第4話 アレン

『アレン!アーレン!起きなさーい!もう朝ごはん出来てるわよ!もう!』


イーサンはシャッとベッドルームのカーテンを勢いよく開けた。カリフォルニアの太陽がアレンの瞼をノックする。枕を頭に乗せて光を遮ったが、イーサンに取り上げられた。


『母さん、もうちょっとだけ寝たいよ』


毎日同じやりとりが繰り返されるためイーサンはうんざりしていた。


『ダメよ!学校に遅刻するわよ!父さんを呼ぼうかしら、ベッドから引っ張り出してもうわ、パ。』


アレンはイーサンの最終兵器の登場に勢いよく起きた。『起きる、起きるよ』とベッドを飛び出し、洗面所へ向かった


イーサンは『最初からそうしなさい』と腹を立てながらキッチンに戻りアレンの分の目玉焼きを焼き始めた。


夫のジョージは新聞を見ながら家族が食卓につくのを待っていた。


『おはよう、お父さん』

『おう、おはようアレン』

『調子はどうだ?』

『昨日と同じくらいかな』


アレンの目玉焼きを皿に乗せテーブルに運ぶとイーサンも席についた。食前のお祈りをしそれぞれ食べ始める。トーストを半分くらい食べたところでジョージが言った。


『アレン、今日で12歳だな、誕生日おめでとう』


続いてイーサンもアレンの顔に手を置いて『おめでとう』と呟いた。アレンは二人がなかなか言ってくれなかったので嬉しいくせに『うん。ありがとう』と素っ気なく言った。


『私たちが忘れたと思ったか?』


ジョージがイタズラっぽく言うと、アレンは『ちょっとね』と言いながら照れ笑いした。


『学校に行く前にガレージを覗いていくといいわ誕生日プレゼントを置いてあるの』

とイーサンがニコニコしながら言った。


『えっ、ガレージ!?』


アレンは食事を済ませリュックサックを背負いながらガレージを覗きにいった。まさかと思ったが、願い通りそこには人気バイクブランド"STAR RIDE"の最新モデルが輝いていた。


アレンはガレージから家のリビングまで走って戻り二人に感謝を伝え、抱きしめた。


12歳になったアレンは早速学校までSTAR RIDEで向かった。


今日は良い日になる。


いつもの道がアレンには違って見えた。

















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