10. 灰色
夢のない夢、そんなものもある。現実の残りカスが無意識の海を汚染したような、灰色の夢。
そんな夢を《夢の国》に具現したような、このテロスの街から、俺はいまだに抜け出せない。
昔から灰色の四角い建物がならぶ町だったそうだが、かつての
いまや、ひしめく灰色のコンクリートビル、その合間によどむ灰色のアスファルト、そこをのろのろ歩くのは、灰色のスーツ、灰色の顔色、灰色の目、そんな灰色の群集。
噂によると、妖都タラリオンの魔王ラティさえも、この灰一色の景色には
当然、なじむ気などなかった。執行官のもってきた職業プログラムをつき返し、灰色の制服の執行隊に追われる身となった。それにさえスリルもアクションもない。頭まで灰色のヘルメットに包んだ大群が、のろのろと、ひたすら人海戦術でおいつめるだけ。
追放刑のあった時代ならすぐにでも捕まりたかったが、いまや秩序
あまりの灰色づくしに、ついに俺の中でなにかが
追い詰められていた路地の壁を、
「おい、一人逃げ出したぞ」
「やっと一人か、退屈な」
壁の外に待っていたのは執行隊だった。
いや、灰色の制服を着てはいるが、ヘルメットをはずし、ねじれた角と裂けた口をさらけだしたレン高原の
だが結果、その効率性たるや最悪。夢の枯れた悪夢など、カス程度にしかならないらしい。
「いっそイレク=ヴァド攻撃の決死隊にでも入りたかったぜ」
俺を捕らえようともせず、だらだら灰色の計器をいじったり、灰色の書類を枕に
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