50日目 尾鷲ー賀田
ついに今日は記念すべき出発して50日目。今日はいよいよ熊野に……って思ったんだけど、ここからだと微妙に遠い。昨日山登りもしていたし、中間くらいまで歩くことにしよう。
さて今日も地図上の国道はトンネルばかり。これは歩いてはいけない道だ。そしてご丁寧に目指すルート上に熊野古道が存在していた。
というわけで、結局今日も熊野古道にお世話になることにした。
駅前を出発し、南に向かう。途中のコンビニで食事を買う。今日は山の上でお弁当になりそう。
前方に山が見えるのに、道路は下り坂。登る高さがさらに増えるのだろうと思うと、うれしくない。この辺りはまだまだ町中だ。
T字路を右に曲がり、紀勢本線の線路を横切って、国道42号線に合流。この道をずっといけたらどれだけ楽か。まぁ普通の人は車でこっちを使うわけで。古道時代より便利になったのは間違いない。
新中川橋を渡ってさらに南下。しばらく片道二車線歩道月のしっかり整備された道を歩いていたけれど、そろそろお別れだ。
左折して工場を見るように矢ノ川橋を渡って、また左折。川沿いを進む。
川を挟んで左右に工場がある。そういえば工場地帯を歩いたのって、意外と少ない気がする。避けてきたつもりはないんだけど。グーグルさんの徒歩検索が考えてくれているのだろうか。
なんてことを思いつつ、右手の工場の切れ目をUターンする。
右側には先ほど前を通った工場。そして左側には山が立ちふさがっている。いよいよ熊野古道入口だ。
駐車場もあるのはさすが観光名所でもある。真新しい「熊野古道伊勢路」という幟の下に、「八鬼山峠(頂上)3,830m」という標識。えぇっ、富士山より高いじゃん! って一瞬思ったけど、距離ね。その横に130分と書いてあった。目安にしよう。
というわけで。登山スタートです。
最初は昨日同様、右手に道路を見る感じで登って行ったけど、すぐに山の中に突入。しばらく歩いて標識発見。頂上まで2,980M。約110分となっている。時計を確認すると少し早いくらいのペース。順調だ。
新しく設置されたっぽい赤い橋を渡って沢を越えると、空が開けてきた。気持ちいい。ただ先に見えるのも山々なので、後々大変そう。国道を歩くのも楽だけど、森の中も悪くない。虫がつらいけど。
途中標識と看板発見。石畳道の前だけど、看板の矢印が「←→」になっているのでここの場所はわからない。ちなみに、8分ほど前のところに「行き倒れ巡礼供養碑」があったみたい。通り過ぎてしまったけど、改めて大変な道なのだとおもう。一方この先は、籠立場。お殿様を乗せていた籠が休憩する場所だろうか。ちょうどいいし、自分もそこで休憩することにした。
休憩を終え、沢を越える橋を二つわたると、さすがに登りがつらくなってきた。右手に懐かしのアスファルト道があったけど古道を行く。
一気に急坂になってきた。看板に、難所七曲がりとあった。わざわざ難所って書いてあるし。西国一の難所である八鬼山越えのうちでも大難所が「七曲がり」である、と書かれている。これより急坂になるのか……
想像以上の傾斜っぷり、そしてヘアピンっぷりだ。七個数えようとしたけど、早々にやめた。上るのに集中。
上っているうちに、木々の隙間から見える空が広がっているのに気づく。頂上に向かっている感じだ。そして何度か曲がること、前方にベンチが見えた。
特にここが何とは書いていなかったけど「←→」の右(ここまで歩いてきた方)に、難所七曲がりと書いてあったので、たぶん難所は越えたのだろう。
だいぶ山の頂上っぽくなっているけどまだ最高点ではないのだろう。けれど登りがなくなって、なだらかなだけでもだいぶ楽に感じる。高い位置の林道を歩いているような感覚だ。
特に説明書きもないけど、道端に小さな観音様?お地蔵さんが置かれていた。時代を感じながら歩いていると、再び登りが急になって、空も見えてきた。頂上かなと思ったけど違った。桜茶屋一里塚。通過点の一つだ。まだまだ先は長い。けどしばらく歩くと、頂上まで1030mという標識があった。やはりまだまだとはいえ、順調に歩けているのは力強い。
