60日目 南部ー御坊
さて今日は記念すべき60日目。月に換算したら二か月だ。二か月もかけて日本列島のほんの一部しか歩けていないって考えると、やっぱり日本は広いのだなと思う。さすがに日本一周は長すぎると実感したので、いったん大阪までと区切って、まずは目先の和歌山を目指そう。
というわけで今日も、左に海を見るように国道42号線を進む。
そういえば左に見える海ってずっと太平洋だったけれど、もう少し進めば、瀬戸内海になるんだよなぁ。
海岸線沿いの堤防の上を歩く道は駿河湾だか相模湾を歩いた時と同じ。心地よいので、やや内陸にある南部駅前はスルーして先に進むことにした。
梅の里みなべ、という看板。その下にライオンズクラブって署名があったけど、ライオンズクラブってどこにでもあるよね。調べてみたら西武ライオンズとはまったく関係なく、金持ちによる奉仕団体みたいだ。
国道は河口にそそぐ川のせいで、海岸線の道を逸れてしまったけれど、今日はこのまま進んでいく。それにしても梅工場に梅直売店。さすが和歌山。梅押しである。
紀勢本線の線路を越える高架の道は歩道がなくなってしまったので、住宅街を通る下の道を進む。やっぱり平野部が多いのか、和歌山の東側より栄えている気がする。なんて思っていたけれど、しばらく歩くと山道を登るようになってしまった。いちおう国道と平行して進んでいるはずなんだけど。
もっともその国道に合流したら、国道も山の道になっていた。
ただ山と言ってもそれほど急なものでもなく、ちょっとした高地を抜けるような感じかな。しばらくすると、住宅も見えてきたし。
そんな道のわきには「歓迎 みなべ町」の看板。進行方向と逆向きに建てられているので、逆にこの先は違う街なのかな。書いていないのでわからないけど。と思ったら、みなべ町岩代とあったので、変わらなかった。
地図的には海沿いなのだけど、道路はどんどん登って行き、海を下に見るような道になる。そんな道脇に「岩代の結松」というのがあった。特に何があるというわけでもなく、ただの松の木だけど、確かに歴史を感じさせるかな。
そしてそれからしばらくして、印南町に入った。そして何度か見て恒例となった「浜松から○○キロ」の国道42号看板がついに、399キロになっていた。こうなると記念の400キロは見てみたい。
左手眼下には紀勢線が通っていてそのすぐ向こうに大海原が広がっている。さっき、瀬戸内海といったけど、今は西方向に進んでいるため、左手に見える海は南側の太平洋だ。左奥に見える陸地はおそらく、白浜だろうか。
そしてついに「399.9」の看板! ていうか、「.9」の文字が大文字になって明らかに強調されている気がする。向こうも意識しているのかな。
そして400キロ地点到着。いつもよりちょっと大きい標識になっていた。
記念の400キロを見たので、海沿いではなくちょっとショートカットの道を進む。道路も狭かったので、車通りのほとんどない道は歓迎。しかもきれいだし。ただこういうコースだからか、アップダウンが結構激しい。アップだけじゃなくてダウンもあってアップもあっての繰り返し。国道も同じくらいだったと思いたい。
そんなこんなで国道に合流すると、住宅がぽつぽつと町に入った感じ。しばらくして切目駅に到着した。ちょっと休憩。駅前の案内板を見たら熊野街道の説明があった。まだまだあるのだ熊野街道。
さて駅前から住宅地を通って切目川を渡り、国道に戻る。海の堤防の壁には手作り感のある壁画がぽつぽつと並んでいる。
そのまま海沿いの道を歩いていく。海の反対側も今までのような切り立った山ではなく平野部が広がっており、おだやかな印象。阪和自動車道って書いてあったけど、いよいよ大阪が見えてきた。
印南港の辺りに「かつお節発祥之地 印南町」という看板があった。一個前は梅干し押しだったけど、ここはかつお節なのかな。イメージとしては鹿児島だけど。ちなみにこの看板にもライオンズクラブの文字が。
道は海沿いから離れて内陸部へ。上り坂になっているけど山を越えるというのでは、ちょっとした丘を越える感じかな。なだらかな台地が広がっていて、ビニールハウスが目立つ。梅の木かみかんの木かそれとも他の何かかな。調べてみたら、カスミソウと出た。花のようだ。
なんて感じで歩いていたら、標識を見てびっくり。いつの間にか御坊市に入っていた。宿泊予定の中心部まではまだまだ先だけど、今日の目的の市だ。ちなみにその標識は例の浜松から○○キロってやつなんだけど、その数字が413キロになっていた。どれくらいまで続くんだろう、これ。
進むにつれ住宅地が広がってきた。思っていた以上に大きな町っぽい。それにしても神奈川や埼玉県の西と東も大概だけど、和歌山県の西と東も、ほとんど別の件だよね、これ。
大きな川と橋。日高川だ。緩やかなでかなりの川幅で河口へとつながっている。最近山間の道を進んでいたので、こういう平野っぽい川を見るのは久しぶりだ。
川を渡るとさらに都会っぽくなってきて店も目立ってきた。少し遅いけどゴールも目の前だし、休憩も兼ねて有名チェーン店のファミレスで食事をする。
ゆったり休んで再出発。
しばらくはそのまま国道を北上していたけれど、地図によれば、右側に線路が通っているようなので、ちょっと寄ってみた。
市役所前という駅なんだけど、予想に反してド田舎の駅って感じだった。単線だし、線路の上に草生えてるし。廃線って言われても信じてしまいそうな。
ていうか、市役所はどこ? 結局市役所は見つけられないまま、歩いていたら、次の紀伊御坊駅に到着。わずか数百メートルの距離だ。路線電車みたいなものかな。ちなみに、駅の規模はこっちのほうがまだ大きかった。
そこからは線路沿いを進まないで、大きな県道を北へ。そして東へと進み、こちらは大きなJRの御坊駅に到着した。
なるほど。さっきの駅や路線は、JRじゃなかったのか。調べてみると、あちらは紀州鉄道といって、知る人ぞ知る日本最短の路線とか。なんか納得。
あの市役所駅の一歩先に西御坊駅があってそこが終点。わずか2.7キロ。徒歩の旅をしている自分じゃなくても歩ける距離だ。レア路線だったのか。見れてちょっと得した気分だった。
というわけで、御坊駅近くのビジネスホテルで今日は宿泊。
お疲れさまでした。
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