43日目  津ー伊勢


 今日の目的地は、伊勢神宮のある伊勢市だ。

 まずは安濃川を渡ってさらに南下する。この歩いている国道23号線は、別名伊勢街道ともよばれているみたい。昔から伊勢参りに利用されていた道なのか、道幅も広くて歩きやすい。東海道といい、昔の道が残っているのっていいよね。


 道路上の標識では伊勢まで36キロ。まだ先は長い。その下には松坂の地名がかかれていて、16キロとなっていた。松坂といったらもちろん松坂牛だ。

 それにしても、いつからあれを「まつざかうし」って発音するようになったんだろう。前は松坂「ぎゅう」って言っていたような気がするんだけど。秋田犬も「あきたけん」って呼んでいた気がする。


 都会のような街並みが続く。三重って失礼ながら田舎の雰囲気あったから道も小さいんだろうなって思っていたけれど、いい意味で裏切られた感じ。

 しばらく歩くと、ボートレース場があった。「津インクル」という名前が面白い。せっかくなのでトイレ目的で寄ってみた。ここでのレースはやっていなかったけど、他の場所でレースをやっているみたいで、舟券目当ての(ていうかそれが当たり前だけど)お客さんがちらほら見られた。建物内も綺麗だったので疲れない程度に探索して出発。


 相変わらず中央分離帯アリの片道二車線歩道も整備された道が続いているけれど、気づくと道路の周りの建物がなくなってきて、畑が広がってくるようになった。

 雲出川の橋を渡ると、松坂市に入った。これはあくまで入っただけで、さっき看板にあった十何キロというのは、中心地までの距離ということだろう。

 ちなみになだらかな平原なので、橋の上からはちょっとした風景が見られた。遥か前方に広がる山が伊勢だろうか。


 また例の標識。伊勢の距離があと30キロになった。そして松坂のところは、松坂市街に変わっていた。こちらもあと10キロ。競艇場の休憩も含めてここまで二時間弱。目的までの推定時間を考えると少しペースが遅いかな。そもそも松坂市と松坂市街が10キロも離れていることを考えると、目的の伊勢まで30キロというのもオーバーなのかも。

 そんな希望的楽観視して先へと進む。あ、道路わきの看板に松坂牛の文字。


 三渡橋を渡る。この辺りから道路は片道一車線に変わっていた。けど松坂市内に向かっているのか、建物はそこそこ多くなっていた。せっかくなのでお昼は牛にしたい。

 すき家が向かいに見えた。和牛の文字はあったけど、和牛は和牛であって、松坂牛ではないのだろう、たぶん。とはいえちらほらみえる焼き肉店はたいてい夜営業だし、そもそも難易度高い一人焼肉になってしまうし。悩むところである。

 なんて思っていたら松坂駅が近づいてきたころ、松坂牛を取り扱っているランチもやっているファミレス風の店があったのでそこで昼食にした。

 メニューを見るとさすが松阪牛。値段が半端ない。桁が一つ違ってるよ。自分はステーキ丼を頼んだけれどランチで3000円越えるとどことなく背徳感。ステーキ丼は十分美味しかったけれど、ちらほらメニューに載っている一万円を越える料理が、芸能人たちが食べている本物の松阪牛なんだろうなぁ。


 食事を終え出発。松坂駅前を通り抜け、伊勢方面にまっすぐ向かうため、ここからは県道37号線を通って南下する。さすがに道幅は狭くなったけど、まだ市街地のため建物は多い。途中、例の道路標識を見たら、伊勢まで19キロとなっていた。なんか一気に近づいた気がする。おそらく、いままでの距離は国道を通っていたら、という意味だったのかもしれない。

 だが道幅が狭くなったこともあって、歩道がなくなる場面も多くなって厳しい。特に近鉄山田線の線路を越える辺りは歩いていて車に申し訳ないくらいだった。


 そこそこ大きな川、櫛田川を渡る。渡った先が伊勢市……ではなくまだ松坂市。霜降りなんちゃらって松坂牛のお店があるし。けどそこを過ぎるとすぐに市境。だけど明和町。伊勢はまだ遠い。


 それでもひたすら歩いていると、ついに伊勢まであと9キロとの表示。ついに十キロを切った。そして市境の標識が見えたと思ったら、今度は玉城町。あれ、伊勢市ってないんだっけ。

 やがて道路沿いに建物が目立つようになってきて、都会になってきた印象だ。並び立つチェーン店にも○○伊勢店。という名前が目立つ。結局、いつの間にか伊勢市に入ってしまったようだ。


 宮川を渡ってしばらくして、国道42号線からそれて南へ向かう。国道も伊勢市中心に向かっているけど、ぐるっと遠回りになっているので、近道だ。あと○○キロという標識も国道を通っての数字だとすれば、こっちのルートならあとちょっとだ。

 道幅は広く歩道もしっかりした道だけど、国道沿いじゃないからかお店はあまり見られず、かと言って住宅が密集しているわけでもないので、開放感は良い。

 そして外宮や伊勢市駅の距離がついにキロからメートル表示になる頃には、道幅も小さくなりそれに合わせて住宅も増えて中心部に近づいてきた感じだ。

 それでも逆に伊勢市駅周辺は逆に広々して、伊勢神宮の雰囲気に合わせた印象だった。

 というわけで、外宮は目の前だけど。今日はもう疲れたので、おやすみです。

 お疲れさまでした。


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