さてまだまだ山の中だけどGPSで見ると、この真下を、九鬼へと抜ける八鬼山トンネルが通っている地点だ。この真下を通っていると考えると、トンネルってすごいなぁ。ちなみにそのトンネルの長さは3992mで三重県一だとか。四キロもトンネルとか、歩道があっても歩いて抜けるのは大変だ。そう考えると、まだ山道の方が歩く分にはマシかなと。
少し進むと、右手に大きな岩と立札が見えた。蓮華岩と烏帽子岩と呼ばれているみたい。形が似ているというけどどうだろうか。こんなところに大きな岩が転がっているのは凄いけど。もっとも似たような大きさの岩を、この先歩いていると何個も見ることになった。
また登り。そろそろついてほしいと思ったら、開けた場所に出た。ベンチと看板。九木峠の道標、と書かれていた。標高522m。登り切ったのかな。その先は分かれ道になっていて迷ったけど、素直に八鬼山峠頂上を目指す。ってことはまだ上るのか……
建物が見えてきた。荒神堂だ。トタンで覆われているのでいまいち歴史を感じないけど、1300年くらいの歴史があるものらしい。いちおうお祈りしました。さあ頂上まであと310m。
相変わらず杉の木が生い茂っているけど、地面だけ見ると山の尾根を歩いているような。そしてついに着いたと思ったら……さくらの森ゾーン?
とにかく近くに建物が見えたのでそっちに行ってみると、説明書きがあって、どうやらここが八鬼山峠の頂上だった。屋根付きの展望台があったので椅子に座って昼食。木が邪魔で景色は見えなかったけど。
さぁここからは下りだ。しばらくは平坦。木々の間隔があいて、高原のようにも見える。また分かれ道。右に江戸道。左に桜の森広場。普通に考えると右が正解っぽいけど、熊野古道ウォークという案内矢印(ずっとあった)は桜の森方面を示している。
地図を確認し、そっちでよさそうなので左を進むと、すぐに広場に出た。
おお。広い。展望台からの景色はさっきと違って絶景だった。西側の空が広がっていて、遠く海も見える。食事休憩をしたばかりなので、景色を堪能してから出発。ここからは一気にくだりだ。
心肺機能には優しいけど足には辛い。二日続けて疲れが来た。
滑らないよう気を付けて進んでいると、休憩所が見えてきた。十五朗茶屋跡と書いてあった。屋根付きベンチの休憩所が茶屋跡というわけではないだろうけど、山道なので休憩頻度が多いかも。
籠立場の案内板だ。行きもあった籠の休憩所。ということは、こっち側の半分に来たのかな。
そしてついに「八鬼山峠」の案内板。反対側の入り口まで到着したのだ。
その後は原っぱの間を突っ切るような道を通って進む。ああ、なだらかな陸地。アスファルトが懐かしいよ。
沓川に沿って進んでいると、現代の人工物の姿も増えて来て戻ってきた印象だ。そして海と砂浜が見えてきた。
国道311号線に沿って歩いていく。道が広いって素晴らしい。
けどその後は歩道がなくなって歩くのは辛い。左に海を見て歩く。途中、右手の山側に、熊野古道三木峠入口があった。けどさすがにスルーして国道を進む。途中、トンネルのなりそこ無いみたいな物があったけど歩いて抜けさせてもらった。
そこを抜けると、多少町中になってきた。一刈川の海沿いに見えるのは海洋深層水の工場のようだ。
それにしても左手に海。まっすぐ伸びる道。右手に山。そしてそれに沿うように並ぶ街並み。どことなく伊豆半島の東側と似た印象だ。もっとも、少し歩いて近くまで来たら、伊豆ではなく漁港といったイメージに変わった。
コの字のような湾になっていて、海の向こうにも陸が見えていた。その向こう側が今日の目的地の賀田だ。
左手の海がいつの間にか河口に伸びる川に変わっていた。その川を橋で渡る。暴力団追放の町って看板があったけど、歓迎の町はないよね。
賀田の駅は道路の右側の高い位置にあって見られなかったけど、このまま先へと進み今日のホテルまでたどり着いた。
今日はほとんど山登りでさすがに疲れた。ゆっくり休もう。
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