第24話

爽やかな風が駆け抜ける中、ダイ草原に両手に盾を装備した少女と剣を一本もったスケルトンが対峙していた。


睨み合う二者の間には静寂が生まれ、その場を包み込んでいた。


先に行動に出たのはほね太郎だった、ほね太郎は弾かれるようにアキ目掛けて突きを放つ。


「食らわないぜ!!っとわ?!」


突きを弾き飛ばしたアキはほね太郎に笑いながら煽りをかけようとしたその瞬間、突きを弾かれたほね太郎は流れるように次の斬撃へと切り替え上段から剣を振り下ろし、それにアキは寸でのところで後ろへ飛び退くことで避ける。


「や、やるじゃあないか」

「カラッ」

「秘技、盾チェンジ!!」


アキはほね太郎の盾をそっと地面に置くとその盾の代わりにタワーシールドを装備し、どこか満足気な顔でタワーシールドを構える。


「無理やりタワーシールドと配布盾を装備してみたけどなんかしっくりくるな………」


謎のしっくり感に少し不思議がっているとそれを好機とみたほね太郎が一気に距離を詰め左下段から右上段にかけて切り上げを放ってきた。


「なんのっ!!」


切り上げをタワーシールドで受け止めるとそのままほね太郎に向け体当たりをかまし数メートル程吹き飛ばす。


ほね太郎が軽いから飛ばせたけどこれが普通の人だったら耐えられそうだな、やっぱりVitと並行してStrにもある程度振ってかないと指輪のデバフのせいで戦えないかもな。


アキは今後のステータス計画を軽く脳内で描くとタワーシールドを投げ捨てもう一度ほね太郎の盾を装備する。


やっぱ大盾は使い慣れてるから盾二刀流の練習だな!!


盾を装備し直したアキは先にほね太郎との距離を詰める。


それにほね太郎は最小限の動きで上段からの振り下ろしでアキの脳天めがけて剣を振り下ろす。



━━━ギィンッ



配付盾を上に構えると、金属の打ち合う音が鳴り攻撃を防いだ事を知らせる。

しかし防いだことを安堵しているとほね太郎の盾を装備していた右腕の感触がない事に気が付いた。


「ぎっ!」


次の瞬間強烈な痛みがアキを襲い、アキは口から苦悶の声を漏らし回し蹴りをほね太郎の肋骨へ入れ三本程折ると数歩後ろに下がる。


「ってぇ、いつの間に斬ってたんだ」


俺が顔を歪めながらほね太郎にそう聞くと、ほね太郎は俺の肘から先を持ち、先程やってのけた事を目の前でやって見せた。


「はぁ、本当にほね太郎強過ぎだろ」

「カラッ」


アキの言葉にほね太郎は頬を人差し指で掻き、照れたようすで剣をブンブンと振り回していた。


「よし、まだやるか」

「カラッ!!」




~~~




その後一時間程ぶっ通しで模擬戦をすると、アキとほね太郎は草原に寝転び休憩を始めたのだった。


「流石ほね太郎、何度殺されかけたことやら」

『いえいえ、我が主こそ素晴らしいです。一番初めに狩ったウサギの時には涙を流していらっしゃったのに、今ではこんなにも勇敢になられて…………私は感動致しました』

「うんうん、ウサギの時は大変で…………誰?!」


突如として聞こえて来た謎の声に驚き、声の方にバッと顔を向けるとそこにはニコニコとした━ように見える━顔をしているほね太郎しかいなかった。


「まさか、ほね太郎?」

『ええ、そうですよ。ついに我が主は我々と意思疎通するすべを手に入れたのですね!!』


骨の鳴る音と共に声が脳内に直接送り込まれるような感覚が伝わって来る。


意思疎通するすべを手に入れた、か。

ステータスを見てみればそういうスキルがあったりするのか?



アキ Lv9

種族 ヒューマン

メインジョブ


ガーディアンLv12

『タウント』『アサルトインターセプト』


Str: 4(-5)

 Vit: 16

 Dex: 1

 Int: 1

 Mnd: 3

 Agi: 3

 Luk: 3(-5)

 SP: 0


サブジョブ


ネクロマンサーLv13

『サモンスケルトン』『サモンマルチスケルトン』

『死霊読心術』

『従魔召喚』

・ほね太郎Lv9

・くま五郎Lv6

・セキトバLv1


パッシブスキル


騎乗スキルLv1

死霊の主Lv2


装備


右腕:Nodata

左腕:セイントカイト


頭:キャロットマリンキャップ

胴:ウッサーT

腕:Nodata

腰:新参者の革ズボン

靴:新参者の革靴


アクセ


指輪:死霊王の灯火


首飾:Nodata



あったね、『死霊読心術』。

十中八九これでしょう。


『我が主!!意思疎通が出来るようになったのでもう一度自己紹介をさせていただきます!!』

「お、おう」

『私は今は無きビッツァニア王国近衛兵兵長アルフレッド・スタリオン、現在は我が主に付けていただいたほね太郎です!!』

「おぅ…………」


あまりのほね太郎のテンションの高さにアキは押され、数歩引くと苦笑いを浮かべる。


『私は我が主の剣であり盾である者、例えこの身が砕けようと主のお役に立ってみせます!!』

「テンション高いなほね太r━━」

『ええ!!ついに我が主と対話が出来るようになりましたので!!死ぬまでお仕え致します!!あ、私スケルトンなので元々死んでますが、逆に不死身なのでいつまでもお傍にいさせて頂きます!!』

「よしほね太郎落ち着こうか」


うちの太郎は随分とおしゃべりだったようだ。

これは五郎とセキトバも心配になってきたな。

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