39日目  宇治ー奈良


 今日は京都中心部には行かず、このまま南に進み、奈良駅を目指す予定。

 たぶん平坦な道は今日で最後かもしれない。この後は本能寺の変の徳川家康ばりに伊賀経由の東海行きである。


 というわけで出発。平等院方面から離れれば、宇治もただの町だ。観光客の姿もなく、落ち着いた感じの道が続いている。

 地味に上り坂な道を越えて宇治の市役所前を通過。歩道には並木が植えられていて、まだまだ歩きやすい。

 少し先のY字路を右に曲がる。

 カムループス通りってあるけど、それっていったい何? 調べてみるとカナダにあるカムループス市が由来みたいで、宇治市と街の風景が似ていることから姉妹都市みたいになっているようだ。確かにきれいに整備された一戸建ての住宅が立ち並ぶ感じはそれっぽいけど……。

 ていうか、坂がきつすぎ! ずっと上り坂が続いていて心臓破りレベル。後ろを振り向くと、普通に高台からの景色みたいになっちゃってるし。雰囲気がいいだけに残念だ。

 左側には木々が立ち並んでおり、どこそこの寺社ではなく総合運動公園みたい。そんな木々に紛れるように、トーテムポールが立っていてびっくりした。


 坂も終わり公園を抜け交差点を左折。県道じゃなくて府道256号線沿いを行く。公園から離れて行っても、公園前っぽい歩道の並木は続いていて歩きやすい。

 このあたりも左右に公園があるみたいで、公園の右から左を府道の上を渡るような橋に、「こうのすやまうんどうこうえん」とひらがなで書いてあった。

 その後も公園なのか森なのかわからない緑に囲まれた道を進んでいくと、前方の道が高架になった。正面には京都の平野が一望できて意外といい景色だ。この高架は下を通る鉄道の奈良線を、そして国道24号線もまたぐためのもののようだ。自分の場合は国道24号線を通りたいので、歩行者用の階段で下に降りて、国道24号線に合流した。


 ここからはこの国道をひたすら南へと進む予定だ。標識によれば、奈良まで21キロ。

 さっきの府道より道が狭くなってしまったけれど、町中だから仕方ない。車の通行量もかなり多い。周りの景色は単調なので、知らないうちに奈良県に入っていた、ということにならないよう気を付けよう。

 青谷川を渡って、井出町に入る。まだ京都だよね?

 しばらくして歩道がなくなってしまった。国道は右手に流れる木津川に沿うようにして進んでいて、この道が木津川の堤防みたいになっているようだ。仕方ないので、ガードレールの無い川側の道を歩いて進む。歩きにくいことこの上ないんだけど、景色は悪くなかった。川はどこまでも続いていて建物もないから空が広く見える。

 しばらくすると川沿いに歩く道ができたのでそっちを歩き、しばらくして国道に戻る。木津川から少し離れた道になった。途中コンビニがあったのでトイレ休憩にイートイン。意外と食べるところがなさそうだから、おにぎり一個だけ食べておいた。


 再び国道を南下。けどさすがに歩道のない国道を歩くのに疲れたので、途中にあった橋で、木津川を渡った。

 国道が伸びる川の東側と違って、川の西側は住宅街になっており、そこを抜けるようにして南に進む。どのみち、目的地は一緒だ。

 住宅地や畑道を抜け、再び川の堤防っぽい道に戻ってきた。しばらくはここを進めそう。住宅地を抜けている間にもしかしたら奈良に入ってしまったのでは、って思ったけど、京都府という看板があったのでまだ大丈夫。


 しばらく河川敷っぽいけど全然川が見えない道を進み、そのまま進むと東方面に向かってしまうので、左折。町中に入って久しぶりの駅に到着。

 JRの西木津駅。入口が公園にあるトンネルのようになっていて、そこに自動改札と券売機が置かれているだけの小さな駅だ。それでも隣の駐輪場にたくさん自転車があるし、住宅地の真ん中だからそれなりに利用者は多いんだろう。町中過ぎて、逆に山の中にあるような簡素な駅になることもあるんだなと、この旅をして知った。


 駅を横切り住宅街を抜けて久しぶりに大きな道に合流。国道163号線だ。奈良まで9キロとあった。大丈夫。まだ京都のようだ。

 国道から府道に入りつつ、一路南へと進む。周りは畑が目立つようになってきた。そして右手にあるため池を越えたところに、ぽつんと「奈良県 奈良市」の標識を見つけた。ここが県境みたい。特に何の境があるわけでもないのでうっかりスルーしそうだった。ちなみに地図上の表記では、さっきまでの府道751号線が、ここから先は県道751線になっていた。


 その後県道沿いに、山を越え住宅地を越えていく。歩いているとわからないけど、地図上では右も左も古墳だらけだ。さすが奈良県。

 そして不意に開けた場所に出た。平城京跡である。前にも来たことがあるけど、復元した門があるだけで、基本的にはただっぴろい空地。昔の道路の大きさに驚いた記憶がある。今も現在進行形で復元作業中みたいで工事をやっていた。あと何年かすれば、昔ながらの平城京が復活するのだろうか。

 復元された朱雀門を右手に見つつ、平城京跡を後にしつつ大きな道に突き当たった。一気に都会っぽくなった気がする。

 あとはこの道、国道369号線を東に進めば、奈良駅だ。


 お昼を食べそこなったので近くの回転寿司屋で休憩も兼ねた遅い昼食。

 けどその休憩のおかげで、あと少しの道も歩けることができ、目的の奈良駅(近鉄)に到着した。

 この道をまっすぐ行くと東大寺だけれど、今日はもうホテルで休む予定。

 さぁ明日はいよいよ伊賀越え。ということでそれに備えて今日はここまで。



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