第11話 愛・品・格・蘭

 官職というのはややこしいものです。物事を出来るだけシンプルにしつつも、どこかしら難しいところがないと人々は「人生」という複雑なゲームをより深く楽しめません。仕事などは特にそうでしょう? 「出世争い」「追い落とし」「秘密の暴露」などなど。欲が絡むと人は案外とアクティブになるものです。なのでわたくしもそういう人間の持つ、いやらしい部分を押し出して、お遊びの要素を官職に入れてみました。


 職位はごくシンプルす。途中でつまずかねければ、トントン拍子に出世して行きます。これもまた、行政を目指す人によっては結構楽しいようです。

 形的には現在の官庁から、余計なものを除いた単純な行政府を律令制に置き換えただけです。防衛省は悩みましたが、わたくし的憲法に、防衛の必要を書きましたし、防災だって立派な防衛ですからね。戦うことにこだわらなくてはいいいと考えました。しかし「軍」という言葉は絶対に使いませんよ!


 行政のトップは太政大臣です。これまでの通例では非常時のみの起用ですが、この国はいつだって非常時なのです、なので、あえて常設とします。これまであった、関白・摂政は紛らわしいし、二重権力を生みかねませんので廃止します。わたくしは(自己判断ですけれど)子どもでもおバカさんでもないですからね。

 太政大臣補佐として左大臣、右大臣。この二人が衆議院、参議院の議長を兼任します。国民から選挙で国会議員を募るのはこの律令が初めてかもしれません。しかし、いまの国会のようなアホな組織には絶対しませんから。頼みますよ、有権者の皆さん。


 あとは内閣府 長官・内閣上(ないかくのかみ)

    総務省 長官・総務上……といまの行政府に沿って作っていきます。


 長官は上(かみ)、次官は助(すけ)、三番目は丈(じょう)、四番目は盛(さかん)と続きます。元からある律令制通りです。職務によって漢字は変われど読みは一緒です。これも面白いので採用です。

 例えば地方行政の場合、国司は守、次は介、掾、目と続きます。

 職業は割合と簡単なのです。


 国司において言えば、わたくしには、クマそっくりの嫡外子しかおりませんので、それまであった。親王任国を廃止します。親王がないのですから全くもって無意味です。上総、上野、常陸などにも普通の国司を置きます。


 問題は位階です。こちらがより、人の心を燃やしますし、間違えるとたいへんなジェラシーを受けます。


 わたくしは、位階を「愛・品・格・蘭」とすると発表させました。続けて読んでしまうと、旧満州帝国のお家の苗字みたいですが関係ありません。


 位が人身を極めると「正一位愛」となります。これまでの正一位に愛が増えただけですが、出世に敏感なこの国の官僚を刺激するでしょう。


 将来、全てに優れた人物が出て来たら『愛品格蘭』の苗字をあげてもいですね。この場合は苗字ではなく姓かな?


 さて、形はできました。問題は人材です。

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