41日目 伊賀ー亀山
今日も早めにホテルを出発。
町を歩いていると、まだ開いていないお土産屋さんの看板に「忍ジャエール」なんてものが書かれていた。さすが伊賀。忍者押しである。今日ものんびりはできないけどせっかくなので、伊賀上野城には寄ってみた。
天守閣には朝早いので入れなかったけど、石垣の上から見る景色は、気持ちよかった。山々に囲まれて、緑一帯。お城から眺めると、この景色全体が自分の庭みたいに見える。領主さま気分だ。ちなみにこの石垣は高さ30メートルほどあって、大坂城と並んで日本一の高さとか。道理で納得である。
お城を後にして、東西に延びている県道136号線にそって東へ向かう。今日の目的は亀山市だ。
地方都市の悲しさというか特徴だけど、歩き出してすぐに建物より畑のほうが広がってくる。ロードサイドにはまだお食事処が並んでいるけれど、しばらくすれば見えなくなるだろう。昨日の反省で、先にコンビニで食料を買い込んだ。
土地は広いのに道路はところどころ歩道がなくなるのでつらい。まだ歩き始めだから、精神的HPは十分残っているけど、車どおりが多いし、別の道を選んだほうがいいかなと思いつつも、まっすぐ進む。
さきほど田舎だとすぐに……と言ったけど、意外と町並みは続いている。行く先に今日越えていくだろう山も見えるけど、まだ小さい。そう考えるとこの辺りは思った以上に平野が広がった土地みたいだ。
道路わきの看板を見て、いつの間にか道が国道25号線に代わっていたことに気付く。(まっすぐな道なのに変わるのはよくある)。だからなのか、歩道が整備されていて歩きやすくなった。ちなみに、まだ伊賀市だ。
JR新堂駅前を通過。標識を見たら直進方向に「甲賀22キロ」とあった。え、伊賀と甲賀ってこんな近かったんだっけ。隣同士だからライバル関係だったのかな。知識があいまいだけど意外だった。伊賀から甲賀に行くって、なんだか抜け忍気分だ。
しかしのどかだなぁ。空が広くて畑を突っ切るように伸びている一本道。こういう広い空は海沿いの平野部の特権で内陸部は、山ばかりで見られるとは思っていなかった。
けど心なしか道が上り坂になってきた。そろそろ山に近づいてきたのかな。
学校前を通過。今までの経験上、通学路として必ず歩道があるので学校前はありがたい。
やがて「心なしか」じゃなくて、本当に坂道になってきた。山道って感じじゃなくて、畑が広がっているんだけど全体が登りになっている。
伊賀インターチェンジ前を通過。赤い建物の伊賀ドライブインが見えたけど、当然入ることはできない。けど乗用車がみんな上に行ったおかげで、車どおりが少なくなったのはありがたいかな。
右側に川……と思ったら、烏池とあった。池というよりは湖並みの規模なんだけど。ちなみに池と湖の違いは、人工で作ったものか自然のものか、の違いらしい。つまりこれは農業用のため池みたいなものかな。かなりの規模だ。
池の先を進むと、山に入った。尾根を縫うようにアスファルトの道が伸びている。幸い歩道はしっかり整備されていて車通りも少ないので歩きやすい。登りは大変だけど。
しかし自分で言うのもなんだけど、こんなところに歩道を作って誰が歩くのかなぁ。けど意外にも、ぽつぽつと家が見られる。
さてしばらくすると「亀山市」の看板。無事伊賀越えの成功だ。
ちなみに国道だから関係ない気もするけど、亀山市に入った途端、道がちゃちくなった。まだまだ山の中を進んでいるけど登っていた道はいつの間にか下りになっていた。そろそろ目的地も近いのかも。
砕石場を越えて視界が明るくなってきてもそこから見えるのはまだそびえたつ山々。あらかじめ買ったパンを食べつつ、山の中を縫うように歩いているとようやく平坦な畑が広がってきた。
しばらくして人里に降りて来たような印象な、ちょっとした住宅街に入った。そこを抜けるように歩いていると、近くに小学校があるのか、そこで制作したようなお手製の「飛び出し注意」の看板が目についた。この辺りは加太という地名のようで、亀山市ではあるけれど、目的の亀山市中央部はまだ遠いようだ。
結果、また山道である。加太駅の前を抜けたら本格的に。
けれど尾根の間を縫うようにくねくね伸びているので、上り下りがそれほどの無いのがせめてもの救いだ。右手に流れる渓流の音を聞きながら歩くことかなり。ようやく平坦な道になって道路もしっかりしてきた。
看板によると市街地まであと9キロ。その隣に横断幕で交通標語が書いてあるんだけど文字が消えかかって見えない。どうでもいいけど、赤文字の方が消えずに残っているのって珍しい気がする。
道の駅、関宿でひと休憩。近くには同じ名前の鉄道の駅もあった。道の駅の近くに鉄道の駅もあるって珍しい気がする。ちなみにこの関宿ってのは、東海道の宿の一つみたい。自分が通った岐阜琵琶湖ルートは中山道で、東海道は名古屋からこの道を通っていたんだ。出発したときは、まさか東海道を逆に進むとは思っていなかった。
途中から亀山への最短距離を取るため、東海道から外れて川沿いの河川敷の道を歩く。山の中で崖下の渓流を見るのではなく、平野の河川敷で川を見ると、人が住んでいる場所に来たんだなぁという感慨がある。ちなみに川の名前は鈴鹿川。サーキットで有名な鈴鹿もこの辺りなんだっけ。
高速道路の高架下には江戸時代の関宿の絵が描かれていた。落書きされる前に書いてしまおうという考えは好き。殺風景な橋の下が良い感じだ。
そしてようやく亀山駅に到着。平屋建てだけど、ホームの端から端が長くて、やはり山の中の駅とは違う印象だった。
すぐ近くに本日のホテルがあったでそこに直行。さすがに二日続けての山越えは疲れました。というわけで今日はここまで。
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