54日目  新宮ー那智


 ホテルに泊まって気づいたんだけど、なんとここはもう和歌山県だった!

 またしても「いつの間にか越え」にショックは大きかった。たぶん、あの熊野川が境目だったのかな。

 とまぁそんなショックな出来事もあったんだけど、気を取り直して今日目指すのは、滝で有名な那智だ。もっとも滝を見る予定はないけれど。


 まずはホテルを出て、南へと住宅街をくねくね曲がって進んでいく。まだまだ都会で家々が多い。そんな住宅地をくねくねと地図も見ないで南の方へ向かっていたんだけど、そろそろ面倒になったので、国道42号線に合流した。

 片道二車線中央分離帯アリの立派な道路である。ただ市街地から離れているからか、もう山が見えてきている。

 上り坂になっている道を進んでいたら、左右を山に囲まれた高速道路のような道になってしまった。まだ歩きやすくて歩道もあるからいいけど。

 高森の交差点で、左に曲がる。まっすぐ行くと那智勝浦新宮道と記されているけど、これは車専用っぽい。

 左に曲がった道も国道42号線のまま。さっき上った分か、先が下りになっていて、その先に町並みが見えてきた。那智まで11キロとあった。


 そのまま町中に入って、三輪崎の駅前を通過する。左手に見えるんだけど、いわゆる駅前は線路の反対側みたいで、こちらには何も無い。

 線路に沿って歩いていると神社の鳥居が見えた。熊野神社……ではなくて八幡神社だった。八幡様も北野神社並みに、どこにでもある気がする。

 左側に伸びている線路を道路が越えるため、橋になっていた。上から見ると、意外とまだ町並みが広がっている。

 線路を越え、新宮港前を通過。海が近いせいか、南国風なヤシの木みたいな並木が続いている。そんな道を、左手にある防風林を見ながら進む。

 道路の右側にはロードサイド店が並んでおり、途中にその一つである電気量販店に入ってトイレ休憩。この辺りはまだ町だけど、地図によればこれから先は海沿いの道を通るっぽい。果たして周りはどんな感じやら。


 佐野川を渡ると地図通り、海沿いの道になる。やっぱり海を見ながら歩くのは気持ちいい。歩道はなくなっちゃったけど道幅・道路わきは広いのでそのまま歩かせてもらう。たまにどこか回っているっぽい自転車の人もいたから大丈夫だろう。

 宇久井駅前を通過。ここまで二時間。那智まであと一時間。もっとも泊まる場所は那智の少し先なので、もう少しかかるだろう。

 コンビニでトイレ休憩し、パンを買った。この先わからないので、今日のお昼はこれだ。


 歩道のない陸橋を駆けるように進むと次はトンネルだ。ただこちらは歩道が続いているので、普通に歩いて問題ないはず。

 小狗子トンネル。こう書いて「こぐし」と読むようだ。ローマ字があったので読めたけど、普通は分からない。長さは283メートル。

 トンネルを抜けると左手にまた海が見えてきた。道路わきの看板に「紀伊半島にミニ新幹線を」というのがあった。鳥羽では島への橋、熊野の手前辺りでは高速道路を、みたいな呼びかけがあったけど、取り残されている感があるのだろうか? 確かに新幹線は便利だろうけど、たぶん赤字だろうな。


 さてまたトンネル。さっきは小だったので、今回は大狗子トンネル。だけど全長は170メートルでさっきより短い。大なのに。

 トンネルを抜けるとホテルがあった。もっとも自分が今日泊まるホテルじゃないんだけど、いわゆるオーシャンビュー的な感じでホテルもその先の海も綺麗だ。その海を眺めつつ国道を進んでいると、鉄道の那智駅に着く前に、道の駅の那智駅があったのでそこに寄って休憩。食事処もあったので先にコンビニでパンを買って食べてしまったことに、ちょっと後悔。


 休憩を終えて出発。那智には以前滝を見に来たことがあるけど、いまいち町並みを思い出せない。

 というわけで懐かしさを感じられないのが残念だけれど、意外と観光地っぽい那智の町並みを抜けて進んでいく。

 この辺りにもホテルはたくさんあるんだけど、距離的なことを考えてもう少し進んだ先の、太地が今日の目的地だ。あと2時間くらいのはず。


 那智の滝が近いからか、町並みを抜けると山が目立ってくる。

 トンネルがあったけど、わきに歩行者用のトンネルがあったので、そっちを進む。そしてそのトンネルを抜け、しばらくすると右手に看板があった。

 なぜかバットを振っている人の絵に見えて疑問に思っていたら、落合博満野球記念館とあった。そういえば和歌山にあるんだっけ。けれど徒歩で3.2キロはさすがに厳しいのであきらめる。うーん。残念。


 先に進んでいると、右手に海……じゃなくて池っぽいのが見えてきた。ゆかしの湯? これが温泉なの、と思ってら、ゆかしの湯ではなく、ゆかし潟。正真正銘の湖だった。さすがにこれすべて温泉だったら、全国的に有名か。

 そのあとは短いトンネルの連続。「歩行者にちゅうい」と書いてあるので歩行してもいいのだろう。少し行くと「じてんしゃどうをつくっています」という工事現場があったので、そのうちここにもじてんんしゃどうができるんだろう。


 そして本日二回目の道の駅、だいちに到着。

 といっても目的の宿はここからあとちょっとなので、スルーする。看板やらを見ると、ここ太地はくじらの町だとか。商業捕鯨が始まったので、またこの町が栄えることになるのだろうか。

 そこから少し歩いて、目的地の小さな宿に到着。

 というわけで今日はここまでで。お疲れさまでした。



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