみっちゃんは、甘い和菓子を、どれだけ食べても太らない。幽霊だけに。

「コンコン。」

 ペットのコンコンは、妖怪ではなく、犬で処理できるだろう。これなら現代ドラマでも登場できる。パンダは、ぬいぐるみか着ぐるみしか無理だな。

「現代ドラマは、韓国ドラマのように、二転三転とよく不幸が起こる。異世界ファンタジーは、欧米ドラマのように、蔓延る悪を正義のヒーローが倒す単純作。日常モノや萌え萌えモノは、日本だけ。世界でウケるのは、ポケモ〇やナル〇。世界は伝統文化を重んじるらしい。どうだ! 2行以上喋ってやったぞ! ワッハッハー! あ、私は食べたら帰るからね。」

 幽子は、ストレスが溜まっていたので、5行も話、高笑いもして、スッキリした。

「人間って、コミュニケーション障害者ばかりでござるな。ニンニン。」

 睦月は、ライト文芸部の部員を病人だと思っている。

「自分もへっぽこ忍者なのに。」

 如月は、冷たく本体である睦月を悪く言う。

「ほ~い。二人ともケンカはやめよう。私たちが世界進出できるかどうかは、世界で大爆笑の日本の伝統文化、忍者の私たちにかかっているんだから。」

 弥生は、明るくケンカを仲裁する。

「ジャジャジャジャーン! 忍法! 上野公園、桜吹雪の術! それ! ほれ!」

 卯月は、ただの酔っ払いである。しかし本当にお酒を飲んで酔っ払っていると法律に引っかかるので、本当は酔っぱらっているフリにしておこう。

「新緑の季節ですな。実に爽やかだ。おっと自己紹介が遅れました。旧暦の5月、皐月です。よろしく。」

 皐月は、睦月の分身の中では、マシな人格だった。

「やっと出番が回ってきたと思ったら、いきなり私の降格人事? いったい私が何をしたというのですか? 説明してもらいましょうか?」

 ぬらりひょんは、すんなり校長になるかに思えたが、水木しげ〇大先生問題により、銅像にされた朱の盆と同じ運命を辿る。

「私は、別にいいんですが、朱の盆を銅像にしたみたいに、ぬらりひょん様が目立っていると、別作品でもゲゲゲの鬼太〇の2次創作になってしまうんですよ。」

 酒呑童子(鬼)は、優しく状況を説明する。ぬらりひょ〇の娘とか、孫とか、全て便乗と言われても仕方がない。ぬらりひょ〇のひ孫にしよう。なんてね。

「ぬらりひょん様。ご進退はご自分でお決めください。死ぬかチョイ役で生き残るか。権力の無い用務員のおじさんとか、いいんじゃないですか?」

 玉藻前(妖狐・九尾の狐)は、ぬらりひょん排除の言い出しっぺである。

「ぬらりひょん様なら、いい人にキャラチェンジするもよし、名前を変えて陰から君臨されるのもよし、何か伏線を考えて下さい。」

 大嶽丸(鬼神)は、力だけでなく頭も賢かった。これで校長と教頭の座は空いた。銅像の朱の盆が復活するなんて伏線は容易に想像できる。

「さあ! ショートコント・スタート!」

「長い!? いつものように長い!? 疲れた!? これはお約束なのか!?」

「ライト文芸部は、世界進出を見据えた作品を創作しましょうってことよ。」

「スーパーマンやスパイダーマン、梅干し食べてスッパマンがアメリカではウケているのよね。」

「単純なネーミングが分かりやすくていいみたい。」

「じゃあ「侍マン」と「忍者マン」でいいんじゃない?」

「商標権の問題とかで、名前が使えなさそうな気がする。」

「じゃあ「侍忍者マン」なら特許も大丈夫でしょう。」

「ええー!? 睦月ちゃんに侍要素もカスタムするの!?」

「ただでさえへっぽこなのに、さらにへっぽこにするの!?」

「悪くないわね。」

「侍と忍者を足して、侍忍者にすればいいのよ!」

「アビリティー足しではなく、職業と職業をミックスする。斬新だわ!」

「睦月ちゃんは、へっぽこ忍者だけど、実は剣の達人だった。若しくは、へっぽこ忍者だけど修行して、侍忍者になるサクセスストーリー!」

「意外にイケてるから不思議よね。」

「ライト文芸甲子園で優勝だわ。」

「侍忍者マンって、男よね?」

「睦月は男だったのか!?」

「女だと艦コ〇で被るから、睦月は男に性転換しよう。」

「ええー!? じゃあ今までの女言葉は、全てオカマ扱い!?」

「これで奏姫様と睦月の恋愛やラブコメ作品になりますな。」

「男と女がいると世界が広がりますね。」

「子供も生まれるしね。」

「ところで、ぬらりひょん校長が失踪したって。」

「更迭でしょ? 水木しげ〇大先生問題があるから。」

「ぬらりひょんと朱の盆のセットも使えない。ぬらりひょん個人でも有名過ぎて使えない。新しいラスボスを連れて来なくっちゃ。」

「小林幸〇?」

「う~ん。それよりデヴィ夫〇の方がラスボスっぽい。たくましいしね。」

「何にせよ。新しいラスボスを創作しないとダメなんだ。」

「キター! アイデアの神様が! 祝福と共に舞い降りてきた!」

「なになに? どうしたの?」

「睦月のおじいちゃんは、ぬらりひょんだった。」

「なんですと!?」

「悪役の座を追われたぬらりひょんは、自分を追い出した日本の三大妖怪を倒すために睦月に侍の剣を教える。」

「睦月の剣の師匠ね。」

「普段は優しいけど、三大妖怪を倒した後に本性を現し、睦月と対決して敗れるという感動のエンターテイメント作品よ。」

「睦月の第1期は、ペキカンね。」

「完璧っていいなさい。」

「1人の新ヒーローができてしまった。怖い! 私は私の才能が怖い! ワッハッハー!」

「今まで書いた睦月ちゃんは、全て無駄になったな。だって女設定だもの。」

「ガーン!」

「結局、直ぐに詰まったし、もっともっと創作してストーリーやキャラクターを確立してから出ないと、10万字なんて書けない。」

「結論だね。ニコッ。」

 カロヤカにお任せあれ。

 つづく。

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