第14話 軍事は防衛のみに必要である

 まあ、わたくし的憲法草案に明記したことなのですけれど……


 侵略戦争などというほど、愚かなものはありません。世界には多種多様な人種がいて当然なのです。それを一つにしようなんていうことは、どだいムリですし、はっきり言ってしまえばそういう思想や行為はアホです。単なる労力・時間のムダです。それぞれがそれぞれの宗教・暦・ペースで暮らせばいいのです。なのにヒトは他人に干渉したがります。それが人類が持って生まれたDNAなのでしょうね。もしくは人間の性でしょうかね。いえ、サーガではないと思いますよ。


 とにかく、そういう理不尽な攻撃を受けた時のみ、わたくしたちの『日本涼国』は全力を持って、その敵を倒します。防衛省のトップである防衛上(ぼうえいのかみ)の指揮のもと、わたくしがメタ・フィクション(?)の世界から連れてきた十二神将を中心とした超協力防衛隊が敵を徹底的に叩き潰します。二度とそいつらが近寄ってこないほどに徹底的にやってやります。そこまでやったら恨みを買う? でも、相手から売って来たケンカでしょう? それなのに、ボコボコにされたら逆恨みですかあ? じゃあ、そいつらのことを後腐れのないように完全に滅ぼしますよ。ペンペン草の一つも残しません。だいたい、平清盛にしたって頼朝・義経はじめ、なぜか恩情を出しちゃって、殺さなかったから、自分の子孫が後々に滅ぼされるんですよ。バカですよ。ここに限って言えば、源頼朝が正しい。彼は自分を助命してくれた池禅尼の直系である平(池ノ)頼盛一族以外は生かさなかったのです。その代わり、身内も殺しまくりましたけどね。全部、疑心暗鬼です。蒲冠者範頼など殺す必要はなかったのです。まあ、敵はやるなら徹底的に潰さなくちゃいけませんよ。あくまでも防衛のためですけえどね〜。


 それ以外の戦争なんて考えられません。防衛省は基本的に、災害時の救急救命、復興支援のためだけに存在するのです。防衛上の基本職務には救命・復興などの役割が最初から組み込まれています。右翼的なというか戦闘的な人間の存在を憲法的にはわたくしは否定はしませんが、皇帝であるわたくしはそういう人間を重用することは絶対にありません。それはわたくしの判断です。綸言汗の如しですがね。ただ、デブですから真冬だって汗をかきますけど……


 ところで『坂東大帝国』についてはどうすればいいのでしょうか?


 あの帝国は本来、我が帝国の領土であるところの坂東八国プラス伊豆国に勝手に建国されました。今後も『日本涼国』の領土を占拠しようと企むでしょう。まるでガン細胞です。


 皇帝であるわたくしは、爪や牙を磨いている十二神将を中心とした防衛隊にすぐに攻撃を命じても、憲法上なんの問題もないのです。しかし、わたくしはあえて勅命を下しません。庶民・官僚の中には「軟弱な皇帝だ」と罵るものも出るでしょう。わたくしは一向に構いませんね。ええ、正直に申し上げます。『藤原大帝国』がある程度、巨大な敵になったときに、はじめてわたくしは総攻撃を命じるのです。その方が楽しいですから。攻めるは武人のみ。庶民から徴兵されたものは極力逃してあげます。当然です。彼らは元々わたくしの民ですからね。ウチの十二神将にかなう強者が『藤原大帝国』にいるかは甚だ疑問ですが。いればいたで面白いですよね。とにかく、徹底的に藤原一族をジェノサイドしますよ。うひひひ。わたくしを軟弱と罵った者の精神にもダメージを与え流ほどの残酷なジェノサイドをやります。あとで、それらのものを不敬罪で終身刑くらいにしてやってもいいのです。


 皇帝なる者。尋常な精神では務まりません。わたくしのような精神異常者の方がいいのかもしれません。

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