58日目  日置ー白浜


 さて出発。からのいきなりのトンネルである。

 地図を見た限り、脇道もないので、仕方なく進む。車が通らなくて良かったよ。トンネル抜けると、前井も見た「浜松から○○キロ」の国道42号線の表示があった。359キロになっていたけど、前見たときは何キロだったっけ。

 トンネルを抜けたら少しは町になったかと思ったのに、すぐ山道になってしまった。天下の白浜なのだから中心部以外にもお金をかけてほしいって思うけど、国道は違うかな。

 ちなみに道路上の標識が、白浜に入ったからか、田辺・白浜、から和歌山・田辺に代わっていた。ていうか、ここも和歌山県だけど。ちなみに、和歌山市まではまだ100キロ以上先だ。


 狭い道を超え、道の駅「椿はなの湯」に到着。ああ。やっと歩いている人が見られた。少し先には白い高層ビルが見える。ホテルかな。道の駅の名前通り、温泉宿も目立つ。白浜という観光地に入ってきた印象だ。でも中心はまだ先。

 ちょっとした街並みを越えると、久しぶりに海に面した切り立った道になった。けど歩道があるので助かる。もちろん人は歩いていないけど。海と切り立った崖に沿うように曲がりくねった道は、伊勢志摩を思い出す。海も似たような小島が目立つし。


 その後も上ったり下ったりちょっとしたトンネルを抜けて歩き続け、ちょっとした漁港が見えてきた。あ、那智黒の看板。久しぶりに見た。そういえばまだここも和歌山だ。

 道は海沿いから内陸部に向かう。右手には紀勢本線の線路。残念ながら駅は見当たらないけど、山間に囲まれた田園の中を通るのどかな光景だ。

 そこから少し進むと、全長200メートルほどの一目坂トンネルだ。「自転車歩行者注意」の看板があるので、中に入っていいのだろう。注意と書く前に道を作ってほしいところだけど。


 とりあえず駆け足気味にトンネルを抜けると、眼前に一気に開けた町並みが見えてきた。辺り一面に広がる田んぼと住宅。地図によれば、冨田という地らしい。やっぱり昔から栄えるところは平野部なんだなぁと再認識する。

 先に進むと冨田川という大きな川。橋がないので渡れず、今までの国道からそれて上流に向かって歩いて行って、ようやく渡れた。

 国道から離れたおかげか、住宅が目立つようになり、その先の紀伊冨田の駅に到着。

 さて食事処もありそうだしどこかで昼食にしようと思って歩いていると、うどん屋の看板があった。しかしよく見てみると……「手抜きうどん インチキそば」って。逆にすごく気になるんだけど、のれんが掛かっておらずやっていないようだった。うーん。残念。


 このまま紀勢本線沿いの県道を進んでいくと行くと白浜駅に着いてしまう。

 けれど今日の目的地は海沿いのホテルであり、駅は海沿いからは離れているため、駅方面ではなく高いところを通っている県道34号線で西へと向かう。ちなみにこの白浜は、かって旅行に来て自転車で走っている。むちゃくちゃ坂がきつかった印象だけど、道を覚えているかちょっと楽しみ。


 白浜温泉道とも称されているこの県道は南紀白浜空港へ向かう道として作られてまだ比較的新しいのか、非常に歩きやすくなっている。周りは森と平原で何もないけど。

 上ったり下ったりしながらそのまま進んでいくと、第二鴨居トンネルという長めのトンネル。歩道付き。位置的には空港の真下を通るトンネルのようだ。飛行機の音はしなかったけど、離着陸していたら音が凄いかも。


 トンネルを抜けると左手に久しぶりに海が見えてきた。ただし海はずいぶん下の方。それもそのはず。このまま進むと有名な「三段壁」なのだ。そこに向かうまでの間も、観光地化されていて所々に展望台がある。歩道も整備されていて海も良く見える。

 そこからさらに登っていく。前も自転車でこの坂をのぼったっけと思い返しつつ、見覚えのある三段壁の入り口にたどり着いた。どちらかというと今風な街の作りの中、急に昭和チックなお土産屋さんが相変わらず並んでいる。

 そういえばお昼を食べそこなっていたので、アイスクリームとイカ焼きでカロリーを補充。前回は時間的に上からしか見られなかったので、今回はエレベーターで海面付近まで降りてみた。

 上から見る景色と違って、こちらもすごい迫力だった。高さ50メートルほどの大岩壁が立ち並ぶ姿はさすがだ。ちなみに恋人たちの聖地って書かれていたけど、それはどうでもいい。


 というわけで出発。ここからは三段壁の高さ分の下り坂だ。自転車では楽だったけど、歩きだと微妙に辛いかも。

 しばらく歩いて、再び海が見えてきた。三段壁のときと違って、海面はすぐそこにある砂浜だ。そして県道を挟んで反対側には観光地っぽいホテルが並んでいる。いわゆる白浜らしい光景である。

 というわけで今日はここのホテルに宿泊。お疲れさまでした。



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