第25話 篠原幕府の成立前夜
現在、というかこの世界では四つの武士の集団があります。その基は全て、天皇家(なんか矛盾しているというか、話のつじつまとしておかしいのですが、素人が浅はかに書き出したハチャメチャ・フィクションですから、小ちゃい事は気にしない! ワカチコワカチコ……)から臣籍降下し、地方の国司などを勤め、その後、特に朝廷からの帰還の命令がなかったので、そのまま元の任地に留まり、勝手に田畑を開拓したり、地元の有力な豪族たちとバンバン血縁関係を結び、力を蓄えていったのです。当時は都でウジウジしているより、朝廷の目の届きにくい地方で伸び伸び生きていたほうが地力もつくし兵力も育つし、財力も蓄えることが出来ます。地方には都ではついぞお目にかからないような、ものすごい豪傑、英傑、俊英もおりますし、美女もたくさんいるのでウハウハですから、どんどん子孫を繁栄させて、もはや、都や朝廷などは全く眼中になく、毎年定められた量の年貢さえ送ってしまえば、勝手気ままという状態でした。さすがに年貢の納入を怠ったり、朝廷に反抗の意思を表したりすると、我が十二神将や新鋭十二神将らの討伐対象になりますので、内心は知りませんが、武士たちも、一応わたくしに恭順の意を示しています。よしよし。
今回、わたくしはこの国を代表する、武家四氏を新朝廷の朝議の場である横浜アリーナに召喚し、その郎党・家臣どもは横浜国際総合競技場(日産スタジアムとはこの場合は言いづらいですね。トヨタ・クラブワールドカップの決勝を放送する日本テレビのような心境です)と横浜スタジアム、ニッパツスタジアム(三ツ沢競技場)などに野営させて、朝廷には各氏の棟梁たちのみを呼びました。もちろん、武装は解除、衣冠束帯です。そのために棟梁たちには従五位上蘭の官位を与え、昇殿を許しました。元は皇族の出身とは言え、所詮は田舎の武士の大将たちですから、感激するやら号泣するやら……と思いましたが、意に反して、表面上は皆、無表情でした。さすがですな。それとも緊張しているだけでしょうか?
各武家の棟梁は甲信越の青義家(あおのよしいえ)、鎮西の朱正門(あかのまさかど)、四国の白饂飩(しろのうどん)、山陽山陰の玄家久(くろのいえひさ)という、いずれも不敵な面構え。強そうですよ。百官並びますところの横浜アリーナ中央にて四人並んで謹んで控えています。わたくしは、それぞれに青龍、朱雀、白虎、玄武の甲冑を下し、今後は侍大将から雑兵に至るまで、同じ色で統一するように命じました。これはわたくしの単なる趣味ですので特段、歴史的意義などありませんので、くれぐれもお気遣いなきように。
「さて、四名の者、面をあげられよ」
奏上の者が言い放ちます。
「はっ」
作法通り、少しだけ顔をあげる面々。しかし、わたくしの方が礼儀作法を破りまして、御簾をどかして、畏る四名にずんずんと近寄りまして、
「よく来てくれた。朕はとても嬉しく思う」
と四名を抱きかかえんまでに歓待します。わたくしは十二神将を例に取るまでもなく、猛将の類が大好きです。戸惑う四名にわたくしは続けます。
「朕とその直属の者は来るべき『大宇宙戦争』時代に向けての準備をしたく思い、我らに代わりて、国内の政治一般をそなたたちのうちの一名を『日本大将軍』に任じて幕政を執らせんと思い至った。残りの三名は副将軍として、そのサポート役だ。どなたか立候補する者はおらんか?」
もちろん誰も挙手しません。たぶん、ちんぷんかんぷんなのでしょうね。
「あら、立候補がないとはがっかりだな。では、朕がそなたたちのうちから一人を選ばなくてはならないが、朕とて諸君らをよく知らないからねえ、選択する材料がないわな。かと言って、そなたたちもいきなり朕の前にて理由もなしに戦さをせよと言われても困るだろうし、そんなことをしてしまったら、一般庶民にも迷惑だ。はて、どうしたものか? うぬ、朕には全く考えつかんので、次の回までに各々、配下の者と相談などして考えて来なさい。今日はこれにて散会じゃ」
すいません、何もいいアイデアが浮かびませんでしたので、続きは次回とさせていただきます。
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