Symbiotic Fellows

地球惑星環境における共生生命体について

 僕が水洗いした硝子瓶に、千切りにしたきゃべつと塩を縁まで埋まるほどギュウギュウに押し込んで、詰め込んで、机の下に置いておく。沸き立つ炭酸ガスに圧されてきゃべつ野水分が、緩く締めておいた蓋の隙間から漏れ出る。二週間後、乳酸菌の棲家となったきゃべつを、僕は友達に差し出す。友達は酸っぱい匂いに一瞬だけ躊躇するけど、すぐに箸を伸ばす。食べる。噛む。皆の口の中で棲家を粉々に砕かれた乳酸菌達のことを思いながら、僕も食べる。噛む。無糖のヨーグルトをサッパリさせたような酸味だ、と友達は言う。酢に漬けたのか、と僕に聞く。違うよ、きゃべつと塩だけしか入れてない、と正直に答え、僕は乳酸菌の生物学的特性についての説明を始める。生物学的特性、あるいは生活の様態について。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